ある日ある言葉が
後光を背負ってやってきて
僕をいたく感動させる
僕は世紀の発見を
この言葉においてなしとげる
この言葉をペン先にとらえた瞬間
僕は感嘆の声をあげる
われは言 ....
本がサンドウィッチされた日本語を
シャンプーリンスして
バスタブー跨いで
くばるいばる
うすきみわるいとりこは
わたしを吸収合併した
いぶりだされ
むしりとられ
なめられた
計算低いわたしの皮 フた ....
苺は毒があって然るべき
姿形をしている
どんな顔をして
パティシエはそれを
ショートケーキにのせたのか
幸福のなかで死ぬ
誰かの最期を思い浮かべて
夕べ僕はかわいい嫁さんをつかまえるために落とし穴をほっていたが
落ちていたのは中年の酔っ払いだったのでそのまま埋めてしまった
週刊誌の運勢をみたらあまりに悲惨なので世の中を憎んでいた
退屈で ....
ケント紙の家の中で
リンゴを煮ていると
蟻が集まってきて
椅子の傾きを直してくれる
サーカスのあった夜
話もないのに
冷蔵庫を開けた
‬
甘い誘惑はわたがしみたいにあたしにまとわりつく
でもね、いいことないみたい
苦い薬はね、頭にくるけどいいみたい
だって、ほんとのこといわれてるもの
おとなこども人は何回もそれをくりかえして ....
カブトムシ
いつから迷い込んだっけ 時が止まった森の奥
木漏れ日が遠ざかって 全ての音が消えてゆくよ
暑苦しい日々に 君はもうふて腐れてしまって
僕の話にだって笑わない もう飽きてしまって ....
明日がやってくる
道すじに
サァァ、サァァァ……と
雨が降る
──誰も寝てはならぬ
けれど
そのうち
雨だれのアリアを
聴きながら
いつのまにか睡ってしまう
今日に
....
梅雨の隙間がもたらす
フォークダンスのひとときを
ウラノスに捧げようとしているのか
足太鴉がわめきあっている
まさか 住宅街での縄張り争いでもあるまいに
それとも 恋の鞘当 ....
泣くことに努力はいらない
笑うことにも
泣かないことにも
努力は必要だ
雨がふったといっては
泣いているかえるのように
ほんのりうれしさをまじらせながら
女のなみだは
意味がな ....
お金を数えていたはずなのに
気がつくと
銀行の人は星を数えていました
こんなにたくさん
どうやって集めたんですか
と尋ねるので
生まれた頃からあったと言いました
使いきれない ....
小さな羽根で
飛んでゆける範囲の
小さな幸せしか知らぬ
円満な人生の理想
私はその設計図を
この世に生を受ける代わりに
安値で売り渡した
波荒む大海に
耐えられるほど強くない
む ....
仕事の合間を縫って山や自然を巡り歩く。私は、山歩き。
「たかが」が「されど」たる所以。
どんな自然でも、些細な事でも見逃すのはもったいない、そんな気持ちになる。
鼓膜の内側で美しいB ....
昨日の〆サバがあたったのか
朝起きると吐き戻しお腹も刺すような痛み
背中がかゆくてたまらず
爪を立てるとなんだかツルツル滑る
鏡に背中を向けて首をひねると
なんとも綺麗な ....
夏の盛りの
透明な記憶の破片
縁側のよしずの陰の
幼すぎた沈黙
君のちっちゃい手が
大人びた仕草で
泡立つコップを
気まずさの真ん中に
ふたつ置いた
言葉の結び目が
....
小さな花が
音も無く咲くとき
小さいなりの輝きがあるだろう
太陽は
惜しみなく笑顔を贈るだろう
私たちは
知っている
どんな花も魂をゆさぶると
小さい花は
小さいことを
....
{引用= 1.服を着ています
私は分けています
したがって私は健康です
2.一房の葡萄を
あなたに任せています
何処に捨てる ....
きみの口から
高速道路が伸びていた
ビュンビュンと車が行き交う
粘液のような真夏の夜に
赤い光を撒き散らして
そこには、一台だけ
逆走してい ....
薄い雲に覆われ
目視できる
ギリギリの明るさで
太陽が唸っている
目を閉じると
破裂した光の飴玉が
痛みなく脳髄に
突き刺さってくる
その色は最初
透明な初乳のようで
やが ....
相変わらず定まった向きで沈む
僕を含めた人々の群れが
溺れもせずに器用に進む
東京では何処も見慣れた世界
誰かの痕跡が消えていること ....
雨脚が近づいてくるように予感があなたを誘う
ときめきじゃなくやって来て、互いに踝を確かめ合うの
小さな小銭は持たない
それ以上詮索はしない
寄り道をするように、濡れた肌の一滴を舐めあうだけ ....
コンビニの仕事の至福の時間は廃棄デザートを漁る瞬間にある。早朝出勤の寝ぼけ眼から仕事に入る間の甘味の大人食いは長い一日の始まりに相応しい。
◇
「お客様、ちなみにどれくらいの時間煮 ....
千切れかけた夜に流れる月が未練する
(月をハート型にくり抜いた夜貴方と)
君の面影が遠い空の飛行機雲に乗って
(寄り添う私は無言の約束)
初恋は通り雨のように虹 ....
客車の窓から外を見て
景色が後ろへ飛んで行く
しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ
山は青から朱に変わり、
不気味な道が這い回る。
しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅ ....
晴れ空、日差し、涼やかな影、
街ゆく人々はどんな顔して起きたんだろう
晴れ空、日差し、涼やかな影、
15ねんまえの
東京を思い出す
彼女の手からは
なつかしい匂 ....
雲をながめたり
雨をながめたり
次第におおいかぶさる
暗闇の手をながめたり
そのたびに
母に
「またぼんやりして」
と言われた
私は
実にぼんやりした子どもだったのだろう
....
いつになれば
大人になれる
いくつになっても
あの頃思い描いていた
大人とは違くて
お酒を飲んでも
車を買っても
お母さんになっても
いつまでも
大人になれな ....
疲れを癒すバスタイム
目を閉じ湯舟に浸るとき
心の汚れもながせたらと
森林の香に頼るだけ
誰かを 好きになってみたいね
この心を 奪われてみたい
皮肉なことだが
失うことに 飢えている
寂しいから、じゃなくて
そそられるから、じゃなくて
好きだからという理由で 誰かを追 ....
わたしを救いたいなら
あの月を涙でくるんで
そして、ピアスにしてください
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