『腕』 あおい満月
しかくいまちの
しかくいまどから
しかくいそらをみている。
陽炎の向こう側を
車が走る
人々はアクセサリになって
街の腕を滑っていく ....
夏の陽射し
猫の影くっきり
耳をぴーんと立て
猫の影くっきり
二匹の影が重なり合う
世界中の地面や壁に
夏の陽射し
猫の影くっきり
尻尾をぴーんと立て
....
とにかく咽が渇いていた
コンビニに入りお茶を一本だけ買った
友人と呑みに行った帰り
ただ俺は咽が渇いていた
俺の中に一匹の狼がいる
俺の中に一匹の狼がいる
そいつをてなづけるのが俺の仕事
....
散歩
子供は誰かとあるくのが好き
たえずおかぁちゃま
たえずおとうちゃま
おとうちゃまのなかのよい和さんは
かずにいちゃま
抱きつきたいの
走り ....
つくりものの頭髪に雪
暗号は箪笥にしまわれていたが
防虫剤の匂いに毒されもう使い道はなかった
幼少期に誰もが熱をあげやがて棄て去った玩具同様
為されるべきことは二、三あったものの
その手 ....
星がない夜空で
遠く昔に君が歩いたはずの
もう見えない足跡でさえも
まだアスファルトには
小さな熱としてこもっていて
切ない夏の夜に
孤独な月が隠れながら
白夜について
君のとても ....
美・サイレントをききながら、口パクを真似てみる
「愛が欲しい」とか「すべてが好き」なんてちがうよなと思いつつ
こりもせず、もう一度、真似てみる
*YouTube 美・サ ....
虫かごがなかったので
捕まえた一匹の蜩を
膝の中でかいだしたのは二日前
膝の構造のなにがよかったのか
膝の中で蜩は、よくないたのだった
スタバでコ−ヒ ....
顔のない世界を
ゆっくりあるいてゆく君を
ぼくは呼び止めて
お茶に誘ったんだ
言葉が伝わらないままに恋をし
手をにぎらないままに
ベッドに誘ったんだ
きみは買い物袋をさげて
と ....
蝉がちりちりと鳴いている
曇天に夕方の縞模様ができている
ヘリの音がする
電線がうごかない
縞模様もうごかない
ヘリの音が遠ざかる
遠ざかれば遠ざかるほど
そ ....
書けない、書けない、書けない、書けない、
ばらばら
と紙くずばかりが
おちてくる
山と積まれた本のなかから
自分の胸を引っ掻く
キイワアドを探しても
君のいない時間は
....
食べても食べても、淋しさが埋まらない。
だから、腕を噛んで、千切って肉を食べて、空腹の内蔵を食んで、
食べ物の匂いを消すために、鼻を千切って、
食べ物が見えないように、次は目をくり貫いて、 ....
なかなか膨らんでくれない風船に
飽きもせず息を吹き込み続ける
何処かに穴が開いているのを知りながら
滑稽な独り遊びを止めることが出来ない
春には妄想を咲かせて散らして
夏には傷痕を弄 ....
本の中で、死んだ者はここに流されてくる
happy-endもbad-endも等しく
作業員達は
本棚の黴びた本を種火にして
廃材に火をつけていった
本が体を温める
文字を読める ....
君には誰かの面影がある
たとえば五月の風のような
たとえば素直な犬のような
ほとんどはじめて会ったのに
なつかしい気持ちがする
昔の画家の絵のような
どこかで聴いた歌のような
思い出そう ....
やわらかな夜の入口で
関節のありかを
ひとつひとつ
たしかめていく
幾度となく
繰り返してきた
解体のための
いとおしい作業
継ぎ目よ
さようなら
肉体は部品となって
ていね ....
来世とか前世とか
全然信じていないよ。
これまでも、これからも。
あいにく科学的思考に夢中なものでね。
だけど、不思議だな。
君といると
君の言う「永遠」は
とても心地よ ....
ふたしかさ。
たしかなふたしかさを持つ
それが彼のこころ。
みえるようで
みえない。
いつも家族が集まる夕飯時に
そっと背中を通って
硝子窓を覗く
それが彼の部屋 ....
一週間前にがなりたてるように鳴いていた、蝉の死骸を見つけた。
こいつは実は長生きなんだ、騙されないぞ、と僕は思った。
この世は、騙される事が多すぎる。
ずっと彼氏は作らないと言っていた、大好きだ ....
蒸し暑い曇天にカミナリがときどき光っている
だいぶたってから音が聞こえる
町並みが湿っている
湿っている
悲しい気持ちが詰まってくる
戦争と疫病を向こう側に見ながら
....
誰もいない
風がいつも吹いている
そして 風が そうおもうときに
寂しく肩を 通り抜ける
そして ページをめくる
いつも 誰もいないから 本を読んでいる
僕がそこにいる
薄 ....
初秋
波打ち際 生まれたての姿のような
素肌を海がさらしている
その波打ち際を
インク瓶に入れて持ち帰りたいけれど
海に波打ち際がなくなったなら
空となんにも変 ....
咳き込みながらモーツァルトの子守唄
盆
死を垣間見る
生に敏感になる
盆
ぼん
わたしのいぬはしんだんです
あいしていたんですほんとうです
なのにあのこはにゅうがんで
ひとすじにょうをこぼしてしに ....
冷たい水をあげましょう
嫌な記号が消えますように
何もないこの星で
唯一の宝物
冷たい水をあげましょう
昔の歌を歌えるように
君を単なるいきものに
戻すのが僕の夢
虫た ....
生活という書式をたちあげる
ブラインドの隙間から
僕の一日がやってきたならば
年月という埃をまとわせ
洗濯機からまっさらな振りをしてでてくる
洗いざらしの理想
ベンジャミンフランク ....
ぼくらがこの身体から発して
世界を考え感じている限り
人生にはいろんないやなことがある
それがこの世に生まれてきた証だ
でもこの身体からだけではなく
時代や文化をこえて
....
花 ふりつみて
若葉 ふり
蛍 ふりやまず
星 ふりそそぐ
みのり ふりはじめ
枯れ葉 ふりおわり ....
血を吐いて蚊が死ぬ
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