もう何処まで来てしまったんだろう
振り返ればもう出発点は視えはしない
視界に映るのは遠い後悔か 懐かしい悲しみか
幻だったかのように過ぎ去った愛するひととの日々
振り返れば道は一本だけ
....
雨の朝
小学校に向かう道
長靴で水たまりに入って
退屈をけとばす
一瞬
水滴が空にむかって
飛んだのを見た
気がした
一緒に何かが
地上の繋ぎを解かれた
風船のように
ぼ ....
話が尽きたので口を噤んだのではないのです
呼びかけるべきもののために口を閉じたのです
話を中途で止めて口を噤んだのではないのです
これからむしろ新たに始めたいのです
話が取りとめもなくなったの ....
始まりは海
すべては海から生まれたの
この世界も
この世界に疲れてしまったあなたも
あなたが流す涙も
涙を洗い流す雨も
すべては海
だから
海へお帰り
さあ、海へ
って、ドラム ....
君とは砂場で出会った
人見知りの激しかった僕が どんなきっかけで
初対面の君と口を利くようになったのかは
よく覚えていないけれど
とにかく君と 日が暮れるまでそこで遊んだ
別れる時に ....
ネコマニア
さようなら いつの間にか居なくなった友達へ
悲しいけれど すぐに忘れてしまうかもしれない
お墓を建てよう 冷たい地面の上じゃなくて
まだ暖かい 心のずっと奥の方に
い ....
晴れた日に口紅を買う
いろいろ遠回りをしたけれど
やっと自分に似合う色をみつけた
女はもともと紅い口紅をつけて
生まれてきたのに
日々の雑事に追われて
いつのまにか
それは色あせ ....
叡知の海で僕は空腹だった
水平線にうわ唇をあてて
南極を氷菓子のように食らった
腹を下った一隻の客船が
座礁して人々を吐きだした
光のとどかぬ海底に
沈んだ宝飾が失明した
叡知の ....
冬の終わるところへ一緒に行きませんか
さやかな声に振り返れば茶色い子
翼がふるえている
寒さにふるえている
融けないままの樹氷の絵がみえる
、いつの間にかここは冬の国
もとっか ....
酔った勢いでなんか
I love you は言えない
雲の切れ間から
現れた満月が濡れ始めても
僕は言葉にはしない
起った勢いでなんか
I love you は居えない
蜘蛛が吐き出 ....
思いは言葉を越え
沈黙は時空を越え
満ち足りた月と
つぎはぎだらけの僕の満身
寒風に洗われる
僕の心は月光と暗闇とに抱かれ
投身
光と闇とを纏い
朝の来 ....
帽子ひとつで海に行く
浜辺に大きな銀色の傘
木陰に避難しながら
水売りをさがす
空と海と浜辺
反射しながら溶けていく
母と同じくらいの女性
スカートの裾が海水にふれる
砂に ....
偶然や必然のふりをして
なにかがぼくらを試している
みんな失いそうになるたび頑張っていた
だって世の中すべて
失いそうなものばかりだから
日曜日 うっかりペットショップをのぞいてしまう
生まれたばかりのかわいい仔犬が
ガラス越しにじっとわたしをみつめてくる
さっきまで泣いていたかのように黒い瞳が濡れている
この人はここから連れ出 ....
花束のようだ、
かなしい訃報も、枯れた
古井戸に溜まる雨水のように、
褪せた、
土色の指先から、
読点ばかりが洩れる、
花束のようだ、
鳥よ、
愛している、と
....
ちっちゃな{ルビ削げ=そげ}
いつの間にかウチの一部や
そやから、ときどき、チクリ、チクリ、
「削げ」の意味
1 竹や木の端の削がれたもの。また、それが皮膚に ....
恋を口にしないで
そんなもの
耳朶の後ろにだって
感じられるから
愛を口にしてよ
年老いた猫みたいに
囁き声でいいから
三日月色の指が
あなたの胸に降りて
深い息を宙に ....
ひとは誰かのために梯子をのぼってゆく
そうでもしなければ生にしがみつけないのだ
移りゆく刹那を
永遠にすりかえる
そのような作業を
慈しみ歌にする
そうでもしなけれ ....
みな年を取って行く
かわいい女を妊娠させ
若い女をエスコートしても
みな年を取って行く
無邪気な芸術家を気取っていても
また年を取って行く
二十五でやっと大人の仲間入りをし
三十で自分が ....
世界が私から遠ざかる
耳鳴り  残響  孤独
夜はこんなにも寄りそっている
    腐ったメロンを想像する ....
桜守はいつも見ている
敷居の前を
週末に見慣れた木立
榎が化けた大欅が
獣たちを一瞬で覆い隠す
昔 此処が夜のしじまだったように
限りない静かがありふれていた
ダカラ思イ出ス ....
雨は嫌いじゃないけど
何日も降り続いたら
さすがに気分が滅入ってしまう
部屋の中のカーテンやクロスまで湿って
身体が重く感じるのは
雨の重力のせいかなあ?
陰鬱な閉塞感に
ついに頭ま ....
ソファーで寝転がり落ち込むお母さんをはげます
休日の午後
海外のビールを飲んでいる
夏休みだとおもう
地下鉄にひとりで乗れなかった
ないしょで飼ってるのに
賃貸の壁でつめをとぐねこ
....
たくさんの・かれた・ちょうが・おうだんほどうを・わたってゆく・
ように・みえる。
あすふぁるとにひかれた・しろいせんのうえに・とまった・と想ったら
すぐに・また・いちどきにとびたってゆく。
....
慣れないバスに揺られて 天神の街にやってきた。
別にパレードを見に来たわけではないけれど
街はパレードで大騒ぎ。
意図してないのに巻き込まれてしまって
抵抗してはみたのだけれど ....
「The first place」
いつも、夜が明ける頃にはゆらいでいる、僕の詩。
(ちいさな卵が孵化し、深淵からやってきた一羽の雛鳥)
いつも、夜が明ける頃にはふるえている、僕の詩。
....
僕をそのまま酸欠にしてね
内臓がぜんぶ月の石になってしまうような夜
どちらにせよ死にたいという言葉は
とてもとても不適切で
もう子供じゃないね
僕たちは
もう二度と書けない詩のことを
....
嘘を憎むのなら
誰かを傷つける罪を覚悟しなければいけない。
嘘を否定するのなら
真実を受け入れる強さを持たなくてはいけない。
あの晩彼女をありきたりな理由で傷付 ....
僕は 忘れていた
詩を 書くことを
わからないと思うからこそ忘れていた
イメージを ノートに 感じたかった
大きな山を見た
確かめられなかったのは紙の内側にある青い海だ
苦しん ....
僕らはやって来た
山脈を望む高台で自身の未来を仰ぐべく
正中する太陽の指し示す影を追って
南の肥沃な低地には生命の修羅があって
過剰な欲望が溢れていた
充足の幻影が従属であること
....
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