無一文の今日

近所の古本屋を何件か回って
ジャンルごと本売り分けた

最後のブックオフで買い叩かれた
それでも今日、実に清清しい気分になった

別れた本にありがとうと言うのも何だか空 ....
おやすみなさい
今日の日は過ぎた
明日は親知らずを抜きに行く

二週間前に予約して
あっというまに
今日が来た

虫歯になっていますから
治療したとしてもどうせ
使いみちのない歯だ ....
パワーストーンのパワーにおされている ゴミ処理場だって
場外馬券売り場だって
下手すりゃ
コンビニだって
隣に出来たら
文句言う訳だからさ
自分ら使うくせに

要は距離の問題なのよ
自分家から遠けりゃ
例えばアフリカに ....
木の天辺に腰かけて 青空と雲ばかり見る
木の葉を見下ろして 草が波のよう
風から生まれる 花の歌
花しか知らない 風の夢

靴が かかとから外れて
靴が 足から うっとりと飛ぶ
羽など  ....
椅子になってみようと思って
椅子にはなれなかった
三秒で挫折した
たゆまぬ努力なしに
椅子は存在しえない
私の大腿四頭筋は悲鳴を上げ
痙攣を始める

あまねくすべての椅子は
慈悲とい ....
人の体温に恋して
霊は家に住み着くらしい
頼んだわけでもないけれど
周りにたむろする木や草の
のぞき込む好奇心を追い返し

昼間 人が出かけても
テーブルの下 柱の陰
ドアの後ろの暗が ....
きみの 笑顔をなぞる
幸福の 灰を集める
それは 溜め息に昇華される


きみがいない日曜日
長い一秒の積み木を重ねては
平手打ちで崩す作業を繰り返す

きみのいない午後 ....
暮れのこがねの海岸に
こがねに染まった猿がいて
石穴に石を通そうとしている


街中にはりめぐらされた
ロープウェイの鉄線を
無人のトロッコが走りつづける


 ....
前も後ろも悪くとらえる人だ  
昨日の私は、耐えるだけ

今日の私は、むせび泣き

でも、明日は笑ってやるの


 
ジョンレノンが歌った

目を閉じれば生きるのはたやすい
開いても見えるのは誤解ばかり

それでもいいと思うのだ

何も知らなくていい
観念ばかりが先走りするよりは

いま見えるもの ....
私にとって秋は蟻ほどに明確な季節ではありません
私にとって秋は蜂ほどに運命的な季節ではありません
私にとって秋は鈴虫ほどに激しい季節ではありません


今朝。私の手のなかであまりに柔らかく容 ....
        ふりつみて
        漆黒のまつげの先に
        しんしんと
        どこかでだれか
        涙する
        まつげにつらら ....
げんこつが口から出なくなっている いちじくは
花を 外に 開かない
いちじくは
内側に無数の花をつけ
やわはだの秘密を 隠し持つ


ある日
たったひとつの いちじくの実に
たった一匹の 蜂が来た
 ....
金色のにおいは6月の
花嫁御寮のかんざしで
紅いにおいは8月の
海がかくした桜貝
淡いはかない香りは10月の
踊るガボットの薄茶色
揺れてかすれて散り落ちる
北風のひとすじのままにさ ....
僕の<ありがとう>に
羽がはえて
僕の<あり蛾とう>が
飛んでいく

特製オムライスを作っている
君の左肩にふんわり
とまると思いきや
君の脇腹をつまんで
帰還する

<最近 ....
おしまいを
覚えさせたのは あたし
おしまいですか?
そんならしかたないですね、と
ちらり 上目づかいで見上げたって
もう おしまいだよ
これは
さいごのおしまい

おしまいがなかっ ....
秋の夕暮れ
床に漂う冷気に足を漬け
おとこひとりタマネギを剥く

まな板に乗せ 包丁を持ち
玉ねぎの白い肌が 
病床の妻に重なって
ためらったおとこから
逃げたタマネギ

床から拾 ....
螺旋階段を下りて行った
ぐるぐる
ねじれる記憶を
拾ってきたの
遠いこだわりを
大事そうに抱えて
あなたは私を指さして
「あなたが私を傷つけた」という
そうだったかしら
身に覚えがな ....
朝の忙しい時間に入る前に
外に沢山の雪が降り積もると

暗い時間から起きた妻が独り
除雪の作業をする
それは
ぎっくり腰以来
腰の具合が悪い
ボクの為なのかもしれないが

真意は解 ....
甘すぎる飲みものに
あまり遠くまで泳いで行けそうにない日
という名まえをつける

低体温というひびきに憧れなかった?
いいえ、わたしは
身体のとおいところが
ゆっくりとまわるようなめまい ....
「早く寝てね」のメールで起きた 想像妊娠が安定期に入った ひとが変わるとき

それをぼくらは裏切りと呼んだりする

ひとはいきなりは変わらない

それまでのことは隠れている

隠れていたことが現わになるとき

それをぼくらは裏切りと呼んだ ....
詩の声が聴こえる

私が設定したのか された必然性の声

優しさはあなたの右に出る者はいないよ
私は微笑みながら左から見ている 戦ぎと凪の時空空間越え
声が聴こえる詩の

あなたの神秘 ....
光しか見ていない人は
本物の光は描けない
土踏まずの深い足裏で
たわわに熟した葡萄を踏みつぶす
たちどころに
赤紫の液体が
{ルビ箍=たが}で締められた
大きなたらいの中でほとばしる
秋の森は
少年と少女の息遣いで色づき
どこ ....
ふわっと秋のにおいが わたしの頬を通り過ぎ
あの日を思い出す 

だいだいいろの あの花は 
今日も誰かを傷つける

少し寒い秋の風が わたしを通り過ぎ 
あの場所へとさらってゆく
 ....
ただのみきやさんのおすすめリスト(14211)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
無一文の今日- モティー ...自由詩713-11-5
おやすみなさい- Lucy自由詩20*13-11-5
パワーストーンのパワーにおされている- 北大路京 ...自由詩413-11-4
庶民の真理- 花形新次自由詩413-11-4
み_どり- 砂木自由詩15*13-11-4
あまねくすべての椅子に捧げる- そらの珊 ...自由詩2313-11-4
家霊- イナエ自由詩22*13-11-4
影踏み- レイヨウ自由詩113-11-4
ノート(かたむき)- 木立 悟自由詩813-11-4
前も後ろも悪くとらえる人だ- 北大路京 ...自由詩313-11-3
明日は- 殿上 童自由詩16*13-11-3
苺畑のきのう今日- 梅昆布茶自由詩1413-11-3
ゆく秋に- 月形半分 ...自由詩1013-11-3
眠りのなかに- 石田とわ自由詩13*13-11-3
げんこつが口から出なくなっている- 北大路京 ...自由詩713-11-2
いちず- るるりら自由詩22*13-11-2
枯れ葉- 月形半分 ...自由詩413-11-2
<ありがとう>- nonya自由詩25*13-11-2
【おしまい】_詩人サークル「群青」10月の課題「無」から- そらの珊 ...自由詩14*13-11-2
玉ねぎの涙- イナエ自由詩10*13-11-2
螺旋階段- Lucy自由詩14*13-11-2
伝えられない本当のこと_- 板谷みき ...自由詩5*13-11-2
ミルクティー- 平井容子自由詩1013-11-1
「早く寝てね」のメールで起きた- 北大路京 ...自由詩813-11-1
想像妊娠が安定期に入った- 北大路京 ...自由詩313-11-1
ひとが変わるとき- 吉岡ペペ ...自由詩713-11-1
詩の声- 朝焼彩茜 ...自由詩12*13-11-1
光しか- Lucy自由詩1013-11-1
葡萄酒- そらの珊 ...自由詩20*13-11-1
秋の風にさらわれて- 葉月桜子自由詩3*13-11-1

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