ときどきは野道をはずれたわわに実った
葡萄のみずみずしさのなかをあるく

清流はただひとすじに丘をくだり
やがてはしずかな湾へとたどりつく

空から舞い降りて来る静謐をひろいあつめ
ジグ ....
強烈な風雨を受けて
折れてしまった月下美人の葉を
何気なく水に差しておいたら

根が出た

その後も根は伸び続け
葉のくぼみに蕾をふたつつけた

さすがに花を咲かせることはなく
 ....
役人になった友人がいくらか出世して久しぶりに故郷に帰ってきた。農家を継いだ私は果物などを振る舞って、彼の話をゆっくり聞いていた。短く整えられた髪の下に、昔ながらの親しみやすくよく変わる表情 .... 産まれようとすることに埋もれようとする

ことばたちはいつだってわがまま

全て、すべて亡くなってしまえ
幾千の墓標に、ひとつ
ひとつと名前を付けて
吐瀉物と戦いながら埋葬したい

 ....
時々スーパーで売られている

アルミでできた鍋焼きうどん

スカスカの天ぷらが入って

賞味期限もまじかだから七十円

炎にパチパチ音を立てて

グツグツ煮立ったアルミの鍋に

 ....
                 
ぼくは大切に飼っていたのである
泥川からザリガニを取ってきて 喰わせた
嘴の一突きで赤い頭を割り ピーコは喰った

切り株のうえに 
おとうさんは羽を押 ....
風が止んだ 窓に凭れている月光
まるくなった猫の瞳に 映る洋燈の揺らめき
一枚の油絵から 零れ落ちる泉のしずくが
なめらかに滑り落ちた 鍵盤の上


都会のざわめきは遠く 静けさに
 ....
金木犀の木を根元から見上げる
町中ににおいが広がる季節だ
朝晩の冷え込みが増して
空の上底が少しずつ遠くなる

太陽の光が弱まり
勢力を拡大する樹木の紅潮
涼しげな暖色が控えめに
 ....
小声で褒められた      青い春に 赤いゆめを破られた
白い秋に 黒いまぼろしを見せつけられた
   こころの堂々巡りを繰り返している
         老耄のおひとりさまょ
   終着駅のネオンが点滅してる ....
一粒の涙膿む川は遠く使者を迎え入れる墓穴が崩れた粉塵の頂

そのとき雨は赤土を滑らせ剥き出しの瘡蓋が捲れる

二粒の痛みが火柱を磔に叫ぶ愚か者よこの大地から去れと

舞う風を頼りに ....
大切な約束をしたことを
いいかげんなわたしは
いつのまにか
忘れてしまった
むきだしのアセチレンランプの猥雑さざめく夜市
腹を見せて死んだ金魚は
臭う間も与えられずに すばやく棄てられる
 ....
一軒家のブロック塀と道路の間に

はみ出したサボテンたちが

楽しそうにからりと佇む

プラスチックのプランターも割れて

土もほとんどなくなり

とっくの昔に忘れ去られているのに ....
怖い話だが滑舌が悪い たとえ
風化した夢の流砂に足を捕られ
概念の骸に
躓いても
滴る汗や粘る唾液
ではなく
目尻に薄く滲む涙に
遠く虹を映し
地の底に匿された
泉を探し
彷徨う一頭の駱駝が
貴方であ ....
もう一度
巡り会えると思っていた
例えば
白い窓枠の廃校舎
花壇
の隅に埋めた
解剖のフナ
誰かが拾ってきた小鳥
教室で飼っていた金魚
アコーディオンを弾いていた先生
転校していっ ....
背中から滲み出ていった
粘性をなくしさらさらたあいなく
細胞膜を圧し拡げ
やがて満ちてくる
潮の匂いを
含む泥水

糸は震えず
笛は鳴かない
風が吹くたび
飛ぶ 砂の荒らさ
腰か ....
真夜中に珈琲がきれる
煙草なら予測できるのに
インスタントの残りをよく忘れてしまう
一袋くらいパックがあるだろうと彼方此方を探しまわる
引き出しや鞄の中を探す
語れないひとときが ....
一日の終わりに感謝が募る
愚痴の可愛さは勝手に元の圏外に戻る
感謝は勝る 何よりも勝る

意図にせよ能動の自然にせよ
一日の終わりに感謝は募る
感謝はべきではなく完璧の地球色の空

  ....
縦横無尽の蜘蛛の巣に
きらり、とひかる
ひと粒の


水に囲われ
ささやかに揺れている
ひとしずくの
時刻

断片的な
その美しさのかたわらに
白く包まれた命がある
 ....
手を振り返さなければ乗れた終電 隣の村とぼくの村の間に 
鎮守の森が有って
鳥居の奥には不思議な気が漂っていた
大きな楠があって 
その前には祠があって 
神様が居るらしい 

子供のころ お願いしたのだが
たとえば ....
憎しみを忘れるな
献身的に仕えれば仕えるほど
鬼はわたしを罵り唾を吐きかけた
黙々と庭で草むしりをする人間どもは何故か笑顔で楽しそうだ
※尤も人間たちは舌を抜かれていた
不思議な光景に映 ....
小さな
一人暮らし用の冷蔵庫
霜だらけの冷凍室の内部は
どんどん狭くなる
なのに
霜取りスイッチもない
しかたない
それでは
冷蔵庫と冷凍室を空にして
霜取り
 ....
画家がキャンバスに向かい、あらゆる影を創り出す時、
私は白昼の都会で私の影を創造した。
人並みを避けながら、あらゆる方角へ歩みを進め、
変幻自在に形を変える自分の影を創造した。

発見と ....
ふくよかな
疲れきった
男を知った

雌がいる

花のにおい
男を惑わし
その肌肉で
つつみこむ

雌がいる
芝刈りの最中、可憐に咲いている名も知らぬ花を私は見た。
同僚に聞いても知らぬと言う。
私はその花がどうしようもなく気になったので、
皆の見ていぬうちにこっそりと花を抜き、作業着のポケットに詰 ....
食べたものがお腹に溜まってくると気持ちわるい
出そうか出すまいかと迷ってるのはボクと腹の虫
これは無理に捻り出せば後ろに残るし
といって出すのを止めればまた虫たちが布団の中で暴れだす ....
振り返れば後ろに誰もいない森の小径を私は往く。
森の中はあらゆるところから何かの声がする。
私を狙う声、無関心な声、官能的な声、はては幻聴。
道案内人はとうに消えてしまった。

自らの思 ....
鈴虫や蟋蟀
名も知らぬ羽虫の伴奏の中
誰かの家から
音階を昇降する
提琴の音色
同じく振動を音にする
小さな先輩達と響かせる
夜闇のエチュード
ただのみきやさんのおすすめリスト(14283)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ある白地図- 梅昆布茶自由詩1014-9-27
生きるためになんか生きられない- nonya自由詩25+*14-9-27
使命- 葉leaf自由詩114-9-27
詩暮れ- 楽歌自由詩2*14-9-27
鍋焼きうどん- 灰泥軽茶自由詩914-9-27
ピーコ- 島中 充自由詩5*14-9-26
晩秋_冬支度- 藤原絵理 ...自由詩6+*14-9-26
花の下にて、秋- 木屋 亞 ...自由詩3*14-9-26
小声で褒められた- 北大路京 ...自由詩414-9-26
残された時空_⑩- 信天翁自由詩414-9-26
囚地- アラガイ ...自由詩4*14-9-26
あかい花- そらの珊 ...自由詩2614-9-26
野良サボテン- 灰泥軽茶自由詩1114-9-26
怖い話だが滑舌が悪い- 北大路京 ...自由詩414-9-25
あかい砂漠に- Lucy自由詩13*14-9-25
帰郷- Lucy自由詩15*14-9-25
廃船- Lucy自由詩9*14-9-25
赤坂三丁目の珈琲- アラガイ ...自由詩9*14-9-25
地球色の- 朝焼彩茜 ...自由詩2314-9-25
縮図- 千波 一 ...自由詩514-9-25
手を振り返さなければ乗れた終電- 北大路京 ...自由詩2014-9-24
鎮守の森で- イナエ自由詩12*14-9-24
蓮池- アラガイ ...自由詩9*14-9-24
霜取り- ichirou自由詩1014-9-24
個人的詩作について- ヒヤシン ...自由詩13*14-9-24
人妻- 暗闇れも ...自由詩114-9-24
小さな祈り- ヒヤシン ...自由詩9*14-9-24
便秘- アラガイ ...自由詩9*14-9-24
ユートピア- ヒヤシン ...自由詩7*14-9-23
提琴の調べ- 凍月自由詩5*14-9-23

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477