夏のあいだ僕らは
危うさと確かさの波間で
無数のクリックを繰り返し
細胞分裂にいそしみ
新学期をむかえるころ
あたらしい僕らになった
けれど
ちっぽけなこの教室の
ひなたと本の匂いとザ ....
歩いてくる人の音楽
マンションの音楽
電車の音楽
実際に空気を振動させる音とは別の
抽象的な音楽が流れる

抽象的な音楽は
視覚的イメージによって構築される
細胞のような構 ....
きみの取扱説明書をみつけた
ちょっと古びて
もう保証書もどこかへいってしまった

皮膚を剥いでゆくように
すこしずつものを整理してゆく

基本性能だけでいいのだ
死ぬまでにデフォルトの ....
 
喧騒の夜

組み込まれているから、見えない

都会にもいるんだよ、言霊



 
ことばを吸い込むと、
身体中の血管が弾けて、
なみだになって流れていく。
そのなみだが、
地に落ちて、
灰色のキャンバスの上に落ちていく。
キャンバスの頬に
薄桃色の赤みが ....
今はもうないくだものを
ないお皿に山盛りに載せ
今はもうないお屋敷の
ないお客様に振る舞うため
両手に捧げ
運んでいく

彼女はもうない白いエプロンを着け
もうない芝生の上に
テーブ ....
痛い痛いと泣きながら
ひたすら和らげようと
体内に入り込んだ異物を
被膜で包みこむ

吐き出すことができないので
長い年月をかけて
耐えぬき
堪えぬいた苦痛を
結晶にする
海の底の ....
ある日 
水槽の中で泳ぐ
熱帯魚が
テレビに映った 
青い南の海をみた

こんな狭い
水槽の中では
すいすい泳げない
テレビに映った
広い海に憧れて

ここから
逃げ出そうと ....
かつて まつげに
マッチ三本載せてみせた
少女は
そこへ
小さな蒲萄を
たわわに実らせたという

おとぎ話は
完結してからのほうが
むしろ真実だったりする

まばたきのたびに
 ....
家の目の前が川だから 安心だ
泳ぎ疲れても すぐに家に帰ることができる
天井川沿いに建つ我が家までは
ほんのわずかの距離なので
帰り道は スクール水着のまま 裸足で家に帰る
焼けついたアスフ ....
太陽から逃げ
砂漠に夜が満ちる

疲れて眠る黒髪を
オアシスの女たちが
優しく梳き解いていく

男たちは横になったまま
闇を見つめて
その音を聞く

唇に夜気がふれ
女たちの頬 ....
私がいないなら、
あなたがいる。
あなたがいないから、
私がいる。
いつも時計のように
交わっては消えていった、
数秒の肌の記憶。

何度生まれ変わっても
告げられな ....
ある時は弟になりました
川に流された弟の
お姉ちゃんとお父さんを励ましました
お母さんはいなかったので
お父さんは一人で子どもたちを育てました
お姉ちゃんはお嫁さんになって
 ....
私の父は18の時に航空兵に志願した
飛行機乗りになりたかったのだ
もちろんお国のために
命を捧げる意義を信じて

間に合っていればきっと特攻に行っただろう

出征するはずだった日の1週間 ....
         150829

乗務機は今は無き香港啓徳空港に近づいた
これからがおいらパイロットの腕の見せ所
いつもわくわくはらはらする一瞬だ
真下には白いビル群が白い墓石が群れ成して
 ....
私も水から生まれたひとりだから
孤りはさびしいだろう
七十年前 誰かがこぼした涙が
いま雨となって私の肩にしたたり落ちる
(人は雨でつながっているのだな)

私のなかで蠢く海流がある
あ ....
かなしみのほうに
かたむいていく白い朝は
つかみそこなった
ひなたちが
さかみちを
ころがりおちてゆく

いきさきは
とおい御国か

秋という字の
右耳に
火がともっている
 ....
ひとつの微笑みを基点として
暗喩の肖像をなぞるように
閉じた眼窩に灯す

瞬きをするより速く
私はあなたの核心に吸い込まれていった
すべての史生の機軸を発火前に戻してしまうことを
あなた ....
右手の痺れがとれない
小指と薬指の感覚がない

いつもの山田先生はひとこと
これは頸椎だから松崎先生のところに行きなさい
まだ午前中で間に合うから
ちゃんと血圧も測ってね

松崎整形外 ....
河をゆく
死骸の映える
水だ、なまぬるい水だ


{引用=
青白いくちびるに痩せた指がすべる、きみの
かたちがすきだ、八月がいなくなったら手を
つなごう、つよく、きみだけがこいしい ....
お母さん、私ね、学校にin loveなboyが八匹もいるんだよ

金魚に餌をあげていたら 
次女が後ろで不意に大きな声を出すものだから
目の前の水槽に
突然金魚が九匹飛び込んできて、
その ....
卒寿のおひとりさまにあって
          それは
昼さがりの うたたね でも
    まどろみ でもなく
ただ 無聊に
 まぶたを 閉じていたとき
    隣家からもれてくる
   ....
骨の出た傘をさして晴天の空を歩いた
嵐はわたしを押し流して川まで来させた

川の様子を見に来たのよ
川の様子を見に来たのよ

川はすごくおだやかだったのよ
そうすごくおだやかだったのよ
 ....
凍結した大地
彷徨する雄の白熊

雌の匂いを頼りに
年に一度の交尾求め

蒼白い氷壁の上
雌雄は獰猛に唸り

出逢い対峙スル
選択の余地はない

生き残って来た自然
彼らの ....
空いた穴
開いた穴は
茫漠と広がり広がり続け
秋雨に濡れ
崩れ落ち
瓦解を止めない黒土の縁

喪失の上塗りは
肉を蝕み
麻痺する魂
一人生の円環は閉じかけ
独りから独りへ

 ....
最強の日には

誰も私を
夢から起こせない

日常に起きるすべてが
嘘みたいに葬られて

私は夢から目覚めない

だれもかれもが魔法の産物で
そして私は気にしない

いいじゃ ....
苦しいだけよりは
少しばかりの笑顔で 取り繕うと
あなたは 眉を 動かす

連動するように
ワタクシの 唇が
歪な角度で Uの字を 描く

ここから出してと
叫んで いるのね ....
酒の自動販売機の前で
近所のおじさんは
ワンカップのボタンを押す

がたたん

おじさんは
しゃがみこむ

しばらくして
立ち上がったおじさんの手にあるのは
完全に飲み干され
 ....
三年後にはいくつになる?
五年後は?

答えはわかっているけれど
どんな自分でいるのかわからない

昨日と今日
おなじわたしにみえる

中身は同じじゃない?
大木の前できいてみる
 ....
雨なら外を見たくない
優しい人なら会いたくない

時に多すぎる感情を
いい香りの紅茶で飲み干して

心の中に吹く風は
ふうっと長い息にして吐く

なんでもない
なんでもないよ

 ....
ただのみきやさんのおすすめリスト(14211)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
コピーアンドペーストエンド- そらの珊 ...自由詩23*15-9-2
抽象的な音楽- 葉leaf自由詩415-9-2
空っぽについてのマニュアル- 梅昆布茶自由詩1915-9-1
言霊- 殿上 童自由詩13*15-9-1
分身- あおい満 ...自由詩10*15-8-31
山盛りの果物の大皿- Lucy自由詩10*15-8-31
宇宙の異物- Lucy自由詩8*15-8-31
【_熱帯魚_】- 泡沫恋歌自由詩25*15-8-31
まつげに盛られたファンタジー(或いはモナリザの微笑み)- そらの珊 ...自由詩15*15-8-31
川岸- るるりら自由詩10*15-8-31
月は- mizunomadoka自由詩415-8-30
はなびら- あおい満 ...自由詩14*15-8-30
黒い犬の話- 小原あき自由詩16*15-8-29
私の原点- Lucy自由詩20*15-8-29
真鍮の都- あおば自由詩8*15-8-29
雨と記憶- 伊藤 大 ...自由詩615-8-28
おとづれ- そらの珊 ...自由詩16*15-8-28
◎捕囚- 由木名緒 ...自由詩8*15-8-28
痺れた日々- 梅昆布茶自由詩1515-8-27
/- 4/u自由詩415-8-27
ボーイが八匹- 夏美かを ...自由詩35*15-8-27
緑門(四)- 信天翁自由詩215-8-27
鮎は塩焼き、命は塩焼き- 日々野い ...自由詩315-8-26
原初他者恐怖- たけし自由詩415-8-26
推移- たけし自由詩315-8-26
Alchemist- ガト自由詩4*15-8-25
覗き込む- 藤鈴呼自由詩4*15-8-25
おじさんの伝説- そらの珊 ...自由詩11*15-8-25
年輪- 朧月自由詩415-8-25
笑う街角- ガト自由詩17*15-8-25

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