火の酒を冬の海に呑ましてやる
{引用=
鳴らなかった、管楽器の空洞に、落葉や、
発語されなかった言葉をつめている最中に、
妻はかえってきた、わたしはなんだか、
気まずい気持ちになって、ベランダへ煙草を吸いに ....
道の真ん中に
消しゴムが落ちていた
試しに道をこすってみたら
道がそっくり消えてしまった
ついでに空もこすってみたら
空もやっぱり消えてしまった
おかげで雲は行き場をなくして
おろおろし ....
世界が沈むことを早くしている
今日を忘れないようにしよう
魚は寒くないの
だいじょうぶよ
鳥は寒くないの
だいじょうぶよ
並木道には自転車と五十代と思われるジャージの夫婦
....
すり抜けて通すのは 藍色の液体
なぜに アンタはいつもそうなの?
ソンナこと アノ人に聞いておくれ
いやいや 責めているのではないの
ヒトリ歩きは・・・
できないのよね?
....
人生に設定した目的に向け
一直線に生きていける人はあるまい
散歩先に目的地を設定しても
一直線に歩いて行くことはない
前方の橋
大型犬を連れた女性がこちらに来る
わたしは 当然の ....
様々なモノ達がきみを常に誘拐して行く
TVや学校であやしい人にはついていかないように
言い含められてはいるのだが
国家がすでに誘拐犯でもあるので気をつけよう
砂漠砂漠きみを分解した償い
【見えない力】
桜の葉が
秋の雨に打たれて
石畳や道は艶めいている
やがて すべての葉は落ちてしまうのだろう
しんやりとした風に心を寄せると
桜の匂いがした
たとえ花はなくとも桜 ....
どうか、私を弄んで下さい
その熱く燃える掌で
私の輪郭を全て辿って
白く滑らかな肌に頬を寄せて
息を吹き掛けて
どうぞ、私の中に入ってきて
わき腹を鷲づかみにして
何度も何度も私を翻して ....
無から生まれた訳ではない
原因があって生を得て
所在もない風来坊だが
ひなたぼっこの猫とあそんで暮らす
世界が仏頂面の上司だけで
構成されている訳でもないので
とりあえず仕事は好きだ
....
絵の具のにおいの
血の味の白湯に
夜を映して呑みつづけている
光の奥にあるものに
触れたとたんに移動する
人のものではない矜持がある
熱すぎて近づけない
翼と ....
そのむかし貴婦人が揺られたような
そんな優雅な馬車じゃない
年季の入った歪んだ車輪で
牛馬の糞を踏み散らしながら
凹凸しかない悪路を行く
軽やかな蹄の音の悠長な響き
バナナ農園で働 ....
乳母車を押して
雪道を祖母が
駅まで迎えにきてくれた
ずっと昔
汽車は忘れるほど駅に止まってたもんや
毛糸玉がだんだん大きくなっていく
古い服が生まれかわって
新しい冬を越す
ぼくの記 ....
シンプルな化学反応
AとBをまぜて加熱すれば、詩ができる
Aはあなた Bはわたし
今夜も解けないパズルが肌を燃やす
いえにかえると
やさしいいきものがいる
いやなはなしはわすれていいよ
へんなことばでころげていいよ
ひとりになってないてもいいよ
あしたのてんきをあとでみせてね
うどんとぱすたとひじきとつ ....
ある土地では人が死ぬと川岸に埋めたのだという。
その場所で祀りをし骨は年ごとに沈むか時に流失する
何処に誰が埋められているのかを知る人がいる間は
祀りは続くが知る人がいなくな ....
電池パックの裏蓋に写真を貼り付けて
心に姿を浮かべながら
身体の代わりに携帯電話を抱きしめる。。
コピー詩集を携えて
下町の路地を歩けば
スカイツリーによじ登り
ひしめく街並みの中 ....
まぎれもなく私の時代をつくってきた人たちが、
いつの間にか道の途中、押し並べて額縁の中。
わたしは、
ガラス張りの向こうのモナ・リザを肉眼で見ようとしない人たちと一緒に、
一方向に寄せるだ ....
時々家に帰ってくる君に
野菜を食べさせなくちゃと料理する私
君は
張り切らなくていいからと言う
じゃあね、また来るからと
出て行くときには
うん、またね
あっさり見送る
君が初 ....
もうすこしがんばれたかもしれない傘をたたむ
鏡のうちにはあなたが映る
本当のあなたと
本当ではないあなたと
そのどちらにも当てはまるあなたと
どちらにも当てはまらないあなたが
映る
鏡のうちには時間が映る
過去と未来と現在 ....
平日午前十一時四十分発の
高速バスに乗る人は
どこか イワクつき
一番初めに声をかけてきた おじさんは
昼間から泥酔していて
小さな透明のペットポトルの中に
日本酒を入れ ....
メインストリートからちょっと外れた裏通り
やや湿っぽい陰翳をおびた空気
そこに潜んで居るだろう様々なものを感じながら歩く
舗道の石畳の下に埋蔵された都市の歴史
踏みしめて行った無数 ....
冬の夜が始まる
足もとにはタペストリ
藍色に挟まれる
精神のカルテのようだ
深刻に考えても
始まらない、冬の夜だ
羨みたくなかった
傷つけたくなかった
....
焼肉屋へ行き野菜だけ食べている
死ぬ間際にダジャレを言った
ゴルフウェアで葬式に出た
崖で演説している
領収書をヤギに全部あげた
サスペンスだが犯人がいない
泣きな ....
酷く咳き込む夜は
細切れの夢を泳ぐ
咳の為に目が覚めて
また眠ってはまた咳き込む
「マスクを付けなくちゃいけないよ。」
夢なのか夫の声なのか
ふわふわと聴覚は曇り
暑くて堪らない ....
ものごころがついた頃から
僕はどこまでも透明に近い
風船だった
鳩時計式の心臓から伸びる
静脈と動脈が一番こんがらがったあたりに
震えながら潜んでいる僕自身を
誰もがたやすく見つけ ....
おおきな鉄の
かばんは
おもい
かばんのなかには
かばんのかたちの
空間が
ひとつはいって
いる
よってたかって
見つめられた
少女や
きれいに
彫られた蝶などが
ま ....
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