真白い蝶が飛んでゆく
空へ 私の生きる地から逃れるように
あの{ルビ暖かい=燃え盛る}太陽という名の安らぎへ
{ルビ脆い=もろい}羽をはためかせ
黒い蝶が飛んでゆく
空へ 私の横たわる大 ....
無職でサラリーマン川柳を吐く
未来の自分へ書いた手紙に苦しめられている
一円にもならぬ詩を書いて寝ている
おれの家にはカミサマがいる
毎朝公園を散歩する
おれがよりそって歩くので
怪しげな影は近づかない
近所で揉め事だ
カミサマを守っておれが出ていく番だ
言葉に気合を入れる
四十年近くも会社 ....
ゆっくりと目覚めた休日の朝
起きるとテーブルにはもう目玉焼きができていた
おはようを交わしたまではよかったのだ
目玉焼きの ....
*
あおい夜のシナプスが
ピアノ線のよう
音もなくしのびこむ
月の影
月は ぼくを
しらない
ぼくも 月を
しらない
*
風のない夜
オオミズアオ ....
アルデヒドの香青紫
腹式呼吸が囁く息遣い
鐘が透き通り鳴らす
いつも奴がやって来る
登場人物の証明書を手に
今から会議だと言う
出席決行な目線で誘う
アルデヒドNO5をつ ....
ツキの尽きた夜
月の欠片を突き合わせ
とろりと混ぜた液体を
そそくさと流し込む
この身体に
この心に
乱れた図体は
案外 頑丈で
どこまでも
壊れない
ように ....
<材料>
トマト4個
玉ねぎ1個
パプリカ2個
ちくわ1本
オクラ3本
オリーブオイル大さじ2
夏の風1分
現代詩2作品
遠くの歌声1曲
ホースで庭につくった虹7色
<作り方 ....
海馬が海を欲しがる
海馬が馬を欲しがる
僕は君を欲しがる
非常に脈絡がないが整合しているさ
君の内臓を貫いて心臓へ達する
もちろん致命傷だ
それが僕の返礼
海馬は賢いんだから
海馬は透 ....
仄かに月は翳りようよう薄明が始まろう
短縮された歴史はこの一点に凝縮する
ストレンジデイ 僕は 獣になっていた
フロイトに精神分析されている夢をみる
そう僕の中の彼女を苦しめてはいけない
僕 ....
こがね色の岩の洞
居ないものの影が映る
葉より上に浮かぶ捕食者
傷のように緑を焼く
骨と星 骨と星
白紙が白紙に落ちる距離
昇る泡のなか
線を描いて
猫 ....
「泣かないで」の声が泣いている
森に囲まれた白い家の個室で私は私の感性を解放する。
それらのうち、あるものは壁に反響して部屋中を駆け巡り、
あるものは開けた窓から外の空間へ抜けてゆき、そしてこれが一番厄介なのだが、
そのど ....
ひとというものは
通り過ぎるものだとおもう
そんなわけで父もまた
私を通り過ぎたのだとおもう
私もまた
だれかを通り過ぎるのだろう
忘れられてもかまわないけれど
できるなら
私 ....
ねむりながらおきて
いつものように
あめがふってかぜがやんで
せんねんたって
わたしはわたがしになった
くだらなくてつまらないわたがし
さかなをさがしたり
きのみをうえたりきかい ....
東京お台場で昨夜起こった
怪獣アホノドンと”帰ってきやがった”ウルトラマンとの闘いは
壊れた建物や投げ飛ばされたアホノドン、
”帰ってきやがった”ウルトラマンの意味のないオーバーアクション等によ ....
あの蘭の背骨 老婆の屈み 顔は幾何学じみていて
あの蘭のようなエッセンスを持たない 好み転じて白か黒か
あいまいな境界線を踏む必要もない 好きか嫌いか 好きになれない
....
【恋するシーラカンス】
次ニ カラダガ アクノハ イツ?
湿った瞳で 体の中をのぞいても さあ
青天も 深海なのよ
るりいろが ひるがえるパチンコ屋の銀の壁面 巨大魚に想える
あ ....
高層ビルの一角に再現された空中庭園
そこに残ったのはサクラの樹一本
話が違う。
そこの地べたにはかつて公園があった。
今日(いま)
ベンチに腰掛ける老人はもういない。
ラジオ体操をする ....
よく異性との友情は有りかという質問がなされる 僕は有りだとおもう
僕の女友達はみんな魅力的で大好きな人達だ
いつもカラオケ仲間の昭子姉さんは体格は力士性格もそのまま豪放磊落だ
夏絵嬢 ....
めまいがする
にじんでいる
なみだがとまらない
さけびたいのに
おれのせいなのに
こころなんて蟻さ
きよらで柔らかな生き物に
知らぬまに踏み潰されている
....
生まれたばかりの子に気を使わせている
)))))ゴキブリが這いまわる
((目がまわり
)夜がまわる
助けてよ
熱がまわり
わたしの部屋の時計が止まる
風がまわる
猫もまわる
壁は空と
屋根に止まり
花の咲き ....
搾りだした言葉と色
空に舞い
螺旋状に登っていく
あちらではシャボン玉
ただよい
ただ酔い
宵へと破れる
朝日夕陽星空
月明かり
新月
夜から朝へ
繰り返し
繰り返し
梟が鳴 ....
赤
ひたすらに赤
ぐわわっと
縦にぶちまけた
線をひくように
ただ飛沫が四方に遠くはねるように
強く強く
身体の中にある赤
アスファルトに
ぶちまけるわけにはいかないから
もう一度 ....
どんな奴でも
長生きして
120歳ぐらいまで
長生きして
頭もちょっとしか
ボケなければ
当たり障りのないこと
例えば
キノコは木の子
それとも土の子
種がないのに生えて来る
....
高原に風がそよぎ、象徴の塔の輪郭を撫ぜる時、
私の感覚はあるひらめきと邂逅する。
詩作の種は私の心に蒔かれ、芽を出すのを静かに待つ。
風がその種を遠くに運んでしまわないように見守りながら。
....
素晴らしい朝が来た。私は心から生を満喫する。
創造の苦しみから解放された輝ける朝。
鮮やかな緑もたおやかに流れる川のせせらぎも私に優しく、
一杯の珈琲に込められた生の息吹に歓喜する。
....
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