誰にも苦しみや悲しみがある。
でも自分の価値を見出し
自分にしかできない事をして
悔いのない人生を送る
それが来世への希望になり、
最期には安らかに眠りに
付く事ができる。
気持ちだ ....
ガゼルは朝ライオンより早く起きなければならない
そうしなければライオンに食べられてしまうことを知っているから
ガゼルよ、走り出せ
ライオンよ、走り出せ
ぼくらよ、走り出せ
....
夢がないから今日も眠る
あの人にあいに
あの時に戻りに
後戻りも
泣くのも自由
もしかしたら
それが夢なのかもしれない
みんな眠る
夢をみるために
すれ違う街の灯りの
ひとつずつに誰かが生きている
つらいことも苦しいことも
嬉しいことも悲しいことも
誰にも言えないことも
あの灯りの下に集い
確かに存在するのに
永遠にそこに行 ....
ほどよく乾いた風が
前髪をもてあそんでも
頭の中に巣食った記号は
センテンスのようになびかない
不安が逃げ込んだ空が
どんなに晴れていようと
未来を踏み越してしまった靴は
もう行 ....
ぽろぽろぽろ
言葉がおちる
温かみのない言葉がおちる
刃物のようにとがっておちる
後悔と苦悩が降り注ぐ
冷たい言葉を君に投げた
君はきっと、泣いたでしょう
やがて来る明日を嘆 ....
殺していない私には
殺した感覚がどのようなものか
想像することができません
私は行為の後の苦痛を想う
殺人に固執した果てにある
自己保存のための自己切断
視界の底に確かにあった
....
冬の朝のフローリングは
薄い氷が張っている
朝一番に起きて
冷たい氷を踏むのは私の役目
ぱりんぱりんと音をたてて割り
かまどに火を入れ朝食を作る
陽が昇り
村人たちが起きる頃
....
犬に
おやつをあげました
これきり、と言うと
少し節目がちになり
それまで動いていたしっぽが
ぴたりと止まります
正直な犬
おまえは決して嘘をつかないから
嘘をつく人間は
失われ ....
素顔を布で覆った、恋人たち
鳥には雲がうかび、空が飛んでいる、鳥
これはパイプではない、とパイプを描く、イメージの裏切り
それらに題名を与えた、マグリットの顔は
青い果実に、隠されている
....
くたびれたスーツに
アルコールの臭気をまとい
頭髪はやや薄く
終電近くの電車に揺られ
汗の浮いた首を
大きく揺らしている
悲哀を帯びた
男と女
最寄り駅 ....
煙草をすっている間考えたんだ
天気の良い日ばかりでは無い事を
世界はちょうど良い硬さでバラバラにならずに済んでいるが
手綱を緩めたら僕をおいて走り去ってゆくことを
ちょうどバランスのと ....
君の、夜明けの口唇に
葡萄の粒を含ませる朝
旅立つための翼をいだく
わたしの翼は白いだろうか
それとも燃えて血がにじんで赤く
葡萄の房に朝の雫がこぼれ
風が喜びを歌うとき
....
真実がみたいからと写真を撮るひと
夢がみたいからと詩をうたうひと
はきだしたくて
いやされたくて
そんなに求めてどうするの
片手でもとめて
片手でふりすてて
おなじ方向をみんなみてる ....
もういちど ちゃんと 笑って
アップルパイの焼ける 甘い匂い
おおめにふるったシナモン
ふれていたいのは 痛いとこ
こねていたいたいのは やわらかなとこ
アップルバイが焼ける匂 ....
コーンスープを飲むころには
カップは既に熱さを失い
一気に飲み干せば
底に
意地悪く溶け切らない
塊がある
底に
溶けてはいけない
塊がある
底に
許さなければいけない
....
殺さないでください
いつかは
死ぬ運命だとしても
殺さないでください
ほら
私の息は
おもちゃのラッパを鳴らすことだって出来るのです
あなたが私に買ってくれたラッパです
これ ....
しおと、こしょうを、まぶしましょうよ
あかい、たいようの、詰まった、手で
打ちあげられた、小さなトマト
静かな、浜辺に、添えましょうよ
しおと、こしょうを、まぶしましょうよ
あおい、海を ....
生まれてきてしまったのだから もういいの
よろこびに満ちた今日だったから もういいの
過ぎてしまったことだから もういいの
やるだけやったのだから もういいの
死んでしまっ ....
クリスマスソングとすれちがう
あわててふりかえる
もうきてしまったのかしらんと
気の早い店主がかざった
クリスマスグッズがそこにいた
注目されないとしょげていた
そこにはふれずに
....
風を脱がされた雨が淋しげに
吶吶と落ちている
かなしみだ
わたしのかなしみのうつしみだ
晒されて
ほら聴こえる
よおく聴こえる
嘲笑い
わたし、宛て
*
風 ....
シュレッダーに
放り込まれた
愛の秘密が
刻まれた
細長い紙に
印字される
そこにあるのに
絡みあって
取り出せない
見え隠れする
手のひらが
ワタシを
さがしている ....
1
青空に向かって
僕は自分の言葉を投げた
そこにナニカが生まれはしないかと
僕の心の中にあった
わだかまりが解けていった。
2
青空に向かって
僕は君の言葉を投げた
....
降りだしそうで
乾いたままの
空をなぞって
こんな日に
泣くのには
意味があるのよ
誰かが
たおれないと
世界がおわってしまう
そう言って
きれいに笑っている
き ....
雨の日は床の油と土とが湿気に混ざって独特の匂いがする
信号待ちの小学校の前でそんな事を思い出し
雨だ
僕は歩くのが下手で
いつも靴がずくずくで
傘はその意味を放棄している
風が
....
残業も無いのに帰宅もせずに待っています
午後7時45分
太陽をいっぱい かごに入れていますね
知っているんですよ
この建物の中は 外より寒い
大丈夫 安心して下さい
....
親指が落ちている
孵化できなかったさなぎのように
雨に濡れている誰かの親指
生まれ変わることが
喪失の上のなりたつならば
感傷ははなから捨てなければならない
でなければ
君のように
....
しんしんと
雪も降りそうな秋の夜
想い出すのはなぜだろう
星から吹く風に包まれて
山は変わって
夜は澄み
心は切なく
香りは優しい
叶わなかった恋ばかり
美しいのはなぜだろう
綺麗な役者たちが素敵なフレームのなかで
甘く切ない恋物語
某チョコレートを齧って
爽やかに微笑み彼らは天使に昇格する
僕たちは昇給も無い仕事が恋人だ
僕たちの切なさは三等級下で
....
路面
傘
ボンネット
木々の葉
草花
僕の手のひら
あらゆるところに降り注ぐ雨粒の一粒一粒が
耳を澄ませると
万別の音階で
声色で
思いで
....
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