痣のある朝に
カーテンをゆらし
重たい気持ちに
重たいからだがぶら下がっている
開封されない手紙の束が
いまにも崩れ落ちそうで
崩れ落ちない
ずっと
疲れたよ
って
ソファーに
ストンと座る
ぐてーっと
もたれかかって
90度回転
コロンとすると
美味しいご飯を
作っ ....
真夜中に降る
明るい雨
君のいのちを引き継ぐもの
真夜中に降る
明るい雨
君が育む 小さな鼓動
帰れない
という
幸せがある
夜のとばりが
光に変わる
....
領土をめぐる中国人たちのデモ
私の国の街宣カーたちのデモ
私の国の原発廃止論者たちのデモ
私の国の原発推進派たちはデモをしない
ひとつの考え方を
排除するような時にし ....
病気になろうと
ひとに見向きもされなくても
酸性雨に降られても
誰かに傷つけられようと
セシウムを撒かれても
ひとびとに伐採されようと
木はただ木だ
文句 ....
ゆっくりと昇る、長い長いエスカレーターに
静閑と座すドーベルマン
傍らの階段を
人間は忙しなく駆けていく
考える獣よ
お前は顎をあげ、頭上を見据え
エスカレーターの流れるままに
どこ ....
やさぐれた町に、カップ酒の男がひとり
あまりにしっくりしていて、存在すらわからない
そのポケットに色あせた息子の写真があるなんて誰も知らないし、興味もないことだ
マサカリ担いだ金太郎
今日はどこまで行って来た
どんなオイタをして来たの
熊を何頭ぶん投げて
何頭負かして泣かせて来たの
お前の腹がけひんむいて
お尻をぺんぺんしてやろう
まるまる太い ....
黒のお茶に半月浮かべて
トースターでパンを焼く
焼く順番で喧嘩になって
お茶の色で喧嘩になって
バターが切れたと泣いて
わめいて 子どもの朝が
船出する 半月が笑った
身を動きもせず 見続けている 浮かぶ月
歩くのを辞めれば
聞こえてくるだろう
彼女の歌声が
痛みや苦しみ そんなものは
はじめから 知らなかった
はじめから ....
枯れた葉っぱのこすれるおとは雨のおとに似ている
かわいているのにぬれたおと
ざざあざざあ、ざあざあ、ざあざあ
もう袖をのばさないと指先ひえて
じぶんの温度もわかんなくなる
おひるまにも見 ....
言葉とは丁重に包んでお出しするものと
教わったようですができそうにありません
素直にと学校の掲示板にありますが
みなと仲よくのポスターが邪魔です
人を憎むほどの体力がなくて
人に流さ ....
ささやきは
一昼夜経つと酸化して
腐った猫の色になる
夜でもなく
朝でもなく
シャワールームでささやいて
悲しいことも
愛しいことも
流れる色にするために
シャワール ....
気まぐれな秋の風に
そそのかされた 紅の葉が
舞ってみせる
こんな日は、人恋しくて
街へでる
舗装された道は あそこもここも
わずかに 傾いで見えて
私は、足の爪をとがらせな ....
やぶれた帆を持つ幽霊船のような障子から
指穴ほどの照準窓から目が のぞき
その目は 富士山麓の鸚鵡の帰りを待ち
わたしの逃げ場を俯瞰し
すべてのものが 見事に該 ....
海に似せた塩水の中で
アサリが生きている
暗い冷蔵庫の中で
触手を伸ばし
冬の海だと勘違いする
時々さみしくなって
ステンレスボウルの海底で
誰かを探してキュウと鳴く
わた ....
人差し指にけがをした
ごく一部のその指が
とたんに大きくなっている
心臓までもひきよせて
痛い 痛いと主張する
10本の指の一本が
大事なものにおもえてる
残りの指までいとしくおもう ....
軽いほんの出来心
出来心からのほんの道草
道草でしか会えない宝石
拾い集めてポッケにしまい
お家に戻って眺めてみたら
ためつすがめつしてみても
それらはただの石っころ
いつか詩人になれるなら
世界中を旅して回ろう
草原を駆ける羊たちの群れを
湖に映る青空の影を
収穫を願う人々の踊りを
感じたものを
感じたままに
言葉に紡ぎ出せるように
世 ....
砂埃の舞う通りを
風鈴屋が行く
わたしは手をとめ
格子戸の隙間から
そっとのぞく
リヤカーを引くのは
妙に血色のいい男
ほんとうは人買いなんだと
おかみさんが言う
色とりどり ....
葉は大きく強い自分を誇らしげに自慢していた
しかし親の細く貧弱な幹の太さを知ると
風で飛ばされ無いようにと力の限り握り続けるその親の姿が情けなくて
父を軽蔑した
細い葉 ....
木枯らしがふき始めた
九月の朝は
人ひとりいなくなってしまった静けさに包まれて
なんだかひっそりとしている
道を行く人はまばらで
自転車は そっと流れるカヌーのよう
普段騒がしい自動車 ....
松の根元に
腕を組んで眠る彼女である
彼女はここいらの生まれではない
こんなにも湿った(朝の)あぜ道のそばでは
彼女は豊穣なる火の国の生まれだ
だからよくしゃべりもするし
燃えたりする ....
お前はついに来なかった
その足音をどこかに葬り去ったままで
俺が自分の嘘を屠殺するこの広場まで
稲は刈られ 柿は熟し
だがお前は来なかった
来なかったという銀河を巻き
来なかったという未来 ....
人の世のかくも美しき
もつれ魂の上にも
雨ぞやさしく降りしきる
茨冠戴く盲のダンス
もし蛇が海ゆかば
鳴る鳴る山野の幾千里
万里の波濤をこえて南風が吹くとき
....
コーヒーを切らしたとして
私はコーヒーと少しの間別れるだろう
買い物に出かけるでもなく、まして買い置きなどという考えもなくて
消耗するものに心が付いて行かない ....
道の端っこに落ちていた
マグネット人形が
トラックぶおんの勢いで
わたしにひっつく
東南アジアの小さな島々
露店にぶらさがる毎日
ふとしたきっかけで
ぽろりと ....
誰にも苦しみや悲しみがある。
でも自分の価値を見出し
自分にしかできない事をして
悔いのない人生を送る
それが来世への希望になり、
最期には安らかに眠りに
付く事ができる。
気持ちだ ....
ガゼルは朝ライオンより早く起きなければならない
そうしなければライオンに食べられてしまうことを知っているから
ガゼルよ、走り出せ
ライオンよ、走り出せ
ぼくらよ、走り出せ
....
夢がないから今日も眠る
あの人にあいに
あの時に戻りに
後戻りも
泣くのも自由
もしかしたら
それが夢なのかもしれない
みんな眠る
夢をみるために
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