うちの孤高の戦士はいまベランダでひなたぼっこ
あえて妄想中とは言いますまい
ときどきかれの誇り高きぶた猫の本能が
のねずみやのうさぎの後姿をおもいだすのかもしれない
それとも昔の彼女の寝姿か
....
彼女は古いホテルに住んでいる
訪ねて来る人はいない
アールグレイの紅茶をこよなく愛し
その香りと味に心震わせている
そんな彼女のところに珍しく人が訪ねてきた
それはまるで ....
かぜのやさしい日
ガラス窓を開示して 勧めました
レースのカーテンに
腹式呼吸を
ひかりの淡い日
裏木戸 ....
子どもの頃
夏になると
庭に母がとうもろこしを植えた
毎日水やりをするのは
弟と私の仕事だった
「これ、なんていうとうもろこしか知ってる?」
「とうもろこしに名前なんてあるの、おねえち ....
一ノ妙
その命の長さ 七つの月
おぎゃおぎゃと 君はどんな声で泣いたかしら
「ねぇ 見て 手を握りかえしてくれるの」
ちぃさなちぃさなお手手 小指をすこしだけ掴むの
....
雲は刻一刻と姿を変えて
風が吹いている
僕は押し流され
吹き溜まり
澱んでいる
風に乗れる者は僅か
多くの者は無念を抱き
腐敗してゆく
何も変わらない
何も変えられない
....
弱さを強さで
コーティングした
直立二足歩行の木偶の坊
愚かさを優しさで
マスキングした
なんとなく文化的な唐変木
心という
自滅回路の中で
思い上がっては落ち込んで
....
{引用=(煙突)
獣たちの
輝いていた瞳は
もう、眼窩にひそみ
昼の祝祭は
夜の灰となり
細い導管を
遡る
(車)
....
虹色の魚は真夏の雲をかき分け
夕立の予感に誘われ泳いでいく
僕の立つ地面を突き抜けた先の人は
空に垂らした釣り糸でそれを捕まえる
境界線など本当にあるのだろうか
隣町の君はすぐそこで笑っ ....
さかんに水が降りますね
明日に蓋でもするように
おびただしく注いでおります
地面の下はどうなっているだろう
私はこんな時決まって
泥濘に埋もれた兵士の白骨を連想します
それから恐竜の化 ....
あるいはこれが
さびしさなら
まだ よかったね
線路のわきの
姫女苑
のこった青に
境界を引き
のばした先に
ぬれた鉄柵
あるいはこれに
なまえがあれば
なぐさめ ....
裸足で歩こう
もともと
裸足で生まれてきたのに
飾ることを覚えたから
うまく歩けなくなったんだ
裸足で歩こう
危険だというけど
今 以上に危険なんてない
確かめればいい
傷つ ....
いつになくぱっちり目覚め
むくりと起きた僕は
妻にお風呂セットの袋を渡され
車のキーを廻し、アクセルを踏む。
青信号の交差点で、すれ違う護送車。
(青年達の母親は、今頃どうして ....
最初から、少年も
少女もいなかった
ただ、名前すらない、
願いのようのものが二つ、
風の中で
寄り添っているだけだった
大人ってばかだね
大人ってばかだね
そんなことを
....
ふしあわせを
全部抱え込んだようなふり
してさ
きみは息をしているみたいな
ことをいう
ひくつになって
誰かのせいにして
世の中のせいにして
いきていくのはしんどいね
....
夏、
空に近づく
心の中で緩やかに
時は流れる
相対性理論の誤ちに気付いた後
人は再び原子爆弾を落とす
それは宇宙から見れば
小さなかわいい線香花火 だから僕は
宇宙に ....
心臓の上に針の落ちる
展翅板で誇らかに 死んだモノたち
現代 死は 無知蒙昧の書き手が
自己憐憫を表出するコロキウム
冷静でいられない肩から上を
円錐で束ねるように押しとどめる
水に沈 ....
七月の家
窓から風が
緑の葉は揺れ
庭の木々も
風と戯れ
汗ばむ頬
七月の午後
珈琲はおいしく
壁の絵もうれしくて
全てのものが
涼しい唄をうたっています。
圧縮されたファイル
記憶という
過ぎ去った時間
遠くで花火の音
安全地帯からは
それをみることは叶わない
蒸れた熱が
蜃気楼のように、ゆらぎ
ここではない何処かへ連れていく
....
{画像=120721002547.jpg}
曇り空が雨になった
今日も外はたっぷりの湿気と
喉を締め付ける暑さだ
雨滴が大きくなって硝子を叩く
雫が流れていく
交差点は水煙 ....
毎晩の様に襲ってくる苦痛
夜は静かだ・・・
ただ眠りたい
それだけなのに眠れない
毎晩真夜中を彷徨って
見えない影と話をしてる
どうそ私を誘って
この空間から ....
街灯は静かに同じ夜を燃やしている
うすくかかった膜のような
どこにでもある話をしながら
特急を乗り逃して
ふてくされて爪を切っている
割と、大事じゃないような
そんなものに焦がれている ....
いいよおかしくなって
いいよ今日はおかしくなって
いいよ今日は死んだって
「わたしは唇にパスポートを咥えたマーメイド」
爪先立ちのマーメイド。
頭からカラカラ
生きてる、意味、カラカラ ....
過ごす時間がない
私に残された時間
もうこの世にいられない
時間が経ってゆく
チューブを咥え
電子音だらけ
皆が集まっている
顔が見えない
声だけが聞こえる
懐かしい声
も ....
夢と同じに
冷やされた
あなたは個人
支払の半分
内科病棟に
忘れました
黒 ....
黄昏時の青空に
遠く聞こえる 唸り声
暮れゆく山の稜線に
赤く響く 叫び声
黒く染めゆく山肌の
静かに震える 樹々の声
天空高く呼びかける
言葉の辛さ 曖昧さ
生きる ....
あの人は風だった
緑の髪をなびかせ瞳の奥に、あれは
夜明けの光をたたえて 水のようにやわらかい
あの人は風だった
わたしを見つめて笑う 流れる雲を空を映して
あの人は草だった
やさ ....
西瓜の皮の饐えた
匂い
溶けかけたアスファルトの
執着
潮の香りで擦り剥けた
夜明け
逆光の中で振り返った
誰か
何処から剥がれ落ちたのか
皆目見当がつかない
....
音楽が僕達を奏でる
詩人が世界を創造し
画家が世界を色づけし
僕達の意志が宇宙を膨張させる
科学はよくできた物差しにすぎない
だが、その物差しもまた
世界の拡張に一役買っているのだが
人 ....
カーテン越し
割れ目から漏入する
ジリ・ジリ
漂白の化学作用に
包まれた部屋で
全色素は失墜する
/them/
それは
夏
のような
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