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出会い頭の事故というのがある
この狭い家にも

トイレのドアを開けると
出会い頭の事故にあう

風呂に入ろうとして
ドアを開けると
その人はいつもそこにいる

襖を開け ....
いくらの軍艦巻に
乗組員、数十名

生まれることを許されなかった
鮭の卵たち

テレビのニュースに
独裁者

彼を許すまじと
人々はその軍艦巻を
一口にほおばりながら ....
古本屋で買ってきた
詩集の頁に
銀行の明細書が挟まっていた

お取引金額二千円
手数料百五円
お取引後残高十六円

そう記された明細書が
栞のように
詩集に挟まっていた ....
道ばたに
若いビジネスマンが
うずくまっている

心配して声をかけると
苦しそうな顔をして
ほとんど象になりかけていた

大丈夫です
と、忙しそうに立ち上がり
がんばっ ....
こどもが
しょくばにやってきた

こんにちはといって
やってきた

このくつのひといますかと
しょくばのひとにきいた

おこさんきてるよと
しょくばのひとがいった

 ....
生まれた家よりも
外での暮らしが長くなると
前世のことのように思えてくる

たしかに今
それはあるんだけど
幻に見えてくる

今度のお盆は
最後の帰省になる

これで ....
 
 
職場に行くと
体臭が匂うと言われる

みなマスクをしている
それほど匂うらしい

家に帰ると
息子が帰りを迎えてくれる

お父さん、臭いか
と尋ねる

息子は
う ....
富裕層も貧困層も
ギャンブルに
夢中になっている

働くことで
お金を得ることが
当たり前だった時代
街は輝いていた

人の笑顔も輝いていた
悲しみもまた
気持ちを希 ....
 
 
豆まきをして鬼を追いかけているうちに
私は鬼に追いかけられていた
どこまで行っても鬼は終わらない
だから私は追いかけて
追いかけられながら
ひとつの時代を走りぬけることにした
 ....
夫婦喧嘩しながら
酒を飲む

楽しい酒ではないけれど
つまみのイクラを
一粒一粒舌で潰しながら
時が過ぎていく

その一瞬にも
互いの言い分が述べられて
これは生きてい ....
 
 
樹木のセミヌードに歓喜する
セミヌードの樹木たち
きっと葉っぱが衣服なのだろう
じゃんけんで負けた方から
一枚一枚脱いでいく
かつて人だった頃
そんな大人の遊びがあった
フル ....
息子もいつか
フルーツパフェに登りたい
などと
わけのわからないことを言って
この家を出ていくんだろう

わたしもかつて
プリンアラモードに登りたい
と言って家を出たけれど ....
海の上を歩きながら
探し物をしている
水平線に
今日も日が沈んでいく
月明かりの下
見覚えのある親子が
海水浴している
あの頃わたしたちは
家族だった
お金を数えていたはずなのに
気がつくと
銀行の人は星を数えていました
こんなにたくさん
どうやって集めたんですか
と尋ねるので
生まれた頃からあったと言いました
使いきれない ....
蝉のプラモデルを買った
部品をよく確かめながら
組み立て方を見て作った
完成した蝉は
少し違う形の虫だった
説明書に完成したら
ボタン電池を入れ
冷暗所に保管
と書かれてあ ....
空気が冷えると
葡萄の匂いがする

秋でもないのに
葡萄の実も
成ってないのに

初夏のある日
雷が鳴ると
秋の匂いがした

勘違いした
お天道様が

初夏なの ....
檻の外に
世界があると思っていた

檻の内側が
世界だと教えられた

気がつくと
道が開かれていた

ごめんなさい
お母さん

やっぱりここが
世界だった

 ....
裏庭に大都会
スクランブルされた
スクランブル交差点
虫が自由に行き来してる
信号は守らない
みな生きる意志を守りながら
なにひとつ守らずに
なにかを大切そうに運んでる
 ....
去年と同じ
花が咲いている

去年と違う
同じ花が

去年と同じ
新緑が芽吹く

去年と違う
新緑が

その下で
子供が遊んでる

私と違う
同じ子供が ....
雨が降ってきたので
魚をさす

ピチピチと
水を得たように
よろこぶ傘

骨を撓らせて
鰓呼吸してる
たうえがはじまると
どろのにおいがしてくる

すがすがしい
どろのにおいがする

わたしのさいぼうも
にわかに
ぶんれつしはじめて

はだがかぜに
すきとおっていく
 ....
わたしは
ヘラブナである

めのまえにおちてきた
はりがついたえさをくわえ
つりあげられては
リリースされる

ヘラブナとは
そのような
いきものである

そんなこ ....
おやすみなさい
わたしたち
しんだいしゃにのる

とおいどこかから
とおいどこかへ
たびだつため

ねむりのなか
たびがある
とまることなく
しんだいしゃはどこまでも ....
パスポートももたず
いこくへたびだっていく

それがわたりどりの
とっけんだ

かわらない
くらしのために

がんかにみえる
ひとのまちなどめもくれず

つぎのくら ....
いこう
いこうと
わたりどりがなく

そらたかく
はるのそらをわたる

いこう
いこうと
わたしにきこえる

ひとつしかない
わたりどりのことば
やんわりと
はるのかぜが
わたしをことわる

ほおをかすめ
しめったかんしょくを
のこして

あのひとは
だれだったのだろう

わたしがふれた
はるのかぜは

 ....
こどものころ
やさしい
おばあさんがいた

となりのいえの
おばあさんだった

こしをまげて
わたしのあたまを
なでてくれた

おばあさんは
いつからか
いなくな ....
二匹の蟹が
久しぶりに再開した
かつて親友だった
今すぐ歩み寄り
肩を叩いて抱き合いたいのに
横歩きしかできないから
蟹はどこまでも横歩きしていった
お互いの距離を保ちながら ....
風はありませんが
光が見えます

この窓を
開けることができたなら
風もあることでしょう

窓は開きません

でも光は綺麗です
綺麗な風を
私はまだ知りません

 ....
ついに
はくさいになりました

そのしろい
ねんれいになるまで

どれほどのたんじょうとしが
くりかえされたことだろう

わたしもいつか
はくさいになれるかしら

 ....
ただのみきやさんの小川 葉さんおすすめリスト(36)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
出会い頭の事故- 小川 葉自由詩716-5-4
寿司桶- 小川 葉自由詩514-11-3
- 小川 葉自由詩714-6-18
象さん- 小川 葉自由詩814-2-28
- 小川 葉自由詩1213-7-20
- 小川 葉自由詩913-7-17
加齢臭の季節- 小川 葉自由詩6*13-4-23
ギャンブル- 小川 葉自由詩613-3-6
節分- 小川 葉自由詩913-2-3
夫婦喧嘩- 小川 葉自由詩1212-12-20
樹木のセミヌード- 小川 葉自由詩7*12-12-5
男のデザート- 小川 葉自由詩11+12-7-6
海水浴- 小川 葉自由詩512-7-6
星空銀行- 小川 葉自由詩13*12-6-28
部品- 小川 葉自由詩4+12-6-7
葡萄の匂い- 小川 葉自由詩312-6-7
熊牧場- 小川 葉自由詩112-6-5
裏庭- 小川 葉自由詩4+12-6-4
新しい景色- 小川 葉自由詩312-5-24
- 小川 葉自由詩312-5-22
田植え- 小川 葉自由詩512-5-19
ヘラブナ- 小川 葉自由詩612-4-15
寝台車- 小川 葉自由詩412-3-15
暮らし- 小川 葉自由詩212-3-13
渡り鳥- 小川 葉自由詩512-3-8
春風- 小川 葉自由詩512-3-1
更地- 小川 葉自由詩312-2-21
蟹の友情- 小川 葉自由詩5+12-2-19
窓辺- 小川 葉自由詩512-2-17
白歳- 小川 葉自由詩112-2-10

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