頭蓋骨の中で
産声をあげた言葉は
即座に成人を迎えるが
吐き出された刹那
暖められてた
体温も密度も
蒸発して消えてしまって
レコーダーで保護しても
中にはものまねみたく
自分に似た ....
遠く 朝の空に カラスが 鳴いた 
空に向かって投げられた 一筋の石のように 
深く青い空の中 大きな羽影が音も無く遠ざかる

夜に満ちた寒気が 弱い光にわずかにゆるみ
 首を縮めたくな ....
私たちは
それほどたくさんの
フレーズを奏でられない

私たちは
それほど大きな音を
鳴らせない

けれどもういちど
ネジを巻きましょう
さびついてしまわないように


私た ....
火星剥く 少女の細い細い手首の糸
静脈の清流を
机の上に広がった乾燥しかかった薬品が流れる
かえるさきは循環する心臓の末端
そこはフランスとスイスの国境で
ちょうどこの鐡道の糸の終着点
窓辺には革表 ....
夜店の風鈴のように
蔓棚から垂れて枝にぶら下がり
秋風に吹かれている卵
茶色く毛羽立った上着の中は
半透明なグリーンの輝き

物珍しさと
手間の掛からない栽培が
流行を呼び 
夏は陽 ....
鳥たちが
羽ばたいて
赤子たちが
目を覚ます

鳥たちが
暮らしていたことなど
赤子たちは
知らずに育む

無邪気な勝ち誇りは
なぜだか咎に似て
無意識な寝息は
伝い聞く 幼 ....
冬の肌は
こわれもの

夕餉の火を落とし
手にたっぷりと
クリームを塗る
ひび割れから
そっとしみこむように

日常というものは
重力がある限り
何処に行ったとしても
そう変わ ....
さびた車輪が 降り積もった時間を振り払い 
重くきしむ

巨大な動輪が レールの上をわずかに揺れて 
危険な過去の岩石たちを粉々に砕く

車軸に浴びせられる 熱いオイルの飛沫が 
すでに ....
ざらざらの掌で
温められ
擦られ
撫でまわされて
摩耗した挙句
まるく つややかな光を放つ
表面に一点の翳りもない
器が
轆轤の上に
遂に生成し得たとしても
掌の持ち主の
荒れた ....
ゆらゆら路地裏に消えていく猫の尻尾
日曜日の午前9時
空がある
雲はない
宇宙がどのようになっているか いつの日か科学は突きとめるだろう
宇宙が何故在るのか 誰も永遠に分からないだろう
テ ....
降りそそぐ5月の光が せせらぎの上を転がり 溶けて 

自らの背に光を受ける 小さな魚の群れが
黄金色の川底の砂に 等間隔の影を落とす 

若草の緑が流れを縁取り 
木々のざわめきが  ....
駅を降りた時から
熟れた紙の匂いがしていた
一歩踏み出した時から
文字がバラけて押し寄せてきた
(ここは本の街です)

このあたり一帯が
巨大な書庫になっていて
その事実だけで
 ....
黙してほろほろ  
とある娘に、とある感情をいだき

とある表情に、頬を赤らめる

とある私



 
私に見えるのは
遠い 遠い 過去の渕
私に見えるのは
ひどく凍えた眼
私に見えるのは
そっと 覚醒た羊の夢
私に見えるのは
雑音の狭間の揺りかご
誰にもこの肌は届かない
雑音の狭間  ....
追い出されて
やっと探し当てた新天地
アネモネの花がいっぱい
色とりどりでその背は高く
私を隠してしまうほど
ここは樹海の中にぽっかりと
在る 秘密の場所
帰らない ここからはどこへも
 ....
闇脱ぐ 原因不明の
高熱の真昼に
ビーチサンダルの真似事

灼熱の砂浜を
踏みつけながら
彼女に伝える
夏の終息

沖へ行った
片方だけ
流されていった
さようなら

ビーチサンダ ....
あなたの皮膚に、脈うつ血流に、閉じた瞼の裏側に。
私は残ります。

あなたが生きている限り。
わたしは、ここに。
なぜだか私は卑怯者のように口を閉ざしてしまった。
まるで描写に値するものを失ってしまった画家のように。
よもや今に始まった訳でもあるまいに。
そう、私は穴蔵の鼠で人知れず格闘しているのだ。
 ....
立ち止まる 私の中に
暮れていく 背中の中に
それは広がる 
そっと広がる
枯れて枯れない樹木のように
許されないあの嘘のように
追いかけてきて
そっと広がる


見上げたのは
 ....
カリントウむしゃむしゃしながら寝入る脳内サンバカーニバル   夢の隙間から、その日
  僥倖のような光が差しこんでいた
  雨と埃の匂いを嗅ぎながら私たちは抱きしめあった
  目を閉じたまま、腕がしびれてしまうまで……
  その日、私は女だっ ....
           猫だけを置いて
           家人が出かけてしまうと
           猫は人になると飼い主は言う

電話が鳴る
猫は眠っている

電話が鳴っている
 ....
列車の暖かいシートに座ると

向こう側のガラスの奥には

半透明な私が少し微笑んでいて

疲れて座っている

暗闇にうっすらと光り浮いている私は

ゼラチン質のように柔らかで他人の ....
メルセデスで旅をする

日本中の商店街を夜走る

よこには地元の少年少女を乗せている

車内にはマクドナルドの匂いがこもっている

彼らには金を与えている

こっちは彼らの会話を聞 ....
国道二号線を走っていたら
ふいに視野の右側から
何か小さなものが飛び込んで来た
と思ったらサイドミラーの上に
シジミ蝶が止まっていた
小指の爪ほどの大きさの
灰白色の翅をピタリと閉じて ....
刹那に殺せる だからコーヒーを飲む
人の怒りを侮ってはならない  誰だって人を殺せる
安らかなる思い込み コーヒーは安らかさを引き伸ばす
思い留める為に

微塵の一角を曲がれば 殺人の息が泣 ....
西の空を覆う厚い雲を
僅かに縁取り
淡い光が
放射状に
さらなる高みへ腕を伸ばす
羽毛のような桃色の塊が
透明な大気の層に漂うあたりへ

空はいつまで記憶するだろう
人の視線を

 ....
ただのみきやさんのおすすめリスト(14280)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鮮度- 寒雪自由詩113-12-25
冬の朝のぼんやり- いねむり ...自由詩313-12-25
オルゴール- 村田 活 ...自由詩413-12-24
火星剥く- 北大路京 ...自由詩313-12-24
沈みゆく夕刻- 白雨自由詩413-12-24
キウイフルーツ哀歌- イナエ自由詩13*13-12-24
夢の中で- subaru★自由詩10*13-12-24
こわれもの- そらの珊 ...自由詩2213-12-24
錆びた車輪- いねむり ...自由詩513-12-23
会わぬが華- Lucy自由詩20*13-12-23
散歩の途中で__take2- 空丸ゆら ...自由詩2013-12-23
幼子が去った後には- いねむり ...自由詩4*13-12-23
本の街へ- Seia自由詩313-12-23
黙してほろほろ- 北大路京 ...自由詩213-12-23
とある私- 殿上 童自由詩18*13-12-22
沈黙の最中- 駒沢優希自由詩2+13-12-22
アネモネ- もっぷ自由詩713-12-22
闇脱ぐ- 北大路京 ...自由詩113-12-22
ビーチサンダル- うみこ自由詩6*13-12-22
記憶- a_ya自由詩413-12-22
粉糞- ヒヤシン ...自由詩9*13-12-22
侵食する、それ- 自由詩10*13-12-21
カリントウむしゃむしゃしながら寝入る脳内サンバカーニバル- 北大路京 ...自由詩413-12-21
僥倖- 草野春心自由詩113-12-21
猫と電話- イナエ自由詩20*13-12-21
もうひとりの私はゼラチン質のようだ- 灰泥軽茶自由詩1213-12-21
少年少女と世界や株価- 吉岡ペペ ...自由詩813-12-20
シジミ蝶- 壮佑自由詩22*13-12-20
だからコーヒーを飲む- 朝焼彩茜 ...自由詩10*13-12-20
「石狩川」- Lucy自由詩16*13-12-20

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