うっすらと浮かんだ額の汗に
太陽と雲が逆さに映りこんだ
霧島から噴煙が上がっている
牛たちは
寝そべったり
エサを食べたり
思い思いに過ごしている
鴉に啄まれた
タヌキの死 ....
新しい時計が時を奏で始めている。
今日海へ行った。
あなたは無邪気な子供のように、小さなカニの居場所を僕に告げた。
湿気を含んだ海風が僕らを包んだ。
さようなら、僕の遠い日。 ....
通学路、夏空から墜落したした機体の残骸で足の裏を切った
あの日の匂い立つ湿度や吹き抜けるからっ風を思い出すと
流れた血が止まらない
なめたら幼い頃の思い出の味がした
MP3が鼓 ....
バルコニーの 天井が
五月雨で 滝音をたてている
幼き 三次元を
想起させるように と
そぅだ 日照りのため
生れ故郷も すなおになって
雨を ....
悲しみは風と共に去り、苦しみが嵐と共にやって来る。
ひと時の微睡は幸福だった。
人の心は無防備で、一輪の花のようだ。
花弁が一枚ずつ剥がれてゆき、やがては枯れ果てる。
寂しさ ....
開け放した窓から月光が射している。
音もなく、静かに。
妻の持つ手鏡を覗き込むと、もはや私の顔は映らない。
ただとても厳かに月の光だけが映っている。
鏡の中の月はほんの少し黄 ....
だって
ほら もうすぐそこに
いきるたのしさ
みつけてしまったんだもの
いきなくちゃ
かなしくて
かぜのみこむないしゅけつに
たくさん おらなくっちゃ
いきること
いいよって ....
行間のしろいまぶたが
きんいろに開かれてゆくことがある、としたら
白百合を青い糸で綴じたのは余計な悪戯だったでしょう
木の陰に残された小人の足跡
そこにも宇宙にも
数え切れないほどの静寂 ....
まぶしいのは
ずっと目を閉じていたから
そこは優しい闇に似た架空世界で
行こうとさえ思えば深海にも
宇宙にも
過去にだって行けた
あのスカートはどこにしまっただろう
青い水玉模様
....
ねぇ、おとうさん
なんで 戦争反対をするの / 次世代のこどもたちが徴兵されるからだ / なんで そんなふうに思うの / 新聞を、読んだからだ、たくさんの人にあって活動していたからだ / なんで ....
つきあかりはぼんやりと
わすれたころに潤む
はむしがとぶ白光のなかに
かわいたかげがみえる
それはまちわびたわが子のこいかげ
といかけをしなければきえてなくなるまえに
....
to belong to
ということばのひびきはあこがれだ
(父のキングス・イングリッシュはほんとうにうつくしい)
遠い、遠い
名も知らぬ
国を想うように
to belong toをく ....
どこからやってきたのか私は
何度洗ったか分からない
すっかり芯のなくなった衣服を着て
暑さにふやけていたのではない
でもたしかに眠気の中にいた
あれからどこへ行ったのか私は
逃 ....
温もりを下さい
体内に流れる血を感じたくて
赤ワインを空ける
表面張力の隙間から
記憶達が零れ始めて
切ない
カーテンを開けたら
レースの向こうに
やわらかな日差しが広がる
....
町に出る
屋根の赤い銀の車で
赤子が泣く
屋根の黒い黄色い車に
ごま塩頭が足を組んで
ウインドウから通りを振り返る
汚れた風が初夏を吹きわたる
新しい靴を買おうか
まだかか ....
形のない監獄と非指向性の銃弾
逃げた先はモノクロームの図書館
居心地の良い立ち入り禁止区域
天井が無いので雨が降ってきて
本は濡れ言葉が水に溶け出した
図書館は巨大な水槽になった
....
誰もいない小川に
僕が 釣り糸を垂らしていたのはいつだろう 小川に
冬のある日 釣り糸を
しかし冬の日に小学生だった 僕は一人だった
だけど 今でも僕は川に釣り糸を垂らしてはいる ....
皮肉をいわなければ死んでしまう貝があって
それはそれで良いだろう
まっすぐな誤解はいつも答弁を
許してはくれないから
せめて僕を許してくれないか
家を売らなければならないヤドカリ
....
暗く清い女の子だった
こんなに、水のように柔らかい裸足では
どこへも逃げだせないだろうと思っていた
彼女は星の連なりを蹴飛ばし
夜の幕を裂いて、去った
綺麗な笑顔の残像は流れ星のよう ....
ばかやろう。
掛けていた布団を蹴っ飛ばす。
揺れるカーテンに隠れた化けネコ。
4月の昆虫くさい風は
命の匂いなのか。
新しい命。と
握り潰された命。
乾燥 ....
寂し気な横顔に紅玉の涙。
野良犬の遠吠え。
都会で感じる孤独。
湖面に広がる波紋。
雪解け水の流れる小川。
都会と田舎の狭間。
煙草で補う時間の浪費。
尖った神経の矛 ....
真っ赤な花は
咲いたまま落ちた
だれもそれを見ようともしない
真っ赤な花は
落ちたまま咲いている
落ちたことなんてどうでもいいかのように
背筋を伸ばそう
空に引っ張られるようにし ....
花はみずからを
最もか弱い葉であると思って散り
多くの葉は我が身こそ
逞しい花であると思いつつ繁る
樹はそれを黙って哀しみながら
春が花を愛で 秋が葉を罰す ....
鳶がとび回る冷たい空は灰色です。
大きな声で言ってはいない。
イヤな人がいて
言葉はホログラム、清潔で、
ちいさな血のようなものが
ヤスリで間引かれる瞬間の悲鳴、
墓場までも ....
やがて宇宙が滅びることは数式に証明されちゃったらしい
終末のラッパはとっくにわたしの中に高らかに吹かれてた
人も言葉もすべては星の爆発の灰燼に帰すのかしら
いえ、きっと
書かれた人読ま ....
父母が買った墓を見に行く
高台にあるそこからは
海が見渡せ
なんのわずらいもない風が吹き渡り
小さな飛行機が雲間に光る
このお墓に入ったら
この景色を見て暮らす、という母に
いい ....
沢山の猫たちが集まるカフェテラス
我が部屋では 時代遅れのラジカセや
パソコン置き場になっているパイプ棚が
時に彼等の遊び場となる
引くと点いたり消えたりする電気コードも
座ると心地 ....
ポエジィは
石ころの中に
隠れていた
子どもの頃に
草地から
抱えて運んだ石を
ふと
パカんと割ってみてみたら
沢山のアンモナイトが
泳いでいた
大昔の海と草原 ....
いのちを挽いている
音がする
林檎を剥いたら
もういちど飛べるかもしれない
鳥は
鳥という記号に
耐えているわけではない
人は
人という記号に
耐え続け
そのため
もうながい ....
とても快く疲れているのでこのまま眠らせてください
このまま死んでしまうかもしれない
このまま死んでしまえたらいいのに
疲れに救われて
雨に撃たれ
陽射しに焼かれ
粉末になって風に融けだ ....
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