私があなたを好きになった日、
私の心は赤かった
闇夜に灯った明るい火の輪
一頭のライオンが駆けてきて
ひと跳びにくぐり抜けていった
その先は草原になっていて
....
事を荒立てることが良くないことは
疾うの昔に知っていた。
(波風が立つと居づらくなる)
(昔から知ってはいるが、考えもしなかった)
自分が子供じゃないことも
俺も含めて知っていた。
....
雫の形はなんのカタチ?
淡水パールにも似ています
王妃の耳を飾ります
それとも人魚の涙でしょうか
雫のおつむは
一点で
最後に誰かとつながっていて
離れ難くて
揺れてい ....
約束に目を向けるんだ
苦しみに目を向けるな
約束に目を向けるんだ
大物ぶらなくてもいい
継ぎ接ぎだらけでいい
約束に目を向けるんだ
にじみつづける
みじめ ....
たった独りの部屋でさよならと言い続けた
たった独りの部屋でそれを言い続けるには
たった独りであることを忘れなければならなかった
冷たい世界は骨を
機械のように冷やして
....
雪が降りすぎて
目の前が真っ白になり
道路が見えなくなる
ホワイトアウト
言葉が突然すぎて
頭の中が真っ白になり
明日が見えなくなる
ホワイトアウト
仕草が辛すぎて
心の中が ....
いつごろかなあ
泥遊びをしなくなったの
虫だっていつのまにか触れなくなったし
雨の日に
傘さすのやめて
長ぐつのなかびしょびしょになっても
きにならない
友だちと歩道の横にできた ....
テレビのリモコン握り締めたまま
眠りの入口行ったり来たり
独り暮らしの夜は
意外と長い
そのさきにあるのは
なんですか
それはどこに
ありますか
うみのむこうへ
しずんでいく
パレードが
きょうもいく
ねむいの?
ときくと
うん
という
目の中に
トロトロの
ねむたいを溜めて
おとうとが
ゆめに
吸われていく
ゆうぐれに
流れおちる黒い髪
首すじをつたって
とびたっていった夏の
影を踏んで
わたし、
あなたの
掌にそっと
針を刺しました
あらゆる
温度がならされ
あますことなく
....
高一の冬休み
駅前の割烹でお運びのバイトをした
一階がテーブル席、二階は座敷
宴会料理のお造りや鍋はそちらの厨房で
専任の板前とパート二、三人が誂える
多い時は社長夫婦も加わる
夕方から十 ....
不器用な自分を忘れようと
彼はアトリエに入った
目の前にある石を
彫刻刀で、削る。
無心の者となり
夢中に、削る。
いつのまにか
とっぷり日は暮れて
暗闇 ....
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それは
青空を巻いて
大きく旅立って行ったのだった
遥か眼下に
広がる世界は
大きく変わろうとしている
幼い頃
見 ....
明日がまたやってくる
性懲りもなく
昨日もやってきたというのに
今日もまたやってくる
ずっと今日でいいじゃないか
このまま静かにゆっくりしてればいいじゃないか
明日が来ない日があれ ....
ひとには
信じようと
信じまいと
神に祈るしか
ないときがある
厄介な感情だわ
苦しむために在るのだものね
厄介な心根だわ
苦しめてしまうために在るのだものね
厄介な表情だわ
苦しみを覆ってしまうのだものね
厄介な状況だわ
苦しみに嵌まっ ....
すれ違う言葉に
疲れてしまうことが
疲れ、の原因
ひとの心を気遣うはずが
我が身がもっとも大切だから
我が身のつぎに
うまく他人を愛せないか、と
右往左往で今日が行く
....
夜のドックから走り出す多機能な女
関節を裏側にまわしてステンレスのホイッパーを固定する
ふるえる卵黄と小麦粉がはねつく
すべりだしたパーツからコルク抜きが選択されると
シールドはしぶく
....
悲しみの蓋は
いつのまにか
ぱたり、と
しまる
しめようと
やっきになっている時には
その蝶番を
がたがた いわして
頑として 拒否するくせに
ふと気づいたら
ことり、と
....
がりがりに痩せたはかない猫が、その鋭い目で、僕を狙っている。
僕は、食べられたくて食べられたくて、その指を出した。
そんなにはおいしくないさ、だけど、ほら
猫は、指をかじ ....
見えなくてもそこのあるものは、実際のところ世の中にあふれている。見えなくても聴こえる。見えなくても、そこに存在する。決してオカルトではなく、純然たる事実なのだ。
実家の家の前には、かつて小さな川 ....
夢に浸るのは
無駄だと
いい加減に気付け
と自分に言い聞かせる
夢のなかぐらい
いいじゃねぇか
構わんだろ
と自分に言い聞かせる
朝に目が覚めれば
思い出になって ....
旅の空は見上げなかった
前ばかり見ていたのだ
天体の住む街でボクは
まだ指名手配されない
テロリストのようだった
とにかく自由になれたのだ
信条のため
殺 ....
死んでしまいたい夜に
みそ汁をつくる
干からびた大根のしっぽを
短冊に ....
犬は従順でよろしい。猫は気ままでいけないよ。
賢い犬ほど痴愚と変わらない。猫は老賢者に似ている。自由で孤独だ。
僕は犬を望む。
俺は猫になりたい。
一日の労働を終えて勤務先ビルの最上階休憩室に上がり 西を向いて座る
取り巻く雲の縁を薔薇色に染めながらオレンジ色の太陽が落ちてゆく 
中景には超高層ビル群の黒々としたシルエ ....
優しさによく似た嘘に手を引かれ
行きつく先は虚構群。
いつからこんなに弱くなった?
いつからこんなに涙もろくなった?
答えのない問いに戸惑うのはもう飽きているのに
....
ほーら、なけなしの激情だ
ほーら、なけなしの心情だ
ほーら、なけなしの原状だ
ほーら、なけなしの白状だ
さあさ、お上がり
冷めない内に
たんと、お上がり
バレない内に
ほーら、 ....
ぼくは栞になりたかった
図書館の本にそっと挟まったままの
あるいは
だれかが思いをこめて忍ばせた
四つ葉のクローバーに
あるいは
はからずも頁の上に落とされた
乾いた涙の跡に
....
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