北風の只中を防寒靴で歩いた、僕は
あの日の旅路を手にしたペンで、筆記する

   *

――記憶に蘇る、海の匂い
遠くに見える、断崖に近づくほど
潮の香りを鼻腔に…吸いこみ

断崖の ....
絨毯は 空に舞い上がって
塔や市場や 大きな川を見下ろす
初めて 飛行機に乗った時の記憶
風を耳元に感じることはなかったけど


ぼくは古びたランプを 本棚の後ろに
小難しげな専門書 ....
ときどき風がつよくふいたし
ときどきかみなりも落ちた
照り返しのきつかった床の一部はいまは色あせて
わたしは懺悔しなくてはならなかった
雨の降るようにはひとを好きになれなかったし
嫌いに ....
洗濯物が乾かないね

などという君の唇の上にも
雨は降り続けている

僕らは夜や朝を過ごし、
時には指を結んだり
ほどいたりして、

時間の中で
同じことを繰り返しては
老い ....
多数の角
多重の角を持つけだものが
真昼の雨の径に立ち
水たまりの光を
見つめることであたためている


紙が紙に戻る音
空気が空気に沈む音
踊り たたずみ 再び踊る ....
ムシと言えば…

小学生のとき、有名な昆虫博士のお話を聞いた。
日本では 蜘・ムカデ・蛇にトカゲ・ノミ・虱など 小さな生きものをムシといったけれど ここでは昆虫のことを言います。では、昆虫とは何 ....
球体は弾けた
その飛散した一粒一粒の種子が
時代をあまねく代弁するかのように
ある方向へと向かって流れ出す

思い出して欲しい
白い腕が守ろうとしていたのは何だったのか
幸運の女神は目を ....
      秋刀魚のような
      ひとでした
      辛味のきいた
      大根おろしが
      ほどよく似合う
      それはおいしい
      ひとでした
 ....
雨の夜
国道には死があった

帰り道を急ぐ車の
その一台一台に生があるその対極に
或いは
その隣りに

ぴくりとも動かない人間の脚はまるで
精巧なマネキン人形の部品のよう
アスファ ....
 坂を上りきったところには思い出が宿る。
 僕は持ってきた手帳を開き、使い古した万年筆でそっと言葉を描く。
 生命の継続。生命の継続。生命の継続。
 三回繰り返すと不思議とその場所には新しい ....
ジプトーンの天井を見つめながら
病院のベットに横たわったブタは云った
俺には心臓が無いんだよ


看護師のマチ子はブタの脈をとった
どういうわけかしらね?
ブタはもう一度云っ ....
  玩具は既に壊れており
  木張りの床に見棄てられていた
  夕陽から親しげな香りが溢れ、
  窓辺に置いた花瓶に纏わりつく
  私たちは 壊れていた 跡形もなく
  {ルビ抑=そ ....
無人のスタジアム
白紙は地図と呼べるか
核心はいつだって曲がり角の向こう

超常現象
犠牲者という記号
間違いなく間違うその一瞬を探る

夢は羽根
欲は蝋
皮を剥くことばかり求めて、
実の味を忘れた
林檎みたいな私の肌に、
あなたは歯をがりり立てました。
私はその痛みに歓喜し
ちいさな翼を羽ばたかせ
あなたの心のなかの
小さな ....
口約束で
作り上げられた 甘さは
おたがいに溺れるような
沈んでいくような
そんなすばらしい沼

底なしの許容だけがあり
腐り落ちた水菓子は叱られることもなく
じわり果汁を滴らせている ....
六月の雨が
育ち盛りのスイカをいたずらに誘う
でも、今年の梅雨は少々しつこくて
早くも冷夏の予感がした
ナスビもトウモロコシも痩せたまま太らない

繁茂するのはスイカのツルと葉っぱばかり
 ....
太陽の嘘を
夜が暗殺する
一瞬の未来がもう過去になる時のなかで
眠らない傷痕だけ
硬いソファで微睡んでいる
自然であること自然に衰えてゆくこと

ぶつかりながら消耗しながらもえつきる流星

いつ どこで

誰が 何を 何故?

自分のだけの視野で批評も感想もなくて
生きることも可能だが
 ....
草ぼうぼうが美しい

荒れ放題の草むらは公園だった

ベンチに座ると膝まで草に隠れる

ゴミが見当たらない

草に隠れているのだろう

遊具に涼やかな日が当たる

ぼくはそこで ....
ホームの柱には角丸ゴシックで神とだけ印字されたステッカーが貼りついていた
その柱にもたれながら乗車する予定の新幹線を待つ
正確には夫と娘が帰省するために乗車する新幹線を待つ
とうの二人は並んでホ ....
     わたしは帰る
     猫の住む我が家へと
     服も靴下も脱ぎ散らかし
     ひんやりとしたベッドへ
     もぐりこむ
     鼻先の生温かなけものの匂い
 ....
おなか、空いてない?
きみにそう聞かれるとぼくのおなかは減りはじめる
そしてそう聞かれたときから余すことなく満たされていく
朝の光のなか、テーブルに触り、きみのそばに座り
きみに満たされた ....
ただ電車が通り過ぎていくのを
意味もなく微笑んで見送った

誰に語りかける言葉もなかった
本当の言葉など要らず
偽物の言葉で構わないのに
偽物の言葉すら持ち合わせていない
も ....
安保法案反対もデモも自由だけど、「強行採決」という言葉を使う意味が分からない。与党が法案を通せる議席数を持っているのは、投票者による投票行為の結果であって、それを否定するのであれば民主主義から否定しな .... 戯れが過ぎたのか
名月が遠い 待てない心臓が加速始め

この訪れの麗らかさを

深呼吸トクトク鼓動にはもって上体を反らして

螺旋の儚い軌道を静止飛んでいる

ひたひたの心に ....
枝葉に付着した
無数の小さな丸い水滴      銀の透明
は、
照らしだす光に 光を通し輝く

光そのものは見えずに
只、
銀の透明響かせます

無垢なる人の魂に
線香の白い煙の糸がたちのぼる
追って見上ぐれば
黒い梁から見下ろす遺影の果て
白い路(みち)はほどけてく
おそらく、天上界まで届いたあたりで

夏は喪のシーズンだ
祖霊が帰り
私も帰り ....
眠れない夜だったから
架空の国へ出かけた

王位継承
森の魔物
結界の霧雨

本を閉じると
外も
いつのまにか雨

この雨が結界なら
私も連れ去ってくれ

見わたす現実の
 ....
ひかりのあたる角度によって
ものごとは綺麗に反射したりえらくくすんで見えたりもする

シャンデリアのある素敵な応接間
ある生命は空間を得るために代償を払う

それを得られない一部は
高速 ....
箪笥の奥深く秘められていたいくつかの小箱
おそらく母の物であろう歯の欠けた櫛に
出合ってわたしの心が波立つ

そして 夭折した兄たちの名に混じって
ボクの名が乾ききった小箱

それは ....
ただのみきやさんのおすすめリスト(14211)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冬の釣人___- 服部 剛自由詩515-9-8
真鍮の都- 藤原絵理 ...自由詩515-9-8
懺悔- はるな自由詩515-9-8
また、雨は降っている- またたび ...自由詩315-9-8
蒼へ_鏡へ- 木立 悟自由詩415-9-8
ムシと言えば…- イナエ自由詩7*15-9-8
◎示唆の行方- 由木名緒 ...自由詩16*15-9-8
あのひと- 石田とわ自由詩1015-9-7
うつうつ- そらの珊 ...自由詩915-9-7
生命の歌- ヒヤシン ...自由詩9*15-9-7
マチ子とブタと病室で- オダカズ ...自由詩4*15-9-6
玩具- 草野春心自由詩615-9-6
セレブリティ- 有無谷六 ...自由詩115-9-6
接吻- あおい満 ...自由詩14*15-9-5
腐った林檎は誰も拾わない- 日々野い ...自由詩815-9-5
朝の日記_2015夏- たま自由詩21*15-9-5
太陽の嘘- ハァモニ ...自由詩7*15-9-5
案山子- 梅昆布茶自由詩1215-9-5
公園- 吉岡ペペ ...自由詩615-9-5
稲妻市へ- 手乗川文 ...自由詩3*15-9-5
金の目と金の月- 石田とわ自由詩16*15-9-4
もう世界の中心で愛をさけんだりなんてしないなんて言わないよぜ ...- 末下りょ ...自由詩4*15-9-4
廃人の唄- 葉leaf自由詩615-9-4
行為- こひもと ...自由詩6+*15-9-4
小さな秋の戯れに- 朝焼彩茜 ...自由詩17*15-9-3
叡智- たけし自由詩715-9-3
シーズン- 凍湖(と ...自由詩5*15-9-3
冥府の門- ガト自由詩11*15-9-3
蛍日記- 梅昆布茶自由詩1915-9-2
臍帯- イナエ自由詩22*15-9-2

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