水道管から聞こえてくる
遠くから雨がやってくる
おとなたちはおしゃべりをやめて
会えないひとに手紙を書き始める
ラジオが音楽を止める
もう雨は近くまできている
....
本当の言葉を形にするのはむずかしい
初めてあの人の声が聴こえなかった時の怖さを自分で声にするのは
目をつむれば白い雲がみえて
書き込む文字がへんてこなのは
どこまでも どこまでも いつか届 ....
僕は水色のグライダーではなく
鳥の中でも一番ありふれた
雀やカラスでもなくて
ひばりのように高く
カモメのように鮮やかに
はばたきたいと
願う
風に乗り
....
動けばプラスにもマイナスにも成る
マイナスをかき消す爪が欲しい
私が動けばプラスにもマイナスにも巻き込んでしまう
プラスを描く賢者の杖で 魔法をかけたいあの人に
味方になって欲しい さ ....
パンドラの匣を開ける天才
書こうとしたことを忘れてしまって
空をノックした
誰も出てきてはくれなかった
書こうとしたことを忘れてしまって
目を擦った
視界がさらにぼやけて
手からしょっぱい匂いがした
書こ ....
雨は校庭にアマゾン川をつくる
午後の授業は眠たい
窓越しに校庭を見下ろす
あれはきっとアフリカ大陸
あれはきっとオーストラリア
あの川にはピラニアが泳いでいる
友達がいないから
わざ ....
死後の地獄は知らないけれど
生き地獄なら知っている
そんな無力や痛みなど
誰もが経験するだろう
それでもここは辛いのだ
残酷かつ心細さの果てなのだ
一緒に見た広 ....
戦場へ赴く男たちの頬は
どれも蒼褪めて
眼だけが真っ赤な
獣のようにぎらぎらと燃えた
そして一様に
目指しているのだと言う
その先には
膨張しきった黒い太陽があった
女は男の眼 ....
空を歌うのが鳥ならば
土を歌うのが土竜で
水を歌うのが魚ならば
炎を歌うのは薪でしょうか
私は何を歌うのだろう
生まれた時から音が満ちて
それは時に揺蕩う色彩の粒子
それは時に傷口か ....
うっかりすると 本人も見逃しそうな 直立だった
それは闇夜のできごとだった
神技(かみわざ)の域
幾重にも 青天の霹靂が重なった年がつづいた
ある新月の晩
カワウソが 岩の上 ....
思い上がれば月初め、
寝かしつけた二人の猫に
子守唄は要らない
朝の詩人と夜の詩人を繋ぐ
一条のペンのかげ
かすりもしない韻律を
丘の風に送って
レトリバーがおもちゃに飽くように
ニュ ....
のんのさまに 手をあわせて
のの字みたいに 背中をまるめて
ちいさな 座布団に ちゃんこして
みらしらぬ 古民家にまぬかれて ちゃんこする
ちいさい人の みこころは
のんのさまみた ....
友が育てたバラの花びらを
ポプリというものにして
ひと壜 私にくれた
大きなガラスの広口壜にいっぱいに詰められた
枯れた花びら
乾いて 色も抜け落ちた
かさかさの花びらに
香りが ....
熱い琥珀色の紅茶に角砂糖を溶かしましょう。睡眠薬がわりに疲れたミルクが、銀の容器のなかで一休みしていますから。
街は人のことなどまるでお構いなしですね。くつろぎの傍らを、電車が疾過していきます。カラ ....
国境線の上に魚が死んでいた
線に沿ってナイフで切ると
両方の国から猫がやって来て
半分ずつ咥えて行った
近くでは国境線を挟んで
男たちがチェスをしている
自分の陣地は真ん中ま ....
リズムをみつけよう
心地よいリズム
ゆっくりと歩もう
自分に合った速度で
いろんな街の匂いを
風が運んでくるから
時々立ち止まっては
立ち位置を確かめる
胸を広げて深呼 ....
そしてライラックは飛んだのです
{引用= 恋人を探しに?
いいえ
思い出を探しに?
いいえ}
芽生える緑に、もうもたれかからずとも
新しい世界を知ることができるように
すり減った若さを残 ....
あたいはしがないエレベーターガール
箱に入って一日上がったり下がったりしている
こんなんじゃ彼氏だってできやしない
あたいは孤独なエレベーターガール
人件費削減の為に
近々箱を追われ ....
幼児並みの知能の
ばったり倒れ屋さん
自分の存在意味を
たずねる旅は続く
哀愁と友情とを友として
泣き虫の私は
どうしても涙する
同時に孤独の本質を知る
....
ハラハラサイタハナノシタ
キンギョハオヨグヒラヒラト
アカイコロモヲフルワセテ
....
生きている痛みや歓び
どっちが
刹那や永遠だろう
ほんとのことってなんだろう
僕は馬鹿だから
あたまで考えたことは
信じてももらえずに
密かな証にしかしてもら ....
その横っ面を
おもいっきり
はり倒す
約束をまもらぬ
ろくでなしの
横 ....
燭台のともしびに羽虫の燃え尽きるように
夕陽を沈ませてはならない
銀色のリングのような月を黙って見送ってはいけないのだ
彼女の涙を数えてはいけない
きっとすぐに溺れてしまうだろうから
....
夜の部屋で
ぎたあの絃を爪弾けば
音のふるえは{ルビ静寂=しじま}に消えて
再び秒針の音は響く
繰り返される毎日に
どうすれば僕は
音のふるえとなるだろう?
単調なる ....
目的へと向かって歩く僕らの足を
美しい夕日がつと、止めた
目的へと向かって歩く僕らの足を
美しい音楽がつと、止めた
目的へと向かって歩く僕らの足を
美しい君がつと、止めた ....
半世紀余も前に消えてしまった
青い春のネオン
赤い夏のいさり火
白い秋のかがり火
なのに 今 フェードアップしてくる
黒い冬は 一条の鬼火
....
君は泣く
必ず泣く
人は涙を流す生き物だから
失くして
悔やんで
許されて
こみあげるものを抑えられない
涙をたたえた瞳で見る世界は
ひどくゆがんでひどく美しい
二度 ....
たとえば
悪意であったなら
オブラートに包んで飲み込む
たとえば
優しさであったなら
丁寧に蒸留したあと
春色のカプセルにして
冬に打ちひしがれた小鳥のために
蒔いておく
た ....
明るまない窓の外をみながら
早すぎた目覚めに舌打ちをする
一月の午前四時
常識を忘れた空腹が訪れるが
理性はそれを満たさないことを選ぶ
代わりに水を一杯手許に置いて
グラス ....
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