僕が君にかけた言葉に
足りなかったひとつまみの愛
投げやりになって疲れ果て
忙しくってもこれにまさるスパイスはないんだ
わすれちゃあいけないひとつまみの愛
ありあまるものでは替え ....
ふと箸を落としてしまい
屈みこむと、床に米粒が続いていて
点々と拾いながら進んでいく
客間へ、座敷へ、縁側へ
いつしか古い蔵の脇を通り
門から出て、人通りの少ない裏道のほうへ
白く輝く米粒 ....
誕生日にひとつ歳をとる
それにぼくは一年くくられる
ぼくはなにかと似ているなあ
なんだったっけと考える
そうだ水だ
実体は変幻しながらも
本質を失うことのない
....
わたしの母は詩をかいていた。
いつもテーブルの上に無造作に置いて
あったのでたまによんでは見たけれど
それはよくわからないものであったよ
うに記憶している。そもそも小学生の
わたしにはよ ....
ねじられた
つぼみは
夜のさざなみに
ゆるゆると洗われて
空が
ほんのりあけるころ
星の形に開きます
命、うすむらさきに笑ってる
私の心も
ほどけてゆきました
一筆書きで行けるとこまで行くつもりの眼をしている
雪だるまは旅に出たことにしました
紙の鎖の端をにぎって
妹も姉もいないところで
父と母が編んだ赤い塔をゆく
らせん階段はきらいだ
古い日々を思いださせ
とにかく青い
ノ・ヴァ、きみが秋晴れだったころ
ぼくが立派な牡鹿 ....
本日は
絶好の洗濯日和
見上げる雲は
穏やかな光に浸されて
へたくそな君のハミングが
靴下とシャツの森で揺れる
色とりどりの洗濯バサミが
タオルと枕カバーの ....
***********************
*
* おばけあります
*
***********************
居酒屋の柱に 【おばけあります】ってあるから
....
繰り返す毎日
何度も同じところを回り続けるペダル
チェーンでタイヤとつながって
前に進んでいく
毎朝同じ道を行くとしても
繰り返す毎日
いつも同じ時刻の電車に乗って
早足で乗り換えを ....
彼女が突然
夜食にゆで卵を食べたいと云って
卵をふたつゆでた。
寝そべって
二人でひとつずつ食べながら、
話をする。
彼女には卵の黄身になってくれたら
僕は白身になって君を包みたいと ....
130920
先輩の意地が後輩を外側に吹っ飛ばすのだと
評論家は結論づけた
ひ弱な先輩が
頑健な後輩と対峙したら
どんなに意地があっても
どんなに卑怯 ....
【記憶の塩漬け】
すべての壁は白い それぞれの壁が白さの中にも蔭を落し
直線で構成された 迷路
一陣の風がふいて 一粒一粒の白砂が
皺やよじれとなり集まり
....
01「…ドゥ, シュビドゥワ, ドゥ,シュビドゥワ, duドゥ… シュビドゥワ, ドゥ,シュビドゥワ, duドゥ…」
メチャクチャ,に壊され,た〜 居酒屋,の中央 それは 善… そ ....
咳をしても独り
月を見ても独り
詩を詠むも独り
ああ、
なんだか今日は
濃密な色の夜だ
咳をしても独り
月が満ても独り
詩を読むも独り
ああ、
なんだか今日 ....
空は
白紙に似ている
私たちの
頭上に開かれた
広大な空間
人は そこに
想い想いの
絵を描く
でも 私は
そこに描き得る
どんな夢も
持ち合 ....
午後と午前が一瞬だけ相槌を打ち
手渡される密書
時間を知る者だけに閲覧を許される
一日を均等に二分割したのは人間だけだが
月と太陽は有史以前から
地球に影を描いて輪切りにしていた
....
あの日、
そうです。あの日からわたしは詩をつ
くれなくなった。何も浮かばないので
闇が静かに明けてゆくのを待っていま
す。ほら、ありふれているだろ。君の
言葉は素晴らしい。必ず朝を呼びすべ
....
天気予報が
いい具合にはずれて
空に陽が差してくる
中学校の校庭
トラックに引かれた真新しい白線
「出陣」の文字が描かれた入場門
砂埃の匂いがくしゃみを誘う
テントの下に置かれたキャ ....
サーカスも消えた広場に
日付が変わった南瓜の馬車
燃え落ちた隕石
既に 青くない地球
十二色のクレヨンを握り
極彩色のテレビに見とれている児
やり過ごされていく毒の風に晒さ ....
ただ風が吹くのも 君がいれば 君がいれば
シャボン玉が飛ぶでしょう
鳥や木が歌うでしょう
花達が踊るでしょう
ただ風が吹くのも 君がいれば 君がいれば
白い雲が流れる
日の丸が ....
うどんの出汁をとった
ご飯の炊ける匂いが嫌になったから
ツルツルと食べられるものが良かった
掛け布団を洗った
柔軟剤の匂いが嫌になったから
今夜は少し寝苦しい夜だな
....
きっと目に見えないほどの
花びら5まい広げる花を
見つけるのだろうね
やっと つった足指を
起きない体反らせて
伸ばしてみても
それがそんなミクロの花には
....
ナポレオン と 書いて あるのに
オレンジ色の
細長い
ケチャップ色の麺を 想像して しまったので
慌てて 伸びを してみた
こないだ作った ミートソースみたいだ
なんで ナポリタン ....
花の{ルビ陰=かげ}は柔らかな光に包まれている
そこは決して暗くはなく
日差しを柔らかなぬくもりに変えて
まぶしさを穏やかさにする
花の蕾に包まれて私は眠りたい
ベッチンの様な花びらの中 ....
大きな雲は
空の広さを証明する
こんなに空が深くて
澄んでいることを
青空だけでは
はかりしれない
知ったようなことを
ほざくのが
気持ちよくてね
その代償は
賢者からの軽蔑
ハイヒールの踵で 不意に
背中を蹴られるような気分さ
気の利いた冗談を
言えるようになりたいんだ ....
愛は長い嘘よ、と
つぶやくそばで光が鳴り
きみの髪を一本ずつ太陽が染めていく
壁の穴には吸殻が押し込められ
干上がったダムに不発弾
鳥がまっすぐ秋を飛ぶ
子どもたちが歌うメロディを ....
からくりをひらくと
蜘蛛と草が居た
蜘蛛が草に話しかけると
からくりは動き
草が蜘蛛に話しかけても
からくりは動かなかった
からくりを閉じた
ほんのわずか ....
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