人生のかなり始めの方から
数字とは折り合いが悪かった
なかなか「ひとつ」から「とお」までが言えなかった
私の脳みそは数学に辿りつくことはなく
小学生の算数の始め
特に九九でつまずいて
今だ ....
星が光っている
遠い時間と距離を走り
今日のこの場所の
この瞬間の
私に届いて
またその先の
いったいどこまで
行くのだろう
私は一日の仕事や
とりとめのない煩いで
頭の中を言 ....
冬の陽の
頼りなげなひと筋ふた筋
枯れ草に寝そべって
融け残る雪はナフタリン
女王蟻はせっせと
ナフタリンを袋に詰める
春に生まれてくる子へ
衣装箪笥の虫除けにする
見回せ ....
言葉や想いはどこへ行くのだろう
風と共に消えてしまうのか
それとも人と同じように
行き先のない旅をして
いつか自分の元へ帰ってくるのかな
そして旅を終えた言葉達は
きっと今までよりも ....
如月草をご存知ですか
たとえばそれは
荒野をわたる風のなか
ささやかに
桃いろに
揺られています
如月草をご存知ですか
たとえばそれは
星座をたどる指のさき
あやふや ....
崩落したコンクリート構造物には異型鉄筋が露出し錆びついている
圧縮されたすべてのものがついに限界を迎え
一瞬にして広大な大気圏の天辺に分厚い雲が浮かび
ゆがんだ紫色の空間から雨が降り出した
得 ....
雨はなぜ私をすり抜けていくのか
そんなことを考えながら歩いている
死者を飛び越える猫のように
あるいは歩きはじめた老人のように
それは古寺へと続く苔生した山道であり
田植えが終わったばかりの ....
ある日窓から花を投げた
あのひとが受け取ってくちびるに寄せてから
あのひとが好きになった 恋をした
みずいろの花 むらさきの花 そしてあかい花
あのひとはすべて受け取ってそっと胸にしまった
....
今日は姪っ子と詩人の誕生日
姪っ子は一歳 詩人は何歳だったかな・・
時々 神と繋がっているはずだから 脳の杖は黄金の如意棒
だから 私たちを唸らせるんだ
生まれ持った持たされた才能に違いない
....
負けるもんか卵でとじる
捨てた故郷に花を植える
道をほると
どんどんとほると
一体なにがあるのかとのぞきこんだ
黒々とした土の中に
なにがあるのかと期待した
ユンボでかきだされる黒い土は
内臓のようにみせてやっぱり土だった
そ ....
華やかな目眩をください
目の奥が乾いてしかたありません
琥珀色の夢で私を濡らして
星は見えなくても
月が出てなくても
そんなのどうでもいいではありませんか
目線を合わせて隣同士
手を ....
蟹が泳いでいた
それを追ってわたしがきて
叔父がわたしを追いかけてきて
叔父を追いかけて姉もきていた
だから家が火事になっても問題なかった
みんなで食べた鍋は
罪の味がした
不発弾を掘り出したというので見にきたが
大きな穴が埋められもせず空いているだけだった
校庭には名残の雪が汚れた骨のようで
からっ風が髪を乱して吹き去っていく
花壇にはパンジー どれも顔みたいに ....
猫が背伸びしてお迎えの時間
摂理という美の魅力によって
自然は不思議という概念を創造した
ある石は固く曲がることはない
ある石は蒟蒻のように柔らかく曲がる
甘い蜜でしたたかに誘う花もあれば
容赦なく殺す毒を持つ ....
猫背の猫、
あたらしいグランドピアノ
その黒鍵よりくろいひかり
猫の、目の、奥がものがたる
誰も見たことのない、できない
猫の詩、
白鍵を選び歩く
猫の、足の、裏がかなでる
雪より白い ....
魚上氷
うおこおりをいづる
冷たい水底で
来る日も来る日も
あわぶくの羅列を眺めてきた
滞りがちな
私の中の遅い水は
妄想だけを鰓の内側に沈殿させた
待つのは慣れて ....
一と言う字を書いた
それはゴールテープ
真っ先にあなたが通り抜けて
一は消えた
東の果ての一
海と空の境界から
太陽が覗き一日をはじめるとき
あなたの舟が一の中へ消えて行く
....
いつか、降るだろう
雨とは呼べない
くるしい水や
雪とは呼べない
つらい花弁が
いつか、降るだろう
きっと
だれもが望む形は
思いがけずに
姿をかえて
しまう
....
太平洋の荒い波が
かつてひとつであった石さえも
みっつに分断させたのよ
小説家志望の女の子の戯言が
ここでなら
信憑性をもって
語りかけてくる
干潮時にだけ現れる
海の通路を渡り ....
夏がもこもこしている
公園で母と子が手をつないで歌を歌っている
私は5歳の時
3ヶ月間入院生活を送っていた
当時の大学病院の小児病棟は
母親が付き添う様になっていた
私には3歳と生後5ヵ月の2人の妹がい ....
割れたガラスを見て永遠なんてないわと思うわたし
そんなんあたりまえやけ!
と、けとばしてみる
アナウンスが流れる
線路内に鹿が入り込んだため
列車は3分遅れて隣の駅を発車しました
その鹿はどうなったのだろう
寒いホームに
誰もが無言で
同じ方向をむいて並んでいる
....
星の夜には
投網を打って
散らばった小さな傷を
呼び戻そう
触れ合えば侵しあう
優しい温もりも
潮のように沁みて
刻んだり
刻まれたりしながら
私たちは生きてる
甘く心を鈍 ....
伊栖摩への道?
あそこは友だちがいるから行ったことはあるけど。
地元民に聞くのがいちばんよ。
地元で聞いたらルートがややこしすぎたって?
ややこしいルートが正解なの。
近道しようとするとかえ ....
君の笑顔が僕を救ってくれる。
君の笑顔は僕を幸せにする。
君の笑顔につられて僕も笑顔になる。
今までは独りきりだったのに。
君は不思議な力を持っている。
君はありのままなのだろうけれ ....
夫と2人で ひさしぶりの動物園
夫は動物を見る
私は夫を見る
子ウサギを見る夫の目が温かく緩む
その目をわたしは見た
クジャクを見る夫の目がその眩さに大きく深くなるのも
....
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