そこにあったことなどないことを忘れそうに満ちる野花


水底にねをはる陽の匂いをそこねることなく永遠の死を生き続ける置物に


なによりもそこに似合う置き場のない静けさとして


 ....
1
疑心暗鬼の檻の中に心を放り込みます
心がワンワン叫んでいるのを確認しましょう

2
後悔でたらたら冷や汗をかきましょう
そして後悔が空転するまで永遠に反芻します

3
絶望感で着 ....
口元から読経がながれる
もの言わず燃えたぎる焼き場にて
圧倒的なあの世が降りてくる

惜別をぶち抜く感情のほとばしり
わなわなと肩が共鳴する後ろ姿
人目を払いのけ崩れ落ちる黒影

命に ....
  見えないが それは
  熱の蛇が 這っているのだ
  かんぜんな 石を湿らせ
  なにもかもが黙る

  
  熱の蛇が
  這っていくのが見えない
  街はいつも 叫んで ....
耳から咲いたうつくしい花の声たち
眠っているときだけ、咲く花がある
あなたはそれを観る事はないだろう

生きた証し、誰かの
言葉に耳を傾けた証し
母さんの声は咲いているか
愛しいあの娘の ....
古代はひがないちにち風を吹かせて
日捲りはやがて春を忘れてしまうだろう

肩甲骨のあたりの憂いは上等な娯楽あるいは
ながれついた憎しみをも拭い去ってしまうのかもしれない

あの娘はときどき ....
薄暗い穴ぐらの奥まった 最も深い底の底
そこにわたしは置いてきた
窮迫したこわもての告訴状
かれらと千切れた
たったひとつの千言を
どうしてもかれらに届けなければならない
いちばん尊い言伝 ....
トルソの夕焼けに
切断された四肢の休息を
みるものはない

石理から拭きとられた水も
砂漠をこえ ひとをこえ
高低をのみほしてきた

砂時計はアシンメトリーである
あらゆる風と雲 ....
海よりもとおい海の
浜辺には声の真空があり
水と石だけがきざまれて在る

列島の等高線をきりおとして
おんなたちは口々に
あれが星の曲率なのだとささやく

だがひとえに言ってしまえ ....
少し雲を横にずらしたところ
まだ日に焼けてない空が現れた

日傘の出番を待っていた
帰ろうとしている場所が家ではない気がして
私は駅を探す
私を乗せてくれるホームは何番線だろう?
海面が ....
色の無い景色、風の無い景色が嫌いだった
息を潜めて雨宿りする軒下
一番自分に近い言葉が訪れるひと時
生まれた場所から離れ滴り落ちていく滴を見送り
その向こう側にぼんやりと移ろう情景が
私との ....
訪れたのは君に会うためじゃない
そもそも君は此処にはいない
谷の翌檜が風邪を引いたので
薬を届けに行くところだ

足のない風が五線譜をくすぐり
君はひと振りの枯れ枝
弦に乗せた指が踊り始 ....
幾重にも重なったチャコールグレーの雲模様
ハッヒフヘホー
バイキンマンが登場する定型場面みたいな
重すぎて緞帳になれなかった布地みたいな
そんな今朝の空を額縁にかける

やがて大粒の雨
 ....
希望は罪かも知れませんが
止められなかったのも事実
急ブレーキの跡が生々しいです
轢いてしまった感触だけがあって
亡骸は何処にもありません
私は空を見上げます

制限速度は誰のためにある ....
観葉植物を真似るクリームソーダが
夕焼けに溶けていく
散々

カフェインに浸れた
町角で
段々
赤い花を咲かせた
砂漠の
あるいは密林の植物がひけらかす
肉厚な葉のように
ク ....
椀に触れたことのないくちびる
樹液のにおいのくちびる
人を知らないくちびる
ひとりを生きてゆく手のひら


人の姿をした冬の
はじまりと終わりが並んで立ち
木々が途 ....
赤ちゃんを引っ張りだすように大根を抜いていくかあちゃん
タオルを風に飛ばされても大根の泥をはらいしなやかに太陽にかざすかあちゃん

袋売りの切り干し大根にしか興味のないあたしは中立を気取る麦 ....
1.蜂蜜

海のむこうの国から
はちみつを買うきみに
くたばれと思っても
しようがないね

トースト

冷めちゃって、

可燃ゴミにて
代謝する
えいえんに腐らない日々 ....
剥いた蜜柑の爪跡が地球の裏側に勃っている
朝と見間違うかのような崩落
焔は零れる砂となり
紐を抱くとも数式の最後尾に綴じられる

消えそうな会釈で靴を脱ぐ
前室は輪郭に満たず、水没した鏡に ....
空虚が扉を叩くので
愚かにも私はまた、
鍵を開いてしまうのです

生まれたての悪魔は
私の恋人達を連れ去っていきます
暫く経てば私を忘れて
皆幸せに暮らすのでしょう
(きっともうすぐ春 ....
不気味なぐらい静かな部屋
麦茶が発狂する

女が愛撫の練習
男は射星の訓練

惑星を孕むのか、布団の上で

そして彼女は
冥王星の母親になったのである

気が付けば 寺小屋の ....
しゃくりあげる2月
スカートはフレアして
びどうだにせず濡れる校庭
友引のある日
メラニズムを引き起こす電車にのって
わたしたち
ちぎれてしまう

耳たぶだけになったら

という ....
青い青い夕暮れ、イチョウの葉が金の鳥となり羽ばたいてゆき
「おつきさま こんばんは」と絵本の言葉で
三日月指さす この子の目はきらきらしている
月のおそばにいる あかるい星は
燭とり童というん ....
網にかかるのは風に騙され
流れ着いたポリ袋
それとも詩の振りをしたがる風が
書き散らしたメモ書き

アパートの一室で
誰にも知られず
死んだ男の履歴

携帯電話を所持していても
誰 ....
張り巡らされた枝の投網を
小鳥はすり抜ける

月の形に貼られた和紙が
空の水色を透かし

細い絵筆を並べたような
ポプラの ....
丘の上には公園があり
たくさんの日曜日が植わっている
真っ白な小さな手が花のように開き
その上に我が物顔で日曜日が
乗っている
自転車を押して登らなければいけない
花梨がまだ実を手 ....
昨日から
降ってはときおり止んで
降り続くから
朝か夕か分からなくなる
冬の雨は
うすぼんやり温かい
雪になりそこねた雨に
ずっと昔にも出会ったことがある

時間のあわいのような色の ....
 
                

冬の地下室へ下りていく軟らかい階段を
見つけられない影たちが
窓枠に囲まれた薄闇の奥にたむろするので

もうないはずの衝動に駆られ
割れて逆さま ....
海の見える窓は
花瓶と 古びた鉛筆の
水中のような色の部屋だ
幸せを運ぶリモコンで
僕は そして
テレビに目を閉じさせられていた
過ぎた日の でも 僕は
友達の残した言葉に微笑んでい ....
冬の分厚い雲にとざされた
細胞内共生説
のような太陽の下を歩いていると
ロケットに括り付けられた
葉緑体の
気分だ
真空空間はエナメルのペトリ皿
おれは
スポイトの
遊星で爆発する
ただのみきやさんのおすすめリスト(14280)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
置き場のない置物- 末下りょ ...自由詩6*21-3-10
お豆腐メンタルの作り方- ◇レキ自由詩1*21-3-10
焼き場にて(改訂版)- 宣井龍人自由詩10*21-3-9
- 草野春心自由詩621-3-7
たまゆら- 帆場蔵人自由詩12*21-3-6
誕生日のきみに- 梅昆布茶自由詩1121-3-6
穴ぐらと重力- 天寧自由詩221-3-3
断章- 新染因循自由詩521-2-26
海のパース- 新染因循自由詩16*21-2-25
二枚貝- 妻咲邦香自由詩221-2-23
一筆- 妻咲邦香自由詩3*21-2-23
スナフキン- 妻咲邦香自由詩321-2-18
そういえばキミはバイキンマンが好きだったよね- そらの珊 ...自由詩9*21-2-15
潮風- 妻咲邦香自由詩421-2-15
コーラのちコーヒー、所によりクリームソーダ- 末下りょ ...自由詩5*21-2-14
こがね_みどり_いのち- 木立 悟自由詩321-2-13
大根狩り- 末下りょ ...自由詩3*21-2-12
ひとところにわたしのための愛をあつめる- 平井容子自由詩621-2-8
カーネーション- 妻咲邦香自由詩321-2-6
孤独の成り立ち.二- 瑠王自由詩721-1-31
射星- 死紺亭柳 ...自由詩321-1-31
火炎- 平井容子自由詩421-1-27
夜、夜- 田中修子自由詩721-1-27
変死- Lucy自由詩7*21-1-25
光の春が- Lucy自由詩8*21-1-25
同一テーマにおける3つの変奏「てがみ」- すいせい自由詩321-1-23
あわい- そらの珊 ...自由詩9*21-1-23
地下室へ下りる階段を- Lucy自由詩7*21-1-19
別荘の部屋で- 番田 自由詩321-1-14
冬の惑星で- 道草次郎自由詩221-1-8

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