高い虚空が深呼吸するなか
近くで鴉がわめいている
広い大地が共鳴しているなか
遠くで街宣車が叫んでいる
それなのに 無聊に甘えながらも
「時」の深さを知りたくて ....
メザメロメザメロとわめくけれど
わたしはとうに起きている
いちばんねぼけているのは誰か
ゆめの中でだけほんとうの自分でいられる
さまつなことが捨象され
円をふちどる線は消える
残るは小 ....
時に穏やかなせせらぎのよう
時に荒れ狂う急流のよう
感情を川に例えたとき
浮かぶのは一つの疑問
どこから来てどこへ流れるのか
何が雨でどこが海なのか
心の正体、魂の在処
自分のことを ....
日々の道に転がっている
いくつもの…丸石や尖った石
どちらを拾うか問われているが
世の重力に押され、屈む私は
つい、感情に流れ
尖った石を、手にしてしまう。
尖った石を拾いそうにな ....
途上の果てに途上が永遠に続く程
過程こそ命だったりするのかもしれない
結果の全てを錆びれた勲章のように刹那の時代に留め
天へ行く虫の息を深呼吸の懐の泉 澄む結びに憧憬の界
今を ....
サラリーマンが命を担保に金を借り
建てた家々の集落
書割のような中流階級
文化を支えたピアノ
音の断片が集落の中を
誇らしげに 恥ずかしげに
歩いていたのは何時のころだったか
口 ....
ポンコツな身体に
多過ぎる情報量
回路は常にオーバーヒートして
壊れたようにこんこんと眠る
君からその
人型の身体を取っ払ってあげる
何ももう君を縛るものはない
意識だけになった君を ....
あなたはまだ波をしらない
もみじをふくらましたような幸福な手のひら
でもそのうちにわかるようになる
あなたのなかにも潮があって
みちたりひいたり するのを
そうしてそれが
あなたのから ....
ほめてもらうって
うれしいね
ほめられ慣れない私だから
顔のつくりに困るけど
足が三センチ浮いてます
私も見つけようかな
あなたのいいところ
困った顔と
浮いたからだで
ひと足の途絶えた
深夜の商店街
わずかな気配にも
センサーが反応して
ひとりでに機械が喋りだす
イラッシャイマセ
パネルノ番号ニ、シタガッテ
操作シテクダサイ
番号 ....
昨日
夢を身籠って
孵った卵が
明日また孵る
短い再生を繰り返して
消耗していくだけの
羊飼いの楽園
*
古い文明と共に
行き場を失して
新しい時代の入口で
停滞している
....
私は機械と歌う
遠い彼の方角を向いて
ずっと前から知っている歌をなぞるように歌う
たくさんの口を見てきた
たくさんの歯に噛みつかれた
それでも君は私の瞳を綺麗だという
....
がらにもなく雪の心配
いっしゅんのキャンディが溶ける
影をゆく水色のバス
こんなに日が照っているのに
こらえてこらえて寒いのはこらえて
くしゃみ先生
黒板にずっ ....
紙を折ると
斜めの方へ
出てゆこうとする
かすかな影
影は影のまま雨になり
花に触れ また影になる
暗がりを映す水
時計のような足跡
光の点が
沈まず ....
今日は平日
お別れした日
途方もなくて
言葉が上手く出なかった
星空が澄んでいて
呆然と眺めていた
しゃべれないけものみたいに
あまりにも
痛かった
いたかったの ....
詩、書いちゃってる?
言葉、続く、君の先へ
笑えばーーー人が笑うと思うよ
君は、笑わないだろうけど
人間性失った、人じゃなくなる
そう言って威嚇した人、皆死んだ
....
黄色い西日が
うっすらと
家々の窓に手をかざす頃
いよいよ濃くなる
鉛色の空の下
次第に風に削られていく
私は冬
傷ついては修復し
和解しては
なお打ち倒され
ざらざらに荒 ....
たいていは
洗面所に置いてある
プラスチックの小さなコップだ
うっかり注ぎ過ぎると
すぐに溢れてしまう
もちろん
茶碗や湯飲みでもあるけれど
哀しいくらい量産品だから
いつ取り ....
数えきれない夢の中から
数えきれるほどの目標を定めて走る
人波から離れて努力に耽ることも
努力から逃げたくて人波にまぎれることも
しかしながら、どこにいてもちらつく努力
近道 ....
庭の片隅にある金柑の木
棘の生えた枝の先に
その日もイモムシがいる
太い緑色の胴に
胸には眼の黒丸
突っつくとオレンジの角が
にゅーっと
その日もイモムシがいる
イモムシはじっ ....
私を吐き出し
それを紡ぐ毎日のような
繰り返し繰り返し
季節と同じように
私もあおあおしてきて
めきめきにょきにょき
新しい私が
生えてきたらいいのに
そうはいかない
それでもじっと ....
こまかくなったからだに紐をつけてつめたい夜へ引きずります
もうすこし(もうすこし)ときこえる 声も引きずって
耳だったところ、爪だったところ、肝臓だったところ
ところどころにみえている
肌 ....
青
僕の青
君は
どこをとっても
なにをたべても
いなくなっても
君は僕の青なんだ
僕の涙を分けよう
僕の青だもの
僕の血を分けよう
僕の青だもの
僕の印 ....
絵本をかくひとの
胸のなかで
小さな女の子と男の子が
住んでいるとおもう
絵本をよんだひとの胸のなかでも
小さな女の子と男の子がうまれてゆくんだとおもう
そして
そのひとがしんで ....
景色が連続して色々になる
意識のある限り続いている
もう見たくないのに寂鬱に目を見開いて
匂いを嗅いでいる
花の匂いに満ちている
警戒区域に広がるかぐわしい匂い
きっと
耐えきれない ....
夏でも冬でも昼飯はこれが良い
薬味ネギに
わさびを効かせた付け汁で泳がせ
一気にすすり込む
が
長く伸びたまま食道を抜けることなど
所詮無理な話 かたまって
食道の途中で速度を緩めた
....
飛ぶ鳥たちは割れた――白い地面に祭りの名残は薄く、
国境にはつがいの宝石が立ち並ぶ、小さな戦士は今日も生を一つ諦めた、
葡萄酒が注がれる橋で君は待っていた――
長く不在だった国で ....
チェルノブイリの廃屋を棲み家としているウサギコウモリは
汚染された虫を食べ続けたため
今日もキラキラと放射線をはなって飛んでいく
立ち入り禁止区域の放置された井戸から自然のサイクルは断ち ....
白い季(とき)の帳は
突然目の前に現れ
薄いスクリーントーンのように
視界を屈折させる
肌に訪れる
乾燥の刺激と
氷点下の憂鬱
眩い雪原の幻惑は
うなだれた首元に
重くのし掛かる ....
アミマは十三歳の少女
人口百人足らずの
山奥の村に住んでいる
学校には行かず
というか学校はなく
日中は家の仕事を手伝ったり
弟や妹の面倒を見て過ごす
楽しみといえば
時折ラマの背に乗 ....
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