18歳の君の春は
新しい生活の始まり
知的障害を持ちながらも
厳しい自立を自ら課し
家族と離れ
グループホームで暮らし
工場で働く
そんな君の切実な悩み
恋
そして
性欲
....
いつかすべての花が閉じるときに
できることならそれは夜明けがいい
未定の連鎖を勝手に感じさせる
できることならそれは夜明けがいい
かすみ草の花束のなかに
....
横浜の姉に電話する。
料理や家事のことでわからないことがあると
姉にきいてみるのだが。
姉もだんだん逝った母に似て
話が長くなってきつつあるようだ。
煮ると焼くしかない僕のレパートリ ....
「かわいい」
保育園の部屋に初めて入った周を
年長の女の子が、迎えてくれた
「じゃあね」
僕と妻はにこやかに手をふって
若い保育士さんに抱っこされたまま
きょとん、とする周をあずけてか ....
嬉しい嬉しいと動き回って 一時逆子になった君
この前2100グラム 少し大きめと
きっと愛情過多ね 今から親馬鹿ね
嬉しい嬉しいと動き回って そんなに嬉しいの?
同じくらい嬉しいよ
....
春という素性の上に
細いすじがねを
うっかり高く伸ばしてしまった
ふたりは
よりかかりあう
その寸前で
定冠詞のような
小さな花を咲かせている
あなたはわたし
わたしはあなた
....
4月25日金曜日 晴れ
最高気温24℃
バスの車内にてブレックファスト
愛と勇気を齧り喰われたアンパンマンの
これからについて妄想する
砂地にのびる
影法師
不機嫌な男みたいに
息苦しくて
湿っぽい
気圧が下がってる
きっと
嵐の前触れだ
....
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都会の一角に寄り添って
おまえは小さき声を上げていた
1月の薄い陽射しを浴びて
身体には輝く黒石の毛皮をまとい
丸まり
鞠のように丸まり ....
鳥が庭の果実をついばみに来た
鳥によって食べ方のリズムが違う
あんなに早く飛べるなら
雨粒も追いかけていける
まあるく逆さに空を映しながら落ちていく
綺麗なものを
風がさらった思い ....
アンパンマンの首から下を食べるのは なし
満員電車に一人で乗る
顔も見ないし見たくない
みんなどくどく動いてる
みんなただの物なんだ
わたしにとってはね
満員になって運ばれる
知らないうちに運ばれる
知らないう ....
一年後に老衰する夫婦が踊る夜の公園。電灯の下。
寝る間に溶けた蝋は熱く、髪を焦がした。
壁に貼られたいかがわしい広告。消えた電話番号。
指先の振動は鍵盤を甘く動かし、ぼやけた声は耳の ....
1
おそらくどの国民でも
国の敵が現れたとき
一つにまとまろうとするであろう
為政者はそれを利用して
敵を作り国家存亡の危機をあおり
同じ方向を向けさせた歴史もある
....
コーヒー豆を煎っている
剥けてくる薄い皮を丁寧に
吹き飛ばしながら煎っている
誰かのためでもなく、自分のためでもない
ただ美味いコーヒーになるように
細心の注意を払っている
窓から ....
甘える
それは奮い立たせる刺激がない、もしくは、そんなもの、要らないから
私は、何かになろうという気持ちがないし、あなたは
病気を治し、社会へ戻ろうという気持ちがない
似たようなふたりが
....
鳩尾を透過していく
風のライオン
たてがみの感触に
背中が粟立つ
睫毛を蹴って逃げ出す
光のインパラ
ボンネットを飛び移る
逃げ足が眩しい
舗道に投げ出された
影のアミメ ....
人はなんでもないような場面を
なぜか覚えているものだ
中学校からの帰り道
乾いたグラウンド
走者のあげる土埃
プールに浮かんだ白いはなびら
すでに樹の指先は新しい葉を生やして
吠える ....
黒いサングラスをかけたカンガルーが、ライフルで狙ってる
その陶器製の、白くなめらかな母韻は、
ゴムのような口唇から何度も、何度も、
繰り返し発射されるから
執拗な子守唄に、もう寝付けない夜の― ....
私の目はどんどん見えなくなっている
ぼんやりと、ゆっくりと、確実に
どんどん見えなくなれば
みなの姿も あの人の顔も
どんな感じなのか 憶測で考えていくだろう
できるだけいい方向へと思う ....
きびだんごで複数年契約
流れてく 菜を冷やした小川の 見えなき終
そんな事を思い出していた この遠い地で
弔いの灯は風に泳ぎ 灰は風に舞う
皆を覆い隠して 空へ
消えた
貴方がくれた 幾千のもの
わたしの ....
ウールのベストは暑いかな,と思いながら
まだ肌寒い春に,詩人の家に行った
その部屋はアトリエのようなコバルトブルーの壁紙が貼られていたので,
アトリエなんだろう,詩人の子供は自由に遊んでいるし, ....
田に水を張ると
一面が鏡になる
田植え前の一瞬
薄い空を映して
今年はどんな年かと
思案している
今年はどんな稲にしようかと
話し合っている
近くの葉桜が
....
水は、万象の旅人
生き物の身体は
彼等の泊まる、仮の宿
水よ
お前が
笑いさざめくのは
春の林床に降り注ぎ
小川を結び、走るとき
お前が
咳き込み ....
舟から生える樹
川岸の影
海を描く霧
器の水に
沈む糸くず
雪が雪を追い抜いて
土や花を振り返る
土にも花にも
雪は見えない
酒に勝つ甘味が見つからず ....
奪われた事を知った夜は、窓辺に腰掛けて月を見ていた。
初めての恋で僕は嫉妬を覚えた。
奪っていったのは僕の親友だった。
よくある事だよ、と笑った月が恨めしかった。
何も知らなかったのは ....
水彩の草原に僕はひとり仰向けで、
空をゆく雲を見ている。
淡い太陽の光を縫うような、
ぼやける事のない雲の輪郭を僕は指でなぞった。
寂しくなんてなかった。
なんとなくの不安を誰かに知 ....
(一行詩集/ ハァモニィベル「一行の夢」 )
【一行*夢】
*
一行の人生が、いま、谷底へ向かって続いている。突然、愛という文字が、両 ....
一
貴女にだけ焦点があたり
貴女をひきたてるためだけに
周りはほのかな額縁になって
動く絵画が私を石にする
二
机の隙間は敵地の運河
岸の高台には王女の横顔
幾多の ....
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