高潮がとどかない
岸の家
朝霧につつまれて
素描のようにかすれている

ざわめきがとどかない
途切れた鉄路、廃石の丘
みすてられた彼岸に
まぼろしめいて建って

此岸の水面のかがや ....
空の青さが濃くなる日
木の葉も緑を濃くしていた

さくらこぶしりらこでまりなど白っぽい花が終わり

赤いサルビアが揺れる頃

濃い血の色をしたワインを飲み干し
ラベンダーの香りが漂う
 ....
   1

水のせせらぎのかぼそく落ちてゆく音の
さらさらとそよぐ 細い川が立っている
あるいは川面に映る 黒髪のなびく樹木の体幹
水面を揺らす風の冷ややかさでつるりと象られた
細ながい球 ....
「母」


「家庭に光を灯して共に」
煽り文句は便利なコトバ
その言葉をバーゲンセールで買った母

巨大な塔を一つ、造ってみないか、と
安請け合いした黒い声が
赤く点り、 ....
どれでもないどれか
力を振り絞って目を開き
真ん前にある一点
それを凝視することに
価値を見出した
私はあなたでもある

目を開く
網膜に何が映っているのか
それは重要ではない
そ ....
いったいこの夜の誰が
朝をつれてこられるだろう
あんなに熱い背中をして
泳ぐみたいに生きたのに

6月のくまみたいに不機嫌になって
木の実や空洞をぱりぱりかじりながら
いくらでも理不 ....
いつか死の床で吹く風は、さらさらとして
すべての記憶をさらうでしょう
むせびないたかなしみは
いずれ天にのぼって雲になり雨とふる

信じているうちは遠ざかるものは
なにもおもわなくなるとき ....
山歩きが大好きだと君は言う
途中で鼻をかみたくなる程に
激しい花粉症を煩い続けても
登り続けるのが正義なのだと

中腹まで上り詰めたところで
一息いれようと振り返ったら
太い幹に揺れ ....
やわらいでしまった月に陽に
にらみを利かせ
君は
まぶたを邪険にして
六月の木陰をおよぐ生きもの
とほうもない
そらに皮膚をしのばせては
あまつぶそぼり、濡れ
ぬれ

いろどりを欠 ....
眠っている街のせほねをなぜていった
風をみていた
髪の毛の先
産まれたての星をやどした
ひとみにも
ひとしく均された夜が降りてきた


つま先立ちの白線に血がかよう
弾性を綴じたアス ....
静けさという音が
降ってきて
{引用=それは
大人に盛られた
眠り薬}
影という影が
今という現実の
いたづらな写し絵になる


いつまでも暮れてゆかない夜があった
小さな公 ....
「くわいえっと ていくおふ」
                

手の届く角度の間に開いた対称線の。
空を見ながらゆっくりとおちていくはずのモーションで。
私は空間に静止したまま、円 ....
昔から奇跡は実在していて

いまも目の前に当たり前のように続いている

だからここにいると

奇跡は懐かしい顔をして在る


私は慌てて感じとる

それを真剣白刃でかき集める
 ....
言葉でも
抱擁でも 違わなかった
はず

薔薇に囲まれた
木製のベンチでも
暖炉の前の 刺繍の施された
英国製のクッションでも
違いはなかった
はず


禁断の欲情を交わすには ....
黒猫の目玉の中に白い顔が写る
赤い唇が漂う
それが写真の中の全てで
僕はソファに寝そべっているのだが
何だかそわそわしてしまう

強い陽光に子供達の日焼けが生える
ビニールの水泳バッグと ....
 山の麓の小さな村に今年も初夏がやってくる。
 黄昏時の老人が野菜を背中にしょっている。
 雁の群れが西の空に飛んでゆくのを目で追うと、
 彼方の空には一番星が瞬いている。

 憧れの初 ....
制御のない朝の起動
太陽はいつまでも膨らみ
乱雑な鳥の鳴き声に光は拡散していく
二つの皿の擦れる音が
寝ぼけ眼の時間を砕き割り
名のない闘牛を歓声の輪の中に運ぶ

朝はこうして夜 ....
梅雨になって
雨がすきな
人もきっと
そばにたくさんいるだろうけど

いまは
青い空がすき
心が浮かび流れていきそうな
どこまでもファルセットが続きそうな


目を閉じて ....
毎日ダンプが多く通行するため
国道6号線には亀裂を修復した痕が無数にある
堤防を作る工事や道路を作る工事
ほ場を整備する工事や水路を整備する工事
至る所で重機が働き
朝早くから除染作 ....



骨のかけら
唇に
あてがい


言葉は
君の髄まで
浸る


解釈は数え切れない
指をさしむけて
分割できぬまま日常を配置する


夜は
数え切れない
 ....
二つに分かれた道の
内側を 歩いている

外側は 危険だ
あちら側は 強い者の通る場所だ
そう 教えられた

子供よりは 大人
女性よりは 男性
道幅が どんなに狭くっても
弱 ....
古い写真のおじさんは
口をへの字に曲げて
堂々と背筋を伸ばす。

綺麗に整えた軍服の襟元は
これから死に行く運命でさえも
「私の誇りだ。」と
言っているかのようだ。

行ってらっしゃ ....
血の滲んだ跡が
愛おしくて
頬に押し当てたまま
夜が明けるまで
このままでいよう

舐めるでもなく
拭うでもなく
頬ずりして
頬ずりして
一晩を明かす

なんでもない
大した ....
流しのしたの夕日、敷き布団のしめり
はたはたと風をはらんだシーツが
あおぐろい空を抱いている
はじめの雨粒をうけて濡れている
芍薬のはなびらの萎れ

みどりは濃く
吹き荒ぶだけの夜に
 ....
腹立ちまぎれに
太陽に目がけて投げ入れた叫びは
放物線をかいてじゅっと蒸発し
陽と一緒に水平線に飲まれて消えていく

海辺の彼女は
「だからいったのに」というそぶりを見せ
つまらないもの ....
 揺れる心を歌うには夜がいい。
 闇鳥のハミングなど求めはしないが、
 自分の影法師が闇に沈む時
 初めて人は自分探しの旅に出る。

 色々な人や物に出会う旅。
 惑いの日々はやがて過 ....
乾いた滴の跡が幾つも
木板の上につづいている
溝の流れから逃れた子蜘蛛が
葉に残る滴を見つめている


遅れてばかりの日時計に
忘れた夢がよみがえる
水彩の音
水彩の ....
踊りを踊るには
こうするんだよ
といって
知らない男が窓から入ってくる
ひょろ長い腕が床にまで垂れ下がって
体がやけに白くすべっこい
黒い薄衣のようなものを羽織っていて
その下はまったく ....
自転車はよけなかったが
携帯電話はよけた
モーツアルトのピアノソナタは
K.(ケッヒェル番号)310と330で
イヤフォンで聞いて居るうちに
幼稚なところにたどり着いた
途中会計事務所が角 ....
僕たちは
宇宙にうかぶちっちゃいぱいの
トッピングなんだろうか

僕たちは
寄せ木細工で設えられた社会という
調度の構成要素にすぎなくて

いつも忙しくて小さな不満に支配される王国の
 ....
ただのみきやさんのおすすめリスト(14283)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
岸の家- jin自由詩317-6-16
少しずつけれど確実に- Lucy自由詩7*17-6-16
ダフネー- 本田憲嵩自由詩717-6-16
小詩__二篇- 為平 澪自由詩317-6-15
凝視- 小川麻由 ...自由詩2*17-6-15
6月のくま- はるな自由詩817-6-15
さいごはしとしとと雨- 田中修子自由詩8*17-6-14
ちり紙絡まる- 藤鈴呼自由詩2*17-6-14
みなつきははいいろの君- むぎのよ ...自由詩417-6-14
繭町- むぎのよ ...自由詩1317-6-13
きつねつき- そらの珊 ...自由詩18*17-6-12
くわいえっと_ていくおふ- 戌丸 ぜ ...自由詩217-6-12
奇跡- 吉岡ペペ ...自由詩417-6-12
和音- Lucy自由詩5*17-6-11
basement- opus自由詩217-6-10
初夏に。- ヒヤシン ...自由詩6*17-6-10
朝と夜- 乱太郎自由詩13*17-6-9
タペストリー- 唐草フウ自由詩8*17-6-9
傷ついた土地で- 葉leaf自由詩317-6-9
黙唱- ハァモニ ...自由詩2*17-6-8
冬のジュゴン- 藤鈴呼自由詩2*17-6-7
そこにある日常- 梓ゆい自由詩217-6-7
血一滴- 坂本瞳子自由詩7*17-6-6
みずの器- むぎのよ ...自由詩517-6-4
波打ち際の彼女- 這 いず ...自由詩717-6-3
ジンジャーエールを飲みながら。- ヒヤシン ...自由詩5*17-6-3
双つの色- 木立 悟自由詩517-6-2
踊りを踊るには- 春日線香自由詩317-6-2
夾竹桃- 間村長自由詩11*17-5-31
alien- 梅昆布茶自由詩13*17-5-31

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