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八月に入って
夏の子が孵化した
春の子はカラスにやられて
しばらく空き家になっていたキジバトの巣
避暑に出かけたカラスがいない間に
夏の子はすくすくと育った
キジバトの巣は我が家のケヤキの ....
十二月、空はひくい。
落ち葉の季節も過ぎた。
竹箒を立てたようなケヤキの並木がつづく国道。
鳥の巣が傾いたまま、
ケヤキの梢にひっかかっている。
いつ落ちてもふしぎではない、そんな気がする。 ....
次郎さんの家は、火の山峠へとつづく
坂道の途中にあって、そのちいさな車
は、登るときも下るときも、まるで不
機嫌な家畜のように、激しく四肢を踏
み鳴らすのだった。
直径八キロ余りの島の真ん中 ....
ベランダを覆いつくすケヤキの枝に
キジバトの巣がある
朝六時
キジバトの鳴き声で眼が醒める

ジュウイチジニキテクダサイ
ジュウイチジニキテクダサイ

十一時に?
どこへ?

夢 ....
知的だね、と呼ばれてみたい宇宙人明日来るかもBOSS買いに

母ひとり、具だくさん

猫の手の嘘つき

周りますとも公転周期二万年意固地すぎますプラネットナイン

破瓜を超えても月ひと ....
藁葺きの小屋であれ
コンクリートのビルであれ
その四隅にはたぶん、
柱がある
その柱の向こうは、果てがなくて
やがてどこまでも丸い大地を離れ、成層圏をぬけだして
宇宙という名の空間をゆくこ ....
落ちては掃く
落ち葉の

落としては掃く
落ち葉の
だれでもない
わたし

日暮れの
空の
落とされては掃く
落ち葉の

だれでもない
わたし

だれかが
どこかで
 ....
 パソコンがなかったら仕事ができない。
 年金詩人のわたしは今日もパソコンと睨めっこしている。正確にはマイクロソフトワードがなかったらということになる。その理由は文字を書く労力が半減することで、文章 ....
臨界に旅立った母は、すこし痩せたみたいだ

もう、帰りたい。という
ここには団欒がない。という

距てるものは何もないのに
働きすぎたのだろうか
午後十時二分の、電動歯ブラシは
 ....
地下二階で 小説を書いている
と、謂ったのは誰だったかしら すっかり忘れてしまった

ね、詩人はどこで詩を書くの?
地上?
地下?
雲の上?
あ、そうだ 地の底かしら

小説と謂えど ....
六月の雨が
育ち盛りのスイカをいたずらに誘う
でも、今年の梅雨は少々しつこくて
早くも冷夏の予感がした
ナスビもトウモロコシも痩せたまま太らない

繁茂するのはスイカのツルと葉っぱばかり
 ....
見えなくなった
何もかも
熱帯雨のような景色のなかを
蚊が飛んでいる
飛蚊症なんだって

読めない
書けない
意識がまとまらない

網膜はく離の前兆とかもあるんだって
頭痛、嘔吐 ....
 ポケットは好きだ。
 もし、この世界からポケットがなくなったら、ぼくはきっと、お猿さんになっちゃうだろう。いちばん好きなポケットはダウンジャケットなんかについてる、ハンドウォームポケットっていうや ....
半導体に埋め尽くされた街角は、
青白く発光する。

イルミネーションの木立ち。

凍てついた夜空を飾る、
あの星たちが青いのもLEDなのか。

光の速さは毎秒三〇万キロ。
一秒で地球 ....
陽が沈むころ
コウノトリのコウちゃんは鉄塔に帰ってくる

ねぇ、コウちゃんいてないわ……。
洗濯物を抱えて二階から降りてきた妻がいう
鉄塔のてっぺんで夜をすごすコウちゃんは、まだ三才
個体 ....
七月の波止で
新月のような魚を釣るひとたち
豆アジの季節だ
いつ
どこで
魚のかたちに孵化したのか
釣り人はそれを知らない
月のように丸くなるは秋のおわり
一掴みのアジになる

今 ....
わたい、もやしはきらいや。

病室のベッドのうえで
母がぽつりと言う

六十年も付き合ってきて
母の好き嫌いをひとつも知らなかった
そんな息子だ

お父ちゃんがな、腹切ったときに出て ....
 瞳


二月の白い雨の中
何もかもが凍りついた冬日
畦の匂いさへ凍りついたまま
も吉は冷たい闇の中で
いつもの道を見失ってしまった
今日はどうしても
まっすぐ歩けない

も吉を ....
 絵ハガキ


古びたペアリフトが、白く耀く斜面と雲ひとつな
い青空の隙間を、カタコトと、揺れながら私を山
頂へと運んでゆく。飽き飽きとした水平線上の生
活を忘れ、雪の斜面を滑り落ちること ....
いつの日も
夕日は、約束に似ている

すっかり、
日が落ちるまで
果たせなかった約束をかぞえては
また、
あしたに賭ける

ぽつりと、残された
オレンジの雲は
あしたへとつづく
 ....
五時間半のパートも毎日つづくと
腕も、足も、腰も痛くなって
お風呂上がりにはからだじゅうに 
星を貼って、寝ます
星は、
ツボとよばれるからだの黒点に貼るから
いくつか貼ると
わたしのか ....
ひとはまっすぐ生きられない
かならず、曲がり角はやってくる
見覚えのない交差点はこわい
視界の閉ざされた曲がり角は、もっとこわい

たとえば
人生がなくても小説は書けるという
それは ....
 ブランコ


息を吸って
息を吐いて
息を吸って
息を吐く
いつも意識の片隅で
緊張している
生きるために

前脚を出して
後ろ足を出して
前脚を出して
後ろ足を出す
 ....
茄子紺に染めてあなたのまわしなら俵踏みしめ恋尽きるまで

長茄子の紫の花何気なく紫紺に染める我が実知ってか

茄子は「成す」花の数だけ実をつけてしあわせになる畦のあなたと

足りないのあな ....
ひもじいといって、啼く蝉はいない

白亜紀の時代から
ひとはひもじい生きものだったという
そのひもじさに耐えて、恐竜から逃れて
生き延びることのできる生きものだったという

生きて
生 ....
葉月の昼下がりのどうしようもなくもてあました窓の
したで、たったいま、わたしにできることをすべて思
い浮かべてみても、ただ、雨の日の猫のように四つ足
を投げだして眠ることしかできなかった。
 ....
 田んぼ


乾いた田んぼに水が入って
追いつけないままに去っていった
春の詩をようやく諦める

花菖蒲は元気に咲いている
紫陽花もゆっくり色づいてゆく
発芽した朝顔は満員電車みたい ....
 生きる


乾いた空の木の枝は
去年と同じ姿をしている
彼らは信じて疑わない
この冬が
やがて春になることを

人はどうして姿かたちを変えるのだろうか
老いることは人も木も同じは ....
親はいないのか
捨てられたのか
たかいのか
ふかいのか
風がきつい
まぶしい
今日の空
ひとのかたちで
風に捨てられて
おまえは
なんていう名の雲か
太郎か、次郎か
花子か、雪 ....
 も吉と歩く


何もない冬の午後
も吉と歩く
はたちの頃 一年ほど日記をつけた
何も残せず ただ消えてゆく日々が
とてもこわかった
時間はたっぷりあったのに

いつもの散歩道
 ....
ただのみきやさんのたまさんおすすめリスト(39)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
朝の日記_2017夏- たま自由詩15*17-9-14
ことばを灯す- たま自由詩22*16-12-11
火の山峠_2016- たま自由詩10*16-9-11
七月の忘れ物- たま自由詩16*16-7-24
第九惑星_2016- たま自由詩17+*16-2-25
宇々のひと- たま自由詩13*16-2-17
オルガン- たま自由詩1515-12-8
(ゐ)のひと- たま散文(批評 ...13*15-11-29
もんじゅ- たま自由詩15*15-11-21
山田さん- たま自由詩18*15-10-19
朝の日記_2015夏- たま自由詩21*15-9-5
計器飛行- たま自由詩14*15-3-5
ポケットのひと- たま散文(批評 ...16*15-2-16
冬の半導体- たま自由詩22*15-1-2
朝の日記_2014夏- たま自由詩17*14-11-19
文月の詩- たま自由詩14*14-7-3
もやし炒め- たま自由詩31+*14-3-21
北の亡者/Again_2014如月〜皐月- たま自由詩25*14-2-27
北の亡者/Again_2014睦月- たま自由詩24*14-1-13
終の日- たま自由詩25*13-12-31
星座- たま自由詩35*13-11-28
曲がり角のひと- たま自由詩25*13-11-14
北の亡者/Again_2013神無月- たま自由詩33*13-10-23
茄子紺のひと- たま短歌26*13-9-6
朝の日記_2013夏- たま自由詩34*13-8-25
雨の日の猫は眠りたい_2013- たま自由詩29*13-8-1
北の亡者/Again_2013皐月- たま自由詩35*13-5-14
北の亡者/Again_2013如月- たま自由詩29*13-3-4
雲の子- たま自由詩40*13-2-24
北の亡者/Again_2012霜月- たま自由詩33*12-11-29

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