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  風景が振りむいた
  きりきりと ただ一度だけ
  冬の 椀の 上

  木立があった
  冷えた池も あった
  あなたが いなかった

  振りむいた
  震えた 溢れた ....
 亡者に似て言葉たちは
 あおい廊下を徘徊している
 床に雲までもが
 映り 流れていくから
 滑りやすい 廊下
 世界が 大きな空洞なので
 水平線が見えた
 海が見えた

 白い 掻き傷が あるのか無いのか
 どうしようもなく なにもかもが
 影

 倦み果てた貌で
 あなたは 眼に映る ....
 無害なことばかり話す有害な人
 舌先から 論理が涎のように垂れて
 皺くちゃのスーツに染みをつくる

 キミに足りないのは嫉妬心だよ
 そう言われた 丸ノ内線の車内で
 他人か知り合 ....
  日の光の血痕
  かさなった眼が ここにない
  熱い空 道すじをかすれて
  私たちの歌は時間の
  壁の裏におちた
  通り過ぎて
  あなたの胸に
  影になってから
  はじめて言葉がきらめいた
  海老蔓の秋 はじめから 記憶の形をして
  あらい浪が
  きみの肌のどこかで
  弔われている 私たちは
  擁きあえる 芒の原にこぼれる
  月影に這わせた 指のふしの奥で
  くろい函に
  颱風がつまっている
  ガラス製の 記憶より小さな、
  そのよるがふるえるのをわかると
  これは宝ものなのかもしれないとおもう
  血液の、くろい川の
   ....
  順々に
  液状の名詞が
  格子に垂れてしたたる
  世界のおおよその大きさが
  張られている 複数の 頭蓋
  額縁にぶつかり 欠けてしまった
  顔のような 意味

 ....
  見えないが それは
  熱の蛇が 這っているのだ
  かんぜんな 石を湿らせ
  なにもかもが黙る

  
  熱の蛇が
  這っていくのが見えない
  街はいつも 叫んで ....
  女……
  充溢する
  欺きの、
  夢、
  箇条書きの
  ……沈丁花……
  木造家屋の
  窓に、夜 雨がふるえる
  ながい髪に指を とおしていると
  君はいつか居なくなるってことがわかる
  蛇口から冷たい 水がおちてくるから
  いつまでも 僕は ....
  羊羹を冷したような
  ピアノの音
  しかくい木箱が
  引きずって くる


   指 ゆび  指  ゆび ゆび
      指 指 指 指 ゆび  指 指
    指 ....
  海綿じょうに
  たわんだ 個室たちが
  アメジストの夜におぼれた

  櫂は
  まっぷたつに折れて
  歌うだけになった……舟
  ことばではないわたしたちと
  わ ....
{引用=  ビニル箱がバイオレットに並び・はや私は夜に気づく
  (高円寺南三丁目の夜)
   バイオレットにビニル箱が廻り・はや私は夜に気づく
   (水晶体の所有する夜)
    ビニル箱 ....
  脳内で柿の実など解れた
  歩道橋に立って私たちは
  水を飲み 青い街の影を観る
  幾つもの眼から切除された
  さびしい視覚をもちいて
  黒いきみの髪がひかって
  何も云えなくなるのは良い
  全部云ってしまっても良い
  くちびるがはずむ桃いろの夢

  剥いたばかりの林檎のように
  とても素敵な匂いのする ....
  よごれた犬が
  私たちをみているのは寂しい
  傷ついた脚を引き摺るようにして

  暗く 穏やかな穴にひそむ
  獣のかたちをした闇におびえる
  あなたの瞳に濁るあどけな ....
  時折、ひとの心から
  とおく離れてわたしは
  砂利道に迷い出たとかげになる
  枯れ葉の屑どもに隠された光の粒が
  もっと大きな金色の光に攫われていくのを
  わたしは見る ....
  あなたを思うと、
  わたしの心に幾つもの
  穏やかな図形が描かれる
  熱い珈琲をかきまぜながら
  窓の向うの樹をあなたは見ている
  たぶん、世界じゅうのすべてのものが
 ....
  仔犬の映像が 午後になると
  卓上に置いた梨のまわりを駆け始めた
  おもてでは雪がもそもそ愚かさのように降って
  わたしの居る部屋に面白味のない光を積もらせる
  次第に岩石 ....
  悲しい鍋は 空間のなかで軽く
  あまりに軽く 見つめているのも辛い
  ザラメじみた虚しさがいっぱい光に揺れて

  私は考え・手離し・ひろい集め・擲ち、
  気狂いになった… ....
  歌をたたむ。{ルビ耳輪=じりん}がひとつ、
  骨いろの水面をもがいて、
  ひしゃげた三日月になりそうな夜
  まだ多すぎた言葉を忙しく折りたたむ
  明日の晩 静けさのおもてに ....
  観念の{ルビ和毛=にこげ}に
  赤茶けた歯がからまり
  ベンジーの六弦が息をすう


  焼け落ちた橋 夏の昼時
  あなたの胸の中の海で
  丸い椅子が倒れた
  ことばを
  きみから聞けなかったから
  ぼくには できなかった


  歌をうたうことも
  祈りをいのることも
  思い出を忘れないことも


  光と影が
  ....
  栗色のながい弧が
  私たちの耳にふれてから
  鱗雲の向うへ塗れていった


  秋の街をならんで歩く
  ふたり 着古した服を着
  透明な壁の群をすりぬけていく

 ....
  午後の壁で
  冷たい粉を拭う
  わたしではなく、
  あなただけが白い
  子供になっていく海
  無色透明な硬いさそりのようだ
  一回きりの
  嚏
  右腕や左腕やどちらでもない腕などがそこに浮かび、
  かえってきたのか向かっていくのか全然わからないが
  アルミ製のサッシ越しに月面の色でくりかえされている
  気は確かだ気は確か ....
  なにかに似たなにかが
  わたしの緑色を這って{ルビ滑=ぬめ}る
  朝陽も入り込めない太い闇を
  しずくのような眠りが円く湿らす

  
  葡萄味で棒状の鬱
  なにか ....
  見えつつ
  あるものの内壁へ
  つたう光へ、冷えた天使をみつめていた
  腫れ房を成す、{ルビ硝子景=ガラスけい}の、あなたがたの
  優しさから眼をそむけた
  見えつつ  ....
ただのみきやさんの草野春心さんおすすめリスト(272)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ラザロ(2025.01.16)- 草野春心自由詩425-1-21
亡者(2024.11.30)- 草野春心自由詩425-1-10
倦み果てた貌(2024.11.28)- 草野春心自由詩5*24-12-15
涎(2024.10.31)- 草野春心自由詩424-11-25
lensflare- 草野春心自由詩723-10-30
海老蔓- 草野春心自由詩9*23-10-1
肌_芒の原- 草野春心自由詩422-8-14
颱風- 草野春心自由詩822-2-15
格子- 草野春心自由詩521-9-16
- 草野春心自由詩621-3-7
沈丁花- 草野春心自由詩218-2-24
愛の夢- 草野春心自由詩418-2-11
霊柩車- 草野春心自由詩317-10-29
個室たち- 草野春心自由詩217-10-8
夕方、きみをみつめるとき- 草野春心自由詩217-6-17
観る- 草野春心自由詩217-3-12
林檎- 草野春心自由詩517-1-8
桜並木- 草野春心自由詩416-12-13
砂利道- 草野春心自由詩316-12-6
穏やかな図形- 草野春心自由詩8*16-12-3
果皮- 草野春心自由詩516-11-26
悲しい鍋- 草野春心自由詩316-11-26
耳輪- 草野春心自由詩4*16-11-22
和毛- 草野春心自由詩416-10-13
ことば- 草野春心自由詩216-10-12
栗色の弧- 草野春心自由詩316-9-25
- 草野春心自由詩3*16-7-16
多い腕- 草野春心自由詩3*16-6-9
- 草野春心自由詩216-6-9
冷えた天使/見えつつあるものの内壁へつたう光- 草野春心自由詩716-6-4

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