星がみえぬと
嘆くのならば
夜ごとまぶたを
くちびるで塞ぐ
それは塩辛く
わたしは夜に
海をみる
....
ながい歌のあとに
みじかい言葉があった
冬の夜の
ひろい海のまえで
そこらに捨ててきた
古い自転車のことも忘れて
ぼくたちは手をつなぎあった
なが ....
熱
雪の降らない土地に居て
テレビの冬を見ていると
ストーブの温かさも手伝って
たいそう眠くなる
目の前ではアナウンサーや住民が
寒そうに寒そうにしているの ....
歯の神経を抜いても
たまに何日間か痛みがある事があるという
神経は抜いたのに
それは痛みの記憶
抜いた神経の周りの神経が痛みを覚えていて
少しの間痛みを訴え続けるのだという
神経は ....
キッチンなどとハイカラにいわず
おいらはお勝手というほうが
なんとなくピンとくるなぁ
明治のおふくろさんの匂いが ただよってきて
リビングなどと気取っていわず
....
浅黒い皮膚の色 その足
足首に 色褪せた鈴つけて 何を呼び出すの
貴女がコマ送りで踊れば 揺るがす影響
ブレイズが時をかける様に弾む 弾力に緩めた苦しみを放ち
瞳の縁に貴女だけの境界線 ....
それは ふいにこみあげてきて
鳴り響く 主旋律となることはなく
深く沈み
日常の底に
寄り添うように流れて
かすかな音色をも
ひきたてる
だから
哀しみを抱いて生き続けることを
....
年に一度お楽しみ
村の外れの野っ原に
大きなテントが出現し、
チンドン屋が触れ回る
さぁさサーカスが始まるよぅ
このサーカスは面白いよぅ
そこいらのサーカスとはチと違う
空中ブラ ....
耳をすますと
遠くで 風が吠えている
近くで 何かきしんでいる
屋根
つらら
わたくしの骨
あおい湖の底に
沈んでいる蝋のような少女に
今夜も会いに行く
半透明の
永遠の
生 ....
いいよ
わからないでいてあげる
まつ毛の角度や
飲み干されなかったコーヒー
長いまま燃えつきる煙草
いつもと違う靴
あたらしいゲーム
みたいに
わからないでいてあげるよ
....
音楽用語だろうが
ゆるさとかのんびりとといった意味らしい
わざとリズムをはずすこと
あえてちょっと遅れる
もたもたでもないしとんがり過ぎもしない
ドラムの神様とと言われるスティー ....
日々を
いいかんじでこわしていく
もとから顔なんて無かったような場所で
もう
からだでなんかいたくない
意味となって
更新されていく
「でこぼこの部分」
を
何度もなでながら ....
故郷遠く背にすれば
曇天に霞みゆくは青く長い山の尾根
道に続くすすきがどこにでもいる老人のように
私にその淋しい手をふるのだ
通夜の日の廊下は疲れ果てたように行き止まり
昼なのに暗闇 ....
朝
お玉におかゆが残ってて
夕べ
ゆきひらでほとほと煮ました
温かいものが食べたくて
お米しかなくて
夕べ
お米を見ました
白くてひかっていて
さらさら洗うとすきとおる ....
お月さんが真上にいたら
あたしはもう逃げらんない
持ってる紙コーヒーの中にだって
はいってくるんだもの
白状するとしんどいわ
だけどまいったな
欠けながらだって
びかびかしてる
....
ギュッと閉じた
眼の奥の熱
ジワジワと
脳裡に浸みゆく
からだの寒さを
毛布でくるみ
落ちてきそうな
天井を見つめる
六十兆個の細胞を
生かすも
殺すも
....
(以下英語で)
「カスタマー・サービスです」
「あの、レ・ミゼラブルの上映スケジュールを知りたいのですけど…」
「それでしたらウェブサイトで調べて下さい」
「さっき調べたのですが、 ....
大根は嫌いだと言う言葉が冬休みの合言葉だった
小高い丘が連なる様な古墳群の一角に施設はある
お世辞にも広いとは言えない畑の早朝は
しもやけやあかぎれの手指足指をからかって
まる ....
今 この時に
私はあなたと同じ日暮れを
病んでいる
今 この時に
私はあなたと同じ孤独を
呼吸している
そしてもう二度と会うことはないあなたと
今まででいちばん
近いと感じてい ....
赤いウミウシの模様であった
デパートの包装紙
それで母はちゃっちゃかと洋服の型紙を作る
かつて何かを包んだものの匂いがしていた
ヒトガタに切った人形が
夢のなかでトモダチになるように
....
北海道にいったら鈴蘭に会っておいでなさい
寒い寒い大地から葉をのばして
日なたにも日陰にも茎をのばし
鈴のように5、6こ
並んで総状の花をつけた
それは、風車のような晩春の香よ
北海道 ....
ふと雑誌の広告を見て
コーセーという化粧品会社の存在を忘れていた自分に
ちょっと驚く
長らくpdc(ポーラデイリーコスメ)を使って来たからか
いずれ価格帯のせいだろう
ドラッグストアやスーパ ....
直ぐに裏返るその舌はダメ
不安?
反発ばかりしていて
慣れていない発音の不自然さは
個人授業してあげるから
お仕事はちゃんとやってね
....
そうよ歩いて行って
分かれ道は両手を広げて ますっぐ渡ればいい
イメージの運命を耕しながら 開拓を営め
そうよ歩いて行くの
重力は あと100億年は繋いでくれるイメージだから
そうよ歩い ....
花に埋もれる花
葉も茎もなく
埋もれあう花
冬の陽の話し声
光を隠し
歩みを隠す
....
机の胎から生まれ
引き出しの乳房を吸い
椅子の胸に眠る赤子
目覚めるたびに
人になってゆく
....
私は詩を書き続ける
それが私を救わないとしても
詩を書くことは
自傷行為に似ている
自ら傷を創ることで
ほかの傷の痛みをやわらげる
詩は生まれるものだからしょうがない
私は詩を書き続ける ....
商工会館が閉鎖された街に
バナナ売りの声が響く
ゼラチン質の船に乗って
目の見えなくなった犬は
遥か遠洋へと向かう
たて笛の隣にある空き地に
僕と彼女は小さな家を建てた
悲しみ、とい ....
愛することができたものと
愛せなかったものを
苔色の水面に
あなたが浮かべる
夕暮れはしだいに
薄くひろくのびてゆく
冬空を流れている、 ....
寒さは形なく人に触れ、
冷気を感じ身体は縮こまる。
木々は緑を取り外している。
唇から漏れるふんわりとした白は吐息。
生きにくい季節なのに、
たくさんの命が眠る季節だというのに。
....
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