硝子の割れる音がした
誰かのこころまで押し入りそうな路線図を
複雑な顔をして見ている
ほっと息を吐いて本を閉じるその仕草が大好きで
マグカップの上の蜃気楼から
図書館まで続く遠い ....
神が自然を造る時のように
詩人は芸術作品を造るべきである
彼の目にはもはや覆われているものは何一つなく
彼自身の力によって、悪も善も全て
作品を形作る為の一つの形象 ....
昨年末開業いたしました「雀のお宿」 過日、一組のお客様が賑々しくご出
立されて以来、お声を掛けてくださる影も、お立ち寄りくださる方も見かけま
せん。昔のように、近所を徘徊なさる群雀さまの賑や ....
白鳥はうつくしい
あなたの細い両の腕は、きょうも
わたしの首をきりきりと締めつけていた
あなたの長い髪の毛は
あなたの言葉に似ていない
みじかくけ ....
爆発するそら
踊る松の木
発作に狂った白い雲
透徹する骨
閃光
あけっぴろげな死体
ダイナマイトが原因で
死んだ人間が
何人いるのか知らねえけどよ
そんなもん貰ったぐらいで
偉そうに意見してんじゃねえぞ!
所詮どっかにある事実を
たまたま一番最初に見つけただけだろうが
....
愛しているといった
あなたの名前をしらない
いったこともない外国の街の名を知っている
冬は雨ばかり降るということも
あなたがそこでどんなふうに目を細めるかも
嘘をつかないあなたが ....
伝子組み替えでない奥さまがいる
いろいろあって
はてをみて
まばたく ゆめに
なみだして
しらぬ せかいで
すってみて
うその かがみに
よってみて
とかいの とりを
おってみて
すっかりあきも
ふかまって
....
新しい家が建つ
白い壁の真新しい
まだ誰のにおいも
染み付いていない
新しい家が建つ
そこに小鳥が住むとして
わたしは祝いに何を贈るだろう
わたしは熱い熱い珈琲を飲む
冷えた体 ....
ただの壁だと思っていた面に
白い花が
ちらほらと咲き始めた
家と道
内と外
隣人と自分
向こうとこちら
静けさと騒音
過ぎ去った時間とやってくる時間
何かと何かを隔てるための境目 ....
「高く 飛んでいる 者よ」
その息を耐え 焔の先に何を見たか
翔んで行く音 携え 心に想う花
結びの先 拓けて行く道 渡る舟の上
ここからでは見えないものを 眺める二つ眼差し
飛 ....
わたしが歳をとる
髪は白く
乾いた肌には
無数の皺
あなたが歳をとる
....
夢の中に突然現れた君は、まるで僕の古くからの親友のようだった。
君はピアノの前に座り、こんな曲が出来たんだ、と僕に教えてくれた。
僕は君の口ずさむその曲にいつしかハミングしていた。
それはな ....
それが彼らの云う正気ならば
私は優雅な狂気を纏って踊りつづけよう
それが彼らの云う現実ならば
私は優雅な夢に包まれて眠りつづけよう
考えない葦の
川岸に
シグナルが、シグナルに寄りそって果てている
/
敵意がないことが
わかる
横隔膜のへん
まず、そのようにして針をふるわせる
さびついた小 ....
累々と積み上げられた本の中から
のぞく黒い眼 踊りだし
蟲のように 這いまわる
文字を追うゆび
むしゃむしゃと 妖しく
漢字を アルファベトを
食べまわり
くしゃみをする
すると、
....
霧を晴らして孤独であった
胸騒ぎが止まらない
風が新しく吹き抜けて
記憶のような高鳴りが
ページをめくり直す
すべての経験が意味のあるものならば
花は健やかに嫉妬や中和された日々をかき混ぜていく
水の流れる ....
人には身体があって
それを包む心があって
更には世界がそれを包み込み
玉ねぎのように、
剥いても、剥いても
涙しか出てこない
私たちは
芯なのか
それとも ....
夜が朝日に殺されていく
彼女は悲しさを手放したりしない
夜が終わって朝がくることを
毎朝しっかりと悲しむのだ
彼女は毛布にくるまって
テレビの天気予報を見ている
(きょうはおひるま ....
もう一度
肩車したい
もう一度
自転車の乗り方を教えたい
もう一度
いっしょに大玉転がししたい
大人になってゆく
我が子との距離が
私の愛を
無償から
有償に変えてゆく ....
車の前を
カラスとっとっとと横切る十二月
二本足で
黒い姿がひかってる
そのもっと後ろ
まっかな山
急いでいるのは私だけかな午後
カラスの地についた二本の足が
私の目をもってっ ....
「すみません。おひとりさま1パックまでなんです。」
その日
特売の卵を2パック
かごに入れていた老人は
無情なレジ係にそう言われ
1パック取り上げられていた
解けかけた雪が
昨夜 ....
仕事柄
保育園や老人介護施設を訪れる
人生の入り口と出口
もちろん私は後者にちかいあたりを走っているのだろう
少々息を切らしながらも
保育園児に捕まるとなんどでも同じ質問をしてくるの ....
無題の書をひらき
ドアを叩く
誰もいないから
自分にだけわかる詩をかいたけれど
もはや自分でもわからない
こんな日は
君の詩をよみたい
技巧派がつくりだした行間で道に迷い
言葉の枝を捨 ....
僕は目を瞑り
夕暮れの国道に彷徨う仔犬のことをちょっとだけ考える
カーラジオから明るい声が
逃げ出しちゃった犬の情報を
お寄せくださいと呼び掛けている
犬の種類 大きさ 毛の色
首輪 名前 ....
やっと会えた母は、とても穏やかな顔をして眠っていた
真新しい白装束 解剖の痕跡も知らず
すでに身体は綺麗に浄められて
「コロっと死にたい」
いつもの口癖通り、突然の呆気ない最後だった
入 ....
普段の私は40Wくらいの明るさで
人に会う時は60Wになる
さらに仕事中は
100Wの明るさで全開だ!
しかし100Wの電球は
消費電力が大きい過ぎて……
電球がすぐに切れてそうになり ....
そのダジャレ言わないと死ぬの?
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