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信濃の森の山深く
一筋流れる清流の 
脇にいでたる温泉に 
ずぼりと飛び込む心地よさ 
男子の本懐ここに有り
手ごろな岩に頭載せ 
手足を泳がすお湯の中 

眼閉じれば思い出す 
父 ....
樹が一本立っている

背は私よりはるかに高いが
胴は私の太腿ぐらいしかない
幹の高いところから十数本の枝を生やしている
それぞれの枝の先には緑の葉をつけて
灰色の空に顔を向けて雨を飲んでい ....
私は恵まれている

幼年期は暖かく程よく湿った腐葉土にくるまれて夢を見て過ごした
夢を見るのに飽きた頃には頭の上から冷たい水が落ちてきて目が覚めた

大きく伸びをすると私を守っていた殻が割れ ....
世界に陣痛が始まった
新しい朝が生まれるのだ
新しい私も生まれる
高層ビルから見渡すと月曜朝のビル群はとても礼儀正しい
きちんと整列して太陽先生の訓話を聞いている

向こうの背の高い男の子たちは揃いの制服
近くの背の低い女の子たちは色とりどりの私服

み ....
統計によれば自殺が一番多い月曜日の朝

通勤電車で幸いにも座れた僕は自殺もせずに健気に生きている人々に囲まれていた
電車が駅に着く度に本のページをめくるように目の前に立つ人が入れ替わる
チェス ....
タンポポさん
春の陽を楽しみなさい
思い切り根を張り温かい大地の恵を吸い上げ可愛い花を咲かせるがいい

あなたの根が隣の蓮華ちゃんの領分を侵すのではないかですと
彼女の可憐な花を見るのを楽し ....
人は泥から作られた時以来帯電している
その上頭蓋骨の中に強力な発電機までこさえてしまった
時には自分でも手を焼くほど過熱するのはそういう訳さ

電気は地中に流すつまりアースすればだいじょうぶだ ....
今日は特別に晴れている訳ではない
相変わらずのうす曇

今日は特に暖かいのでもない
昨日と同じ肌寒

いつもの仕事が目の前にある
一つ一つやるべきことをこなしてゆく

昼になれば同僚 ....
しょうがないじゃない
わざとじゃない
あの人が悪いのではない
誰のせいでもない
ひとりでにそうなった
春だから
愛でたい
昔々 男の子はちっちゃな銀の鍵を握り締めて産まれて来ました
可哀想に男の子は15歳になると家を出されるのです
旅してその鍵で開けることのできる唯ひとつの扉を見つけるために

女の子はちっちゃな ....
一日の労働を終えて勤務先ビルの最上階休憩室に上がり 西を向いて座る

取り巻く雲の縁を薔薇色に染めながらオレンジ色の太陽が落ちてゆく 
中景には超高層ビル群の黒々としたシルエ ....
もう起きる時間だろう
眠りの中で身体のどこかがそう告げていた
案の定 暫らく経って携帯が鳴る
わかっているよ でももう少し寝ていたい
「いいんじゃない このままで」誘惑者が甘い声で囁く
 ....
雲の間から少しだけ見える空
その琵琶のような形と水色が湖を想わせる

昨日は雲の勢いに圧されて湖が埋め立てられそうだった
わずかに開いた隙間から射してくる一筋の光に紫煙が渦を巻いて立ち昇る
 ....
常に集団でいる者よ

世界には君たち以外にも人は暮らしているんだよ
もちろんよくご存知だね でもうざいから無視しとけですか
そんなことより大事なのは仲間と仲良くすること
一人だけ目立たないよ ....
目が覚めたら未だ朝日が昇る前だった
窓を大きく開けて空気を入れ替える
清涼な大気が肌を潤し湿った苔の匂いが頭脳を静めてくれる

美しい夢をみていた
雲の切れ間から射し込む陽光
それを反射し ....
今朝 世界樹が目覚めた
満開となって白い花粉を散らした
世界は彼の逞しい腕に抱かれて白く霞んだ

雪は地面に着床するまでの暫くの間
授かった命に感謝し舞い踊った

雪は大地を受胎させ
 ....
熟練工は風雨から保護するため 心に幻想という漆喰を塗ってくれました
漆喰は乾燥した日が続くとひび割れをおこします そのまま放置すると建物が崩壊してしまいます

冬場は特に危険です 気を付けましょ ....
大洋のなかにぽつんと孤島がある
永い間孤立していた島は海鳥に自分の気持ちを託して遠くの島に遣わした
海鳥は赤い実を啄んで帰って来た
ただそれだけでメッセージは伝わらない
島は自分を掘ることを思 ....
北の海に魚釣りに行った
獲物はリアリティ
真面魚の稚魚を地元ではそう呼んでいる
リアリティは発生初期の胎児の姿をした銀色の魚
餌は人間の体

突堤のブイに腰を下ろしウイスキーを飲む
白い ....
夜明け前に外へ出るとそこは舞台裏だった
暗幕に虫が喰ったような穴がポツリポツリとあり 舞台の光が漏れてくる 
華やかな音楽も流れてきた
スター達のダンスショーはどんなに美しいだろう&# ....
今朝の彼女は恥ずかしがり屋さんだった
ドレープをたっぷり使ったグレーのコートから僅かに覗くピンクの素肌が初々しかった

正午が近づいてくると彼女は少しずつ大胆になり ついには厚いコート ....
今日を生きることに疲れた心を連れて行ってあげる
追憶の岸辺には様々な物が打ち寄せられている

陽に晒されて白く乾いた流木の傍らに
幼稚園に母が持たせてくれた馬車の模様の小さな青いお盆
好きな ....
淡く霞んだ冬空に白い雲が浮かんでいる
雲には自分の意思はない 
風に吹かれて動いて行くだけだ 
気楽でいいなあ

何時の間にか生まれ 何時の間にか消えて行く 
 ....
午後 太陽は大きく西に傾いている
もう暫くすれば 彼は美しい茜色の雲に纏われて地平線の下に沈んで行くだろう
でも今綺麗なのは 彼に照らされている東の澄んだ青空と白い雲 陽を暖かげに照り返しているビ ....
宝石箱の蓋を開けると白いブラウスの少女が踊っていた
チャイコフスキーの弦楽セレナーデの調べに乗って
白皙の額がダイヤモンドの光に照らされ 華奢な手首が瑠璃玉の色に染まっている

近く ....
それは旧いものとは限らない
それは暗いものとは限らない
それは悲しいものとは限らない

初めてのはずなのに どこかで会ったことがあるような
気持ちが晴れ晴れするけど 決してざわめか ....
朝方の西の空に貴女は浮かんでいた
ほっそりした横顔に憂いを湛えて
あなたは未だ登ってこないの 私は帰ります

だいじょうぶですよ お月さま
お日様は地球の裏側から貴女を見てますからね
安心 ....
人と車の群れを見下ろしながら街路樹が立っている
冬になったから葉も疎らだけどその根は着実に大地から暖かい養分を吸い上げている
おいしい栄養が樹の全身を廻る

彼が身を震わせているのは寒いからで ....
ただのみきやさんのたにいさんおすすめリスト(29)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
温泉旅- たにい自由詩612-5-1
師匠のお言葉- たにい自由詩312-4-26
桜物語- たにい自由詩512-4-13
誕生- たにい自由詩412-3-25
朝日のビル群- たにい自由詩612-3-19
生きててよかったね- たにい自由詩2+12-2-27
お日様の願い- たにい自由詩512-2-25
アース- たにい自由詩4*12-2-7
何気ない日常- たにい自由詩312-2-6
- たにい自由詩312-2-3
鍵と錠- たにい自由詩412-1-30
夕辺の愉しみ- たにい自由詩212-1-27
朦朧の楽しみ- たにい自由詩312-1-27
空の湖- たにい自由詩212-1-26
集団利己主義- たにい自由詩212-1-25
朝の歓び- たにい自由詩312-1-23
初雪- たにい自由詩312-1-20
冬場注意報- たにい自由詩412-1-15
離れ小島- たにい自由詩512-1-12
リアリティ釣り- たにい自由詩212-1-10
未明の散歩- たにい自由詩212-1-7
空に恋して- たにい自由詩212-1-7
追憶の岸辺- たにい自由詩612-1-5
雲になりたい- たにい自由詩511-12-26
愛について- たにい自由詩611-12-24
再会- たにい自由詩3*11-12-23
懐かしいもの- たにい自由詩411-12-23
モーニングムーン- たにい自由詩111-12-21
- たにい自由詩1*11-12-15

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