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風が風を離れ 人が人を離れ
のぞきこみあう空は 青く
もくもく 雲 かげリいだく
つきとめられ つきつけられ
ほしい ほしくない
のぞむ のぞまない
組み込まれた祈りも呪いも ....
雪が降る中 小鳥が飛んで行く
何があっても 餌をさがして
飛び続けなければ 生きていけない
天気予報で 大雪警報がだされた
降る雪 塞ぐ雪 閉じる雪
誰に知られる事なく 骨になろうと ....
重なってくる雪にやけずに枝が
作り続ける氷という言葉
熱いと溶かされるけど凍りたい
何処かから このまま ここで
ちからなく たちつくす
たちつくすと きになる
きになると えだわかれ
えだには はが のぞむ
はっぱは かぜをうける
いきたいのか ちぎれても
いきたくないのか くちても
ねが ....
息のかかった葉が揺れる
風でよかった
栗のいが 落とした枝先
風でよかった
瞑るから 消える月曇り
風でよかった
どろどろの みずたまり
風でよかった
障子穴には 悟られない
風でよ ....
のばした爪に 皮をゆだねても
みかんは 指を求めていないのです
力ですか 許しですか
欲しいものを求めていますか
甘い実にも捨てる場所がある
どうしても受け入れられない
どこか ままな ....
息 ふきつけ 葉の群れにゆく
崩れる形 風に似ている
そがれしみいる くさびのつる
掌に ろうそくの火種
くずれ吹く時 風に似ている
自由でありたい
重ねている空気層が
体から 心へ触れる
自分を生きる
思い出せ 思い切り
太古の渦に チカリと開く
無遠慮に 絡まり 呑む眼
告げられるのか 否 告げろ
何 ....
水玉に揺れる竜
つなぐ とぎれという輪
くべている手は 土からでた空の指
火は向こうへ かけられる扉
流は竜
木の気流
立つは麒麟
合羽の袖口にも 頬にも手にも
蝶にも
....
くしが髪をとくように
そそぎこまれた陽の光を
たたずんでいる 木がかたどります
枝葉で すくっても すくっても
こぼれた思いが 根元に揺れて土を明るくし
なぞり のまれゆく愁いに
は ....
こことおり こらす
つむぎ きなとす おとぎ
すげた やまい ちかう むごく
ゆすれ わたせ ひくて ささら
ずぬけた かたおり すべらす ほのお
くじく ふきや みごもる ろうそく ....
軽トラックの荷台に仰向けになって
青空を見るのが好きだった
実家から水田転化した林檎畑までは少し遠く
父の運転する軽トラックの荷台に乗り込み
寝転がって空を仰ぎながら道々を行った
時折助手席 ....
石段に咲いた紫野草
苔に混じって隅に咲く
月光が飛沫とはしゃぐ
鯉が眠らず 水源はそそがれる
水滴の輝きが 近く遠い真夜中
カーテン越しに およぐため息
とにかく頑張る気だった
父を棺に入れる時も
親戚の人達と共に
ぐにゃりと 固定できない父に
白い旅装束を着せて
和尚様の教えに従い
とにかく 無事に弔いたかった
和尚様が 小学に入 ....
会社の帰りに実家に寄り
母を乗せて 病院に行く
入院している父に会うため
一日中 林檎畑で働いた後
母は着替えて 私を待つ
七十歳を超えて 疲れただろうに
駐車場について 歩きながら
....
板の切れ端が 軒下に放り出され
横に立てかけられ 忘れ去られている
陽をあび続け だんだん色があせ
雨をあび続け 湿って腐りはじめ
風からは遠い 身動きもしない
雪の積もる夜 ただ ....
ころころ月が 指うえアソブ
あんなに雨だれ 聴いたのに
覚えているのは 風の事
吹いた過ぎたと つかえた胸に
爪たて 口たて 脈をうつ
風車は どちらさま
残したわだち 戻らぬ見返り
....
いいつけられた そこにはゆるされず
いいつくしても そこははらされない
ののここにも うそのうたにもつみも
さざめくもの いしからよごれてなき
ところふりかえり とどけふりほどき
か ....
指に待つ 花片
空に梳く 葉片
枝に眠る 夜片
丸い月は 一本の線
体も 木蓮も 雪も
声は 雷
桃の花が咲き 蜂が盛んに飛び交っている
林檎畑の中に二本ある 出荷しない桃の木
嫁いだのに 実を選るのは担当だと言われ
なんで私がと思いながらもなんとなく親しみ
桃ちゃん と呼んで会うのが楽 ....
見上げれば 青い空がある
靴の下 地面の底には また地上があり
私からは見えない 空がある
息できる場所で引力に頼って歩く
いつも踏んでる道のずうっと下は
海かな 河かな 山かな
....
雪を土の上に敷いていく その道を
スノーダンプに雪を積んで 水辺まで運ぶ
降り積もった雪の塊
昼の熱にとけて したたり落ち
夕暮れに 冷め 夜に凍り
朝には スコップもささらない
....
小枝の別れめに すごした雪が溶けかけている
のしかかられた小枝は いつも 問いはしない
さまよいながら 降り募る 重さにただしなり
折れたら落ちる 回る季節に巡りを てばなし
花芽を ひとつ連 ....
社員だけど 内職を頼まれるというのは前にもあった
普段は自宅にいて内職の方がする仕事が納期に間に合わず
日中の仕事を終えてから 仕事を家に持って帰り
家事をすませてから 内職をする しかし 内職 ....
灯りをつける ままの指影
笑われに 風 戸に止まる
はかれる継ぎ目 キラら酔
のぞく帆三日月 黒河蔵海
折鶴といて 折り痕ぬぐう
灯りを消したままの指守り
駐車場にやっとたどりつき車を止める
前が見えないほどの雪が降る朝
ライトをつけての通勤
白い雪の中に ぼんやりと光が見える
そういえば昔に ライトを消し忘れて
車のバッテリーをあげた事が ....
雨に揺られながら かりんとうからオチテク甘さ
指から砂糖が見えるよで 舌にしかとどかない
障子紙を破って ストーブまでくるの
乾いてない防寒着を いつまでも着ている
持つ指は 離さないで甘みに ....
林檎の花は雪色 蕾は朝焼け
雪に枝を折られながら
木を裂かれても 根は雪を吸う
発芽し実になる芽の成る術を
同じく過ごし 来年の芽は待つ
芽が実になるのは二年越し
熟成は枝から始ま ....
木をおおい 木になりかけた雪は
風に 陽に 重力のため
地面へ 水へと おちる
おちない雪は 木を裂く
重すぎて 硬すぎて
木を潰す
溶けて吸い込まれるしかない
雪の木
心の言葉と 言葉の心
写し身流れ 姿はともる
おりごとの戸の 金具は錆びて
つけかえる鍵 やがてはつきる
のぞきこむ目が 目隠しをする
指文字が消す しめった曇り
息吹きかけて ....
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