そして
冬将軍がやがて
この森にも流星を連れてきます
今夜は月のない晩なのでとても綺麗に見えるでしょう
私が待ち遠しいのは流星、
じゃなく、やさしさ
愛しい人の名前を呟けば
白い息ととも ....
敢えて言うなら、夕方のラッシュでみた
下劣で教養の無い、カップルの会話!
「空気読めよって、さすがに言ってやったんだ」
クッキーの型で、綺麗に抜いて
駅前のゴミ箱に捨ててきた
カクモハカナキ ....
写真を撮りたい、と云う欲求は一体何だろうと考える。
撮りたいと思うものはいつも空。
そして原色がちりばめられながらも穏やかな色をした公園、
自分の周囲にいる愛しい人々、
かつては息をしてい ....
電車は学芸大学を過ぎた
橙の薄日が
くすくす眼を射り
わたしは数年前に
逃がしてしまった犬の事を
茫洋と考えていた
毛並みの良い犬だった
ルクスと云う名で呼んでいた
或る日鎖をひき ....
湖の絵葉書が届いた
大して親しくなかった人からだけれど
きれいなので捨てられない
大して親しくなかったけれど
その人を思い出す
お互い積極的に話しかけていれば
きっといい友達になれ ....
こんな日は誰が雲を運ぶのだろう
空を見る
雲が流れて
ゆっくりと ゆっくりと ゆっくりと
あの場所では風が吹いているのだろうか
決して手が届くわけもなく
....
朝を知らせる空に、
ひっそり5本線かくれてた。
音符の影は見えなくて。
朝の静けさは、このせいだった。
秋風に震えながら帰路を辿る
色づいた葉々が擦れる音が流れ
それはあまりに儚く
夕焼けの明るさに目を閉じた
海道沿いのバス停は潮風が吹き
砂が波に運ばれる音が聴こえ
それはとても美しく
....
{ルビ掌=てのひら}にのせた
{ルビ一片=ひとひら}の恋の花
千切って夜風に放つ
そうして青年は
破れた心のままに
深夜の断崖の上に立つ
目の前には{ルビ只=ただ}
....
見つめ合って私ではないのがあなたです
目が覚めて一言目
やさしく囁いた
青い夢を見ていた気がする
一日の始まりに飲む苦いコーヒーが
私の中に少しずつたまっていく
あなた ....
ごめんね
今まで気づかなかったよ
赤や黄色の季節の絵の具で
みずみずしく重ね塗りされた
桜の木の葉っぱの影に
ちいさなちいさな
土色の蕾
今までずっと蕾は ....
見上げた天井にそれは映る
夜更けに甘い罪を犯す僕には
その幻が見える
艶やかな黒い髪の毛が輝き
そしてまた好奇心に満ちた黒いつぶらな瞳
僕に向って微笑んでいる
きっと ....
革張りの
使い込んだ光沢の黒い
二人用のソファー
そこへ 少し沈み込んで
感動に不感症の夜
僕は孤独を気取って
コーヒーを片手に
読書をする
包み込まれた
文字はただゆらゆら ....
ふと庭に
光漬けになって
泣きだしそうな 彼女
まぶしいのは
もうまくがやわらかいから
だったろうか
もし
私が死んでしまっても
このせかいが
ぷつんと
終わったりしま ....
北朝鮮の核実験の報は
気持ちの良い 晴れた日の真昼
ちょうど 洗濯物を干しながら
見ていないテレビの音声から
物干しの最中 ベランダの手すりに
茶色い カマキリを見つけていた
むかしか ....
橙に染まる道
遠くに伸びる影連れて
陽の匂いの二人
また明日と
いつもの約束交わして
あの角を曲がれば
優しい明かりの灯る家
のはずなのに
空になった部屋、で
ひとり泣いた少女の ....
上を向いて歩こう
涙がこぼれないように
というので
上を向いて歩いてみたけど
涙はこぼれおちるじゃないか
ちくしょうめ、
下を向いて歩こうよ
コンクリートは
私の泣き顔 ....
たぶん
あの時も天上に輝く月は
満月だったんじゃないかな
右目だけで見上げる月は
どうにも薄ぼんやりしていて
焦点が定まらなくて
酩酊感で気持ちが悪くなる
背中にまわした腕が
....
蝶とむくつけき昆虫が
ごつちやになつて
吹き飛ばされて行く。
空中を一方向に
平行移動するやうに。
蝶はいつ飛躍をして
その流れから抜け出すだら ....
秋は風
そよそよと風が吹き草の丘へ
薄穂が揺れその動きに
虫たちが自分の楽器を
思うままに奏でる
秋は色
はらはらと葉が落ち野の道へ
小枝が揺れその動きに
小鳥たちが自分のパートを ....
私は悪魔ではない
地獄の炎に取り巻かれているわけでも
コウモリの翼を持っているわけでもない
人間の中で暮らしてはいるが
私は れっきとしたマラークのひとり
今日も 無能な部下の提出する書類一 ....
それは自然のなせる業にはちがひないが
梢からまつすぐ
命中するやうに頭に降つてきた木の実
重たく硬い木の実
何か不当な打擲を受けたやうで
穏やかではなかつ ....
東の空から揚々と日の光りが白み始め
僕らのこの街は柔らかに浮かび上がる
すこし肌寒いひんやりとした空気
胸いっぱいに吸い込んで蒼朝と一体になる
まだ少し眠い目を大空に向ける
....
少しずつ
たくさんのモノを手にして
少しずつ
たくさんのモノを落として
久しぶりに覗いた箱の中には
大したモノは入っていなかった
月はやさしい灯りで照らしてくれた ....
真新しいランプで
秋の波を
どこまで照らせるだろうかと
また、
鳴き砂の浜辺で
波泡のざわめく
境界線を見つめている
小さな音を立てるのは
そこに居たという証で
胸の奥に
忘れ ....
終わりなきデジャヴュの牢獄で
嘘つきが細胞を蝕んで
穴だらけ
生温かな雨が溶かす真っ白な天井に
出口なんてない
手のひらで コロコロと
海の向こうの偏執狂が叫んでる
捏造の凱歌
....
熟されてワインのように薫る日々
ひとひ{ルビ一日=ひとひ}を飲みほす人生
男泣き今にこの恋忘れるさ
五臓六腑にいも焼酎よ
紫煙はき椅子に毒づくたったひとり
....
遮断する
物理的遮断、瞳を閉ざす
遮断する
物理的遮断、ドメイン拒否
遮断する
物理的遮断、経済制裁(小遣い減額)
距離感と神聖は比例で増加
破裂寸前に膨張するアナタ
遮断する ....
ある日我が家が突然停電になった
何の前触れもなくいきなり真っ暗闇に
わあ どうしよう!
とりあえず懐中電灯をつけてその場をしのぐことに
暗闇というのはなんとなく落ち着かない
早く電気がつ ....
あなたの「ごめん」は
伝わってるのに
言い争って
拗ねているから
肩に置かれた手さえ
払いのけてしまう
嫌いになんか
なれないくせに
抱きしめられるのを
拒んでしまう
本当に
....
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