ふれられない
それは届かない
でも僕らは知っている
その悲しさを
包み込んだと思うとなくて
忘れた頃に背後に現れ
酷い事をした時は容赦なく
眠れ ....
数える、シグナル
着信履歴
数える、車窓の鉄柱
サボテンの棘
数える、つたえたいことば
読んでいない背表紙
数える、もらったさやしさ
星のまばたき
数える、蝉の脱け殻
....
送電線の下をくぐって
アスファルトの海を
ぼくたちは、
泳いで、
はりめぐらされる
緯度や経度に
足をとられながらも
ひたむきに
日帰りの旅をくりかえす
ねむる前、ときどき
....
あなたが楽しかったり、嬉しかったりする時は
そのことを知りたいって思う
あなたと一緒に、それができれば一番いいのだけど
いつもできるわけではないから、せめて知りたいと思う
その時のあなたの ....
古い廃墟になった工場の
今にも壊れそうなイスに腰掛けて
割れているガラスの窓から
うっすらと見えた
夕陽に心をいやして
このような不気味な場所にも
愛や感情が
....
必死で隠そうとするのに
今欲しい闇は現れない
全てが君の目に留まって、全てが私の目に留まって
全てが息苦しいよ
こちらから逸らせた瞳
逸らせた後になぜか
ポロリ
涙がこぼれた
....
今日も京都でしゃかりきコリキ
わっと叫んで場外乱闘
露悪的惑乱状態
テケテケテケテケ、take it、take it!
今日もトーキョで一心不乱の一輪車
ワッと喚いて乱痴気騒ぎ
....
アイスバーンの道を
一人むなしく歩いていた
いつもの風景いつもの時間
いつもの場所なのに何故か
ちがう世界に見えた
ガラスの瓶を拾って
思いっきり地面にたたきつけた ....
ぎゅっと
ケチャップのチューブをしぼって
出来たてのオムライスに
真っ赤なうずまきを描いた
かわりに涙が
ほほを伝わないように
悪いのはお前じゃない
と 言って
....
影を定めよ。
蝙蝠は吊され、
夜は曳き裂かれた。
太陽に磔にされ、
鬼の罪は暴かれる。
忌まわしき、
人外の獸。
その血は汝の影ではない。
....
朝起きて布団の中であと五分あと五分と
ぐだぐだとししている時に
君はもうすっかり支度をして
たぶん仕事場に向かっているはずだから
僕はがんばって起きようと思っている
飲み物を取りに階段を ....
凍える桜の枝を煮る
花の色に染まる
記憶のひとひら
なくしそうな
砂のらくがき
ため息で
消して
あなたの指した
電柱の奏でる擦弦楽の季節
手をさしのべても
触れるもの何も ....
カフェテリアで
小脇に かかえた空に
そっと 左の翼 溶かして
ふしの いたんだ 宿り木
に まだまだ だって
占いに とばされた 長靴に
冬眠している 蛙君からの 手紙
....
発狂 エロ 青年
死んだ後に 入れ歯を 買って
親御さん 連れて
火葬場で エロ騒ぎ
肉 肉
嫌だわー あんなの
体重一万キロの
肉つぶし
「jenny jenny ....
君が行った
「愛してる」って言葉で
どんなに勇気が湧いてきたことか
これほど人に勇気をくれる魔法は
この世にはないだろう
君はプリンセス
城に閉じこめられたかわいそ ....
スピリットを
食べる音が
きこえるか?
石の 草の 道路の
スピリット
家の 屋根の 空の
ブルー
スピリッツに
あふれる色が
見えるか?
スピリット
じゃーん ....
死はすべての死ではない。
恐るべき人。
炎の十字を掲げ、
杭を打ち、
殺す。
幾たびも、幾たびも、
訪れ去って、逝く。
わたしの死は死ではない。
....
家出した
2軒先のオモチャ屋まで
所詮そのくらいの意気地
模型電車のガラスケース
豆電球が優しくて
何度も何度もトンネルを覗いた
眼鏡のオヤジが
オデコで睨むから
負け犬のように店 ....
生きて
素晴らしいことは何もない
ただ
愛のみ
意味のない卵色の日に
ただ足を前に出して
昼は明るいことを知っていて
夜は電灯を調節する
いつも目の前の手すりを触って
....
美しい赤ん坊のこぶしには滅びの言葉握られていた
怖い雨、怖い光を浴びまくり僕らは汚い名前をもらう
眩しくて見えない僕らの遺伝子に刻み込まれる悲しい記憶
誓い合う幼い僕たち ....
セルロイドの筆箱が
カタカタと
そんなふうに
胸の{ルビ襖=ふすま}を揺らす
何気ない言葉
風、もしくは紫陽花
色を移しながら
みんな好きというあなたは
きっ ....
夏の揺らぎ 子供たちが 顔を隠している
「俺は 夏の浮かれ騒ぎに 女を 捨てた男だ」
子供は そばにいて欲しいとせがむ
夏の 墓標にて
ね 内外相対って何?
子供は ピアノを 弾く
....
季節外れのマリーナの隅に
ON AIRのオレンジのサイン
夜はそこにだけピンライトを当てる
思いのほか雪は強くなり
ラジオ局で流す古いジャズが
熱く火照って静かを乱す
厚い硝子 ....
愛情なんて贅沢だ
と書かれた紙切れが一枚
くしゃっと
捨てられて
愛情が贅沢だから
愛情と書かれた紙切れも
きっと贅沢なのであって
そして
その贅沢な紙切れをくしゃっと捨てる行為も ....
無言電話がかかってきたので、無言で待った。
遠くから、海の音がした。
ひとつ月を見ない。
最後に彼月を見たのは、
四つ前の七日双月であった。
双月。
ひとつ月と、
ふたつ月は、
兄弟月である。
大変 ....
鎌倉駅の通路の壁に
寺へと続く石段の写真が展示されていた
門の向こう側の境内には
不思議な光が満ちあふれ
そっと上げた足先を写真に入れると
体ごと吸い込まれた僕は
気が付くと
石段の ....
規則的に並んだ 長方形の、
石の上に横たわる
やわらかな、暗室
腕をまっすぐ 前に伸ばして
星座の距離をはかる
おや指とひとさし指で足りるほどの
遠さで
わたしを見下ろしている
....
昨日 切り捨てられた廃線の
駅 構内には
まだ暖かな気が
そこら中に点々と赤味を帯びて
揺れ立っているというのに
朝に 幕
夜には 鉛の月影が
ゆっくりと光りを奪っていくのだと
....
取り残されてなんてないはずなのに
そう思ってしまったり
泣きたくなんてないのに
泣きそうになったり
それは雨のせいだとか思おうとしてさ
だけど僕は雨が好きなんだよ
雨の日ばかりじゃ ....
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