眼と手をきつく結び
踏みだした一歩は鋭く響く
そのひとがもらした嘆息は
とても深く
とても暗かった
ひざまずき
そっと指先でなぞり合う
ハーケンクロイツ
悲運を思いながら
....
祖母は絵に描いたような大阪人でした。商売が大好きで、勝気で、たまに口が悪くて、酒屋でしたからものすごく酒には強くて、花は大ぶりの派手なものが好きで、ついでにヒョウ柄も大好きで・・・そんな人でした ....
きみがふわふわと
優しい歌声を張り巡らすので
ぼくはバシャバシャと
激しいリズムを打ち鳴らした
やがて二つはしとしとと
美しいハーモニーを
一月(ひとつき)もの間
奏 ....
「別れる日は決めてあるんです」
あどけない顔をして
サラッと彼女は言う
離別の餞まで手に入れた
お人形のような瞳には
背景の妻子の温度は伝わらない
サーモスタットはいつ壊れるかわからないの ....
卯の花の咲く花折れの峠道
皐月末心の中の昔かな
静かなりカラコロと妻の風鈴
その幹線道路を折れて
閑静な住宅街へ入る
丘へ向かって
ダラダラと伸びる坂道を登る
要塞のようなマンション群
東京を見晴らせる 丘
複雑な構造のマンションは
ト・ウ・キ・ョ・ ....
かつて国鉄全路線に乗った
作家の宮脇俊三さんはこう書いた
「何かと不満の多い人間は
一度夕張線に乗るとよいと思う
いくらかおとなしくなるに違いない」
文句のある奴は夕張へ来い
文句のある奴 ....
さすらいの
すべてがやさしく
しみるとき
風の
しるべの
まぶしさが、近い
背中や肩を
通うながれは
さらわれまい、とした
ひとつの道すじ
だれかの瞳に
年月に
....
「スライディングをして
サッカーボールを蹴った
ナカムラシュンスケ
が映るテレビを見て
小さい両手を頬にあて
幼い兄と妹は
ムンクの顔を並べる 」
と ....
ひとを好きになって
たまに 同じ想いを返してくれようとするひとに出会う
けど続いたことなんてない
怖い すきとかいう関係が怖い
漠然とただ怖いの
恋を したいの ....
今にも殺められてしまいそうな
そんな真っ白で鮮やかな月でした。
あなたは砕けた直後にこの胸のうちで氷解し
けれどわたしはそれを生涯忘れぬと誓った。
零れないのは夢物語と願望で
いつだって ....
暖かなコーヒー
沸騰する苦い色の液体
牛乳をたっぷりと浸みこませ
ベランダで 爆発物を飲料にする
爆薬はカフェオレ
導火線は中南海
烈火のエクスタシーに浸る
雨 ....
ひきさかるかやのやに
ほせとうすぐりよまい
ちきにゆるとさめすえ
ねのもうえになきとうすえ
むつくひにかしおとけおせ
ひくこえぎのわつづり
しにやりにせわたせり
ひどく深い山奥に
その百貨店は建っていた
百貨店といっても実際にはよろずやで
それでも、食料品から最新のテレビまで
なんでも売っているのだ
ダムが出来ると
集落のすぐしたまで水面になる ....
貴方には大きく翔たく
翼がある
貴方にはやらなければ
ならない使命がある。
生きているからには
役目をはたす。
生きているからには
苦を共にする
くつろぎの時
力が抜け
頭 ....
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人を判断する基本としての足首
ぼくの友人は足首で判断する
細い繊細な足首がキリリと力強く歩み去るのを
眺めるのが好きだ
太い力強い足首が折り重 ....
ほっとして、心地いい
でも、いつものばかりだと退屈しちゃうから
たまには思い切って、新しいいつものを探す冒険に出よう
好奇心と不安が入りまじって
すこし落ち着かない気分だけど
そんなこと言っ ....
囚われる
囚われる
今 あなたに囚われている。
囚われている
囚われている
あなたのやさしい瞳に魅せられて。
あなたの希望はなに?
自分のしあわせ?
それとも、わ ....
それは風の通り道の家で
けっして目立つでもなく
景色に溶け込んだ家で
見つけにくいようなら
赤い郵便受けを見つけて下さい
それはそれは、目の覚めるような赤で
つい最近、
満月 ....
母が心を病んでいると医師に言われてからはや5年が過ぎようとしています。
その1年ほど前から軽うつと診断されて、薬を飲んでいたのですが、どうもこれは「アダルトチルドレン」とか「中年危機」の症状が強いと ....
無表情に首を傾げた
自転車の整列する駐輪場の上
線路に吊り下がる
モノレールは監獄の面影で走る
昨日の重たい疲れを残し
眠りながら吊革にぶら下がる人々
....
16のころ読んだ
大江健三郎の小説を
古本屋で文庫で百円で買った
道を渡った喫茶店で
39の俺が読んだ・・・
墜落する物体を見る興奮
幻のように確かな手触り
....
080523
99と書く
次は100だと思うとそれ以上書けなくなる
思い切って進め
そんなこと言っても可哀想だと思う気持ちがあり
迷っていると
....
ゴミ箱を作ったので
いらないものを捨てた
だけど、ゴミ箱はまだ満足していなかった
仕方がないので
最近、増えすぎて
持ちきれなくなった不安を捨てた
ゴミ箱は少し満足したようだった
その日 ....
恐ろしい絵本を読みたくて
深夜の本屋に忍び込んだ
硝子を割ったのにセコムは作動しなくて
別世界にきてしまった気がした
グラビアから世界地図まで
滑るように見つめていると
ふとした拍子 ....
・おやゆび村
広場の真ん中は
噴水が陣取っていて
そこには
何人かの子供と
一匹の動物がいた
動物は
子供たちの真ん中で
小さくなって
子供 ....
ぼくらには
見えないことがたくさんあって
想像力で
いままでの経験で
それを
埋め合わせしたりしている
否、
じぶんの器でしか
それを
埋め合わせ ....
あなたの誕生日はいつだったっけなぁ
と思いながら
刻々とすぎてゆく日々
選ぶべき言葉も選べないまま
大切なもの
いっさいが流れてゆくというのなら
それは、きっと
わたしが ....
{画像=080522023223.jpg}
五月十七日は土曜日でした。
窓から外を見るぼく。
向かい合うアパートの窓に、
立っているぼくの姿が映っている。
身体を揺すり、
ヘッドホンに独り ....
あなたは花が好きなだけだった
大輪の花が咲くポピーと信じていた
それだけだった
けしの花
禁じられた花
大地に根を張るけしの力強さ
足に力を込め手応えを感じながら
何本も何本 ....
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