いきる
燃えさし
あがってくると
( こころは バイパス
爛れた
くちびる
あてがいながら
眼窩(すかいらいと)
から
入水
....
・
午後四時
青の上から
橙や赤や紅色が
塗り重ねられてゆくのを見ながら
大急ぎでベランダのシーツを取り込む
あのうつくしい仕事をしている人が
どんな人だかは知らないが
時折
ゆるめ ....
110221
どのキィーでもいいのですと
演奏家のお兄さん
とびきりの笑顔を向ける
今年85歳の父が
謡いたいといい
出せない声を張り上げる
初めて ....
灰色で綺麗な罪 ぼやける煙の奥
渾身の嘘も見透かす オーラもかき消して
飛び級で勝ち取ったから 守るだけに夢中で
与えるより傷つけて 表が終わらない
なんで今日の僕は一人きり? その理 ....
少し離れたところから
また宵と闇がやって来る
いつものようにそれを受け入れ
解放された熱量と
少しの眠気と混乱で
玉のような世界を産む
愛されたいと ....
だあれもいない
夜
に
ゴキブリ
が出た
バカだなこんな
所にのそのそと
出て
くるなんて
殺そうか
でも
見なかったことにしたい
そんな判断で
成り立っている
....
そこを曲がると、雨が降る
ずぶ濡れのふたりが駆けてゆく
それは遠い昔のこと
骨の中を蛇は行き来する
赤い舌を つなぎめからだして
どす黒い血を舐め
爪の間から じっと獲物を捜す
ねずみを 虫けらのように
孤独を 小鳥のように
飲み込んだまま 頭蓋骨まで ....
僕の大切な可愛いヒト
お嫁にいくなら教えておくれ
僕は何を歌おうか
僕の大事なやさしいヒト
泣き止んだら教えておくれ
今日は何を歌おうか
僕の大好きな愛しいヒト
おなかが ....
どこまでも黒い、
夜空を見上げる理由を知っている
星が瞬く、その時を想像して
たおやかな時の巡りを
歴史のつよい鼓動を感じる
その真下で、
君に告げたい
+
生きていく上で必要 ....
罵倒してもよかったんだよ
ボディソープの淡いにおいのぬけがら
輪郭だけ纏おうとしても
乾いた夜に、まぎれて消えた
皺の寄ったシーツと
その影の濃淡
なにかに傷つきた ....
午後 4時44分
見上げると
東の高く
薄い青空に
少し欠けた
白い月が
浮かんでいた
立春もとうに過ぎたのに
しばらく
引きこもっていた
たまっていた
所用 ....
僕が火傷をした子供の頃
母さんは泣いてばかりいて ばあちゃんにきつく接するようになった
父さんは酒を飲むようになって 母さんと喧嘩ばかりしていた
じいちゃんは無口になって そのまま死んで ....
道路も屋根も電信柱も
みんな銀色に覆われてる
子供たちは喜び
雪合戦をしている
君と過ごした冬は
寒いけど暖かかった
今年は一人で子供たちの
歓声を聞いて ....
ひどく清々しいわ
この青い青い空を蹴り飛ばしたいぐらい
ねぇ、聞こえている?
赤い赤い花が似合うって言ってくれたわね
私の嫌いな、赤
貴方が残す、赤
愛しさと憎しみの色だとでも ....
そんなことはない、が
結局は開かれることなかった口の内側で吠えている
不便のないところでは
それがどんな狂犬だろうと
誰かしらがいい薬を処方してくれるでしょう
それで利口に生きていける
....
春くれば妻といでゆき新緑の野に憩うらむその新しき世
えざし甚句の勢いに若い自分に返りおりふとつまおもう
妻と共指のふれあうひと時もいつも変らぬわれらが夫婦
雪が降り積もるだけで
街中から静けさが聞こえてくるのはどうして
昨日通り過ぎた雨が
夜明け前にはすっかり凍りついて
ただ触れている胸の中心だけが溶けて
そこに雫を落とした
ふや ....
逆立ちする樹は
王子の星を三本で覆い尽くし
そのうち星は崩壊
逆立ちする樹は
なぜか地球の一角に
サンテグジュペリの祖国の支配
沢山の奇跡の巨大な島
地上の奇観 バオバブの森
漂流 ....
うすあかりの光りがまだら模様をえがく夜
わたしは、私を忘れる
「風が出てきたみたいだ。梢の影が踊っている。
ここには、街灯はないのだから…」
「月明かりね。風音が変わった ....
暁の透明なあたまが働きだすと、ふたせだい前の戦争を、じぶんじしんの真実を、薄暗い霧のなかを、初老が漕ぎ出していった。
吹くかぜが岬あたりの暗い雲を東に追いはらっていた。
冬であるのにかぜに ....
「神の国は近づいています」
「悔い改めなさいと」
「イエスは…」
ビルの谷底に流れる歳末の{ルビ声音=こわね}は伝道というより脅迫めいて
拡声器で繰り返されるその文言は
オーウェルの『1 ....
雪晴れの朝の
あっけらかんとした明るさ
街に光が満ちている
街の輪郭にエッジが効いている
キッパリとスッキリと
明確な世界が眼前に
立ち上がっているから
いまこの瞬間なら
....
27で父を亡くした
あのとき
あたしは
もぬけのからになった
数ヶ月
母と暮らした
父の大きさを
影響を
思い知った
もう
何十星霜も
たっているのに
未だ ....
いくつめかの丘の上で
目から流れ落ちる汗を拭った
いったい誰のための汗なのか
そんなもので救われようと思ってる
自分がちゃんちゃら可笑しいよ
勾配の緩やかな所を
選んで登ってきたは ....
しっかり生きていこうと思ってはいたが、
うっかり長生きしすぎてしまったものだから
がっかりするようなことを沢山見てしまった。
うっかり長生きしすぎてしまったので
しっかりすることなく生 ....
{引用=
僕が中学生だった頃
ボブ・ディランを聴いていると
笑われたことがある
ビートルズでさえも
ダサかった
でも
今は
時が流れて
ボブ・ディランはとっても
かっこいいといわれ ....
青空
飛行機雲
線
直線
青空
白く伸びる
雲
飛行機雲
ねぇ、見て。
と
隣に
言える人は
無し
この気持ち
伝える人も
隣に無し
は ....
凍ったまま
凍ったままで
夏を待て
降りたシャッターの前に
右手をかざし
瞑目の、水晶の立像となって
冬はお前を追憶の塔にした
透明なお前の体を通して
青い青い海原が見える
光の ....
私がよく行くインポート専門のブティックがある。
ショップ名は「armoire caprice」
(アーモワール・カプリス)
もしかしたら御記憶の方もいらっしゃるかもしれないが、
以前この現代詩 ....
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