それは忽然と現れた。
スパニッシュブルーの空を突き刺してそびえ建つ、
研ぎ澄まされた円錐形のオブジェ。
傾斜角75度の強い意志が天を貫いている。
指し示す先はどこまでも高く
その先端から曖昧 ....
{引用=
「嘘は命のバロメーターさ」
と、
歌の文句に教えられ
死なないための一心で
嘘をたくさんついてきた
おかげで気がつけば
嘘は
嘘それ自体で
はばたく羽を持ち
夏の ....
コンタミネーション「ZincAlloyandtheHiddenRidersofTomorrow」をこのところ毎夜退勤時に聴いていますグラムとR&Bの美しきマーブル状のcontamination本来は「 ....
「疼き」
わたしは女吸血鬼
逞しくばしっと叩くような男が好き
やるかやられるか
そのスリルがわたしを余計興奮させるのよ
でもね最近
草食系とか言って
わたしを見ただけ ....
君に憂鬱が訪れるたび
向日葵が深紅に染まる
太陽に背を向けて
哀しげに項垂れながら
闇を一身に背負った向日葵は
自らを切りつけ
地面へと倒れ込む
ひとつ
ふたつ
みっつ
....
数人の人が
現れて退き
出会った白髪の老人
何か言い残して
消えたが
印象に残って
束の間の老人よ
また来ておくれ
私達は風景を食べている
そしてもうひとつの地球のような
そんな世界を造りその上を歩いている
しかしそれはとても、とても小さい
幾つもある小さいを繋いでみようと試みるが
誰も縫い目ひとつに ....
あたしは
バンパイア
夜な夜な 赤い愛の血を
求めてさまよう
あたしのことを
愛してくれる
赤い血は
匂う 匂う
いい匂い・・・
今夜は キミか
かけ引きも大事 ....
こんな顔をして家には帰れない気がした
ヨシミは自転車で夜を町を走っていた
お母さんをさがしてパチンコ屋さんをわたり歩いていた
カゴのなんでもバッグにケイタイがのぞいていた
目からなみだがあふれていた ....
くちばしの長く伸びた蚊に足の指を吸われながら
恋人の首をころりと乗せた二の腕の潰れ具合を計っていた。
前髪の先に留まるシャワーの残り水が
目尻を伝ってシーツにつくと、
空は落ち、
圧縮袋のな ....
{引用=
またいつもの
自転車にのって
ぼくがむかっていた
先とは
どこだろう
でも
いまは
どこだろうがかまわないおもいでいっぱいなのは
はたして
ど ....
昔々(むかしむか〜し)は無関心
徐々徐々にに親しくなって
今は友と呼べる奴
昔々いつも傍らに蹲(うずくま)り
たまには気になるときがあるが
それはいつでも憂鬱さとともに
昔々は青と ....
あの
つらかった
あの頃
唯一つ二つの
悦びとして
隠れるように
買いあさった雑誌よ
今やそれらが
違う形の
脚光を浴び
私は寂しく
阻害された
遠く隔てられた
あの純粋な悦 ....
朝の訪れるたび
切り離されたからだを思う
昨日との交信が途絶えて
寄る辺ない
なまぬるい風に
輪郭を確かめる
季節がしみこんでくるのと
季節に染み出していくのが似ている ....
六月の風
どこかにする
子どもの遊び声
落ちてくる手にあまる垂直な陽射しは、
すべての影を限りなく縮小し 見放し
あるがままの姿を投影してくれない
公園の木陰に一人ぽつねん
ベンチの女が ....
青
車は停まり
人は進む
車は停まって
足は歩いて
手はそよいで
目は泳いで
思考は羽根をつける
時計を読み流して
ショーウィンドーを見過ごして
雑踏の中で溺れかけ ....
泣く女
泣く女は階段の下で
セーターを編んでいる
赤い毛糸と緑の毛糸で
哀れな女
シンデレラは靴の片方をなくした
シンデレラは靴の片方を探している
シンデレラは義足の片足 ....
昨日の昼ご飯
道ばたに咲く花
バカ騒ぎのパーティー
思春期の悩みごと
原油の流出事故
通勤中の出来事
何でもかんでも飲み込まれていく
巨大な空間
記憶の引き出し ....
逃げ水の中で魚が跳ねて
アスファルトが柔らかい
太陽は無関心な発光体
空はどこまでも遠く
僕は許されている
「だけど」 ....
僕の体重で沈むクッション
赤い残像が
まだ眼の隅にチラついている
暗転した部屋
何が起きたのか分からない
あれからときおり
たくさんの音が囁くのをやめたり
残像が色を取り戻したり亡く ....
たった一本の卒塔婆のように
不健康に伸びた櫓から
私はずっと向こうの火山を見守る
今にも昂りそうで昂らない
噴き出しそうで噴き出さないそれを
ひたすら見守りつづけて幾星霜も過 ....
ありきたりな時間を刻む
虚像は実像よりも鮮明
ここから貴女に手を振った
見えていないと知りながら
一生懸命手を振った
小さな子供が「こんにちは」と言ってくれた
貴女は脆い人 ....
大きな右腕のはさみを振り上げながら
あちこちで何かを話し合っている
静かな潮騒になら負けないくらい
その小さな声は辺り一面に満ちている
プチプチと話すのは毎日の事
今日はいい天気ですね
....
灰色の向こうから垂れた糸が
わたしのさらけ出した肉体をなぞってくれる
何千もの指が触れていくように
ひとつひとつわたしの感情に絡まって
蜘蛛に食べられてもいい
今はわたしなんか身動き一つ ....
なんでこんなにも
悲しいんだろ
なんでこんなにも
寂しいんだろ
溢れてはこぼれ
頬を伝う
あなに 別れ を告げようと決めたのは
友達とランチを食べていると ....
家猫をわざと家出させると彼女は帰ってくるなりとても興奮して今日見たすべてをわたしに教えてくれる
猫語だからまったくわからないのだけれど
でもなんとなく思うのは世界はおもしろいってこと
....
少年の頃
宇宙飛行士に憧れていた
今はただ
無重力が希望だ
特に夏は
マーキュリー計画最初の七人
オリジナル・セブンのジョン・グレンは
後年
高齢者の長期 ....
月の晩には誰も知らない小さな島が
沖の静かな呟きの上に姿を現わす
まるで忘れ去られた溺死の骸が
呼ばれて浮上したように
月の晩には紅い魚が青いヒレで
黒曜石の水をかき回す
眠る白砂が舞 ....
夕暮れ中央道にのり込んだ
明滅するテールランプが湿度ににじんで美しい
すべての初めては心を激しく呼んでくる
生きている
くるしいし高ぶるし泣きたくて笑いたい
センテンス
台 ....
二重三重山際かさなり緑なす比叡の山は今日も確かに
湖は遠ざかりゆく車上にありやや涼し大津の街は
昼食の時となりたり京に来て茶箱弁当という物を食ぶ
空曇り風は吹きて段上り息つきては ....
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