君が僕に触れた
その指先から、ほどけて

僕の身体に巻き付く
見えない包帯に
なってしまえたら、いい


息をする度に
ひらひらと揺れて

いつか、二人の匂いが
一緒になっちゃ ....
嘘で固めた
仮面を嵌めて
 
道化のように
飄々と
 
 
愛想笑いを
貼り付けて
 
表面上の
お付き合い
 
 
 
誰も仮面に気づかない
誰も嘘には気づかない
 ....
 流れるように月日は過ぎて
 あんなに恋焦がれていたあの娘のことなんかも
 色褪せて
 季節風に乗って運ばれる俺達
 君の暖かい声
 君の輝く瞳
 君の柔らかな頬
 すべて時の船にゆらゆ ....
心が切り裂かれ涙は星になって
君は呟いたね 
何を愛していたのだろうと

星になった君の涙を 
僕が一粒指で弾いて
未来に零れる流れ星に変えた

満天の星空は君の美しい涙
とめどなく ....
群れを成し
一点を見定め
乱れぬ様は
予め組み込まれた
仕掛けのように

波紋がやがて
飲み込まれ
波間の一部となり
消えゆくように

石瀬に映る影が
揺れながら
あとを追う ....
地下道で出会ったあの子は
身体の周りに薄赤い魚を
泳がせていた

着ていたのは薄い綿のシャツで
ローリングストーンズの唇 臆面もなく舌を
突き出していた

タンゴのリズムで十まで数 ....
夜が控えめな口で笑っております
ニコリと、いえニタリと
時折墨色のハンケチで覆い隠しながらも
笑うのをやめようとはいたしません
ウフフと、いえキヒヒと
奇麗な弧を描く口元に見惚れ  ....
花は散り
葉が開く
ベルの音
オレンジ

人に頼られ
人に好かれ
人が優しく
尊敬される

思わぬご褒美
永遠の薔薇を
重圧を感じる
裏切を封じる
斜めに降れば避けたかもしれない/その日の外出で

けれど
雨は真っ直ぐに降りて来て
アスファルトの先へと繋がれて行った
朝を迎える人々の傘と一緒に

*

肩は
それほ ....
  「アリュール」

{ルビ汚=けが}れならば五月雨川に流せりと誘ふその手は{ルビ梔子=くちなし}に似て


  「ブラック」

黒髪に触れし指先奏づるは重なる肌のあつき旋律
 ....
その日はとてもいいお天気で
猫ですらも暑そうだった
私はベッドにうつぶせになって
布団に体を沈みこませていた

そのうちに
耳に聞き慣れた音が忍びより
私を、不安に陥れる
また、やって ....
広島への出張なんて
もう馴れたと思ってたけど
今日は新幹線の
閉まる自動ドアが恨めしい
これから会議だっていうのに
君の涙の理由ばかり
そればかりが気がかり

  帰り道、駅までの路地 ....
取っ手は行ってしまった
バイクの音がかすれた墨汁を片足で飛ばす

埠頭の上でバケツは
なわばしごの底にくるまれた
千鳥足の洞窟を
掘り起こすため釣りをしていた

エンジンのトマトは酢を ....
「水流の果て」



鼓膜をふるわす深緑の葉音
幸せな季節のうららかな羽音

流れる

幾何学をまとった馬車の轍の下で
土の動物の思惟と哲学は時に溶けゆく

地球の宴には
 ....
東京、ぼくの見た東京
髪や服に滲みついた煙草と、酒と青春と


01/06/2007
イヤフォンは四六時中、質問を繰り返す
だから答えばかり眺めている
きみのいないところで
間違い ....
ピアノはなんともつれないやつ
思いどおりになんて
とうてい弾けない
僕の指ときたら
からまるか、つっかえるか、へたれこむか

あつかましかったのだろうか
だが、
初心者用にアレンジされ ....
公の場で曝けだす醜ささえも
愛おしいと思える今宵は
独り静かに息を吐き出して
おもむろに語りだそうか


なぜだか
何もかもを
手放した気持ちに浸かっている

理由も正体も分からず仕舞いなのに
いつも ....
道路を歩いていたらガムを踏んづけました
嫌だなあと思って靴を上げたらビヨーンと良く伸びました
そしたらプーンとパイナップルの香りが鼻にきたので
誰かがパイナップル味のガムを捨てたんだなあと思いま ....
過ぎて行った過去に
一体どれほどの意味があれば
僕らは満足するのだろう

降り出した雨に
本当はこれっぽっち意味なんて
いくら待っても無いんだろう

思い上がりに仕組まれた
鏡の中の ....
風薫る五月は様々なニュースを吹き流し
五月雨が哀しみをぽとりと垂らす

滲んでいった誰かの想いを背負って
命にきりきり舞いしているときは

ライオンが行ったり来たりしている様子や
猿 ....
ゆらゆらと揺れる
木々の間で
風に吹かれて
瞬きを思い出す
 
一つ、ぱちんと
音をたてて
瞬きをしてみると
風がそっと
頬にキスをした
 
 
吸い込まれそうな
深い、青の ....
五月は過ぎた
麗らかで活発だった季節は
あれほど気ままだったお前も
今ではわたしの膝の上で大人しく眠る
お前のやわらかな耳たぶに降る雨に
こうして一緒に濡れそぼりながら


お前は聞い ....
海に、まっしろの日記帳
背格好の似たおかあさんの夢で翔けて居られた
テニス、書道、鍵盤をひろう、イングリッシュ
きっとなにかをかなえなければならなかった
すばらしきうみのみなもとになるために
 ....

森には緑が生い茂る
その中のたった一枚の葉
その葉がなくとも
森は揺るぎないだろう
でも
その一枚の葉が
一枚の葉になるまで
どれだけ過程があるのだろう
その一枚にも
命が通っ ....
人生は刹那の繋ぎ合わせ
時間はただ
平等に人々に与えられ
平等に消えてゆく

刹那の時間に変わる世界を
瞬きすらも惜しみながら
隣り合わせた花の開花を
運命と名付けて
見逃さないでい ....
部屋にかかったカレンダーは
どれもあの夏でとまったまま
色あせて端が少しめくれて

蛍光ペンで記された丸印が
日に焼けてかすかに残りそれも
何の記しなのかはもう不明で

思 ....
先日、祖母の誕生日でした。
80歳になりました。
「傘寿」というらしいです。
「傘」の略字が縦書きの「八十」に見えることから、そう呼ぶのだとか。
来年は「盤寿」だそうで、その後も「卒寿」「白寿 ....
六月の薄い胸に
雲の痣が白く浮かび上がる

体育座りの女の子の膝のような
山々は
深緑にけぶる

出発するはずの電車は
死んでしまったかのように動かない

信号機はうなだれ

 ....
小学生くらいの
子供の
こころが透けてみえたら
大人はいうだろう、
ばかだな、
そんなどうでもよいことで、なにを、悩んでいるんだ、と。

ふりかかるひとつひとつを
わざわざ両手をひろげ ....
背中に刻んだ十字架を

背負って歩くいばら道

力の限り握り締め

噴出す血さえ

気にせずに

陽光ははるか彼方にあるものと

自信に満ちて進むけど

神は見えない手を差 ....
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