「涙の色は何色?」

と君が突然訊いたから

「透明なアオかな」

と僕は答えたけれど

「きっと濁ってる」

と言って君は俯いた


あの時

手を伸ばし遅れて

 ....
砂時計が流すことのない一粒の砂
悲しみを知るか

桜を手折る時、残された枝の揺らぎ
寂しさを知るか

発電と称して進むことのないプロペラの空回り
孤独を知るか

鍛えられていく鉄塊の ....
電線の上
羽を休める鳥の位置を
五線譜代わりの
英語ノートに記す

小さなスズメは八分音符
食い意地張ったハトは全音符
真っ黒なカラスは黒鍵のシャープ

車幅の狭い道路では
毎日二 ....
 重い体をひきずって
 約束どおり
 旅にでよう

 穏やかな風がふき
 暖かな日差しを浴びて
 一人で旅にでよう

 しがらみを全部
 ごみ箱に捨てて
 遠くまで飛べる翼をつ ....
もし僕がDJだったら
もっとカオルのことを愛せたのに

整理していた父の荷物の中に
見慣れた筆跡で
そう書かれた紙切れを見つけた

母は屈み込んで
机の下にある二箱目のダンボー ....
夜の九時は風呂のにおいがする

できちゃった子供を風呂に入れる父
かこん
ざぱん
かこん
かこん

若い母、太った
高校のときより太った

写真をみてる
テレ ....
ぬるい水につかって、夕方の匂い。
もう、あがりたいのに、
冷たくなりそうで、まだあがれない。

ふやけて、
子どもに戻っていく。
ふやけ終わって、
もう変わらない体にあまえて、
まだ、 ....
私は

横顔しか
見ていないよう

それは
あなたも同じだろうけど

横顔だけを
見せていたい時と

横顔だけで
すべて
見通される時と

何にしろ

両手は ....
 この目で見てきたもの
 この胸でかんじてきたもの

 そして、僕なりに答えをだしてきたもの
 それは、誰にも犯されないものだ

 間違いはあるだろう
 誤解もあるだろう

 生きる ....
シロナガスクジラの一家が
泳ぎ回れる程
頭の中は巨大だった

目の前は
人いきれで
ぎゅうぎゅうの
すし詰め状態

心が
あっぷあっぷで
溺れる前に

お風呂を
すみれ色で ....
たぐり合う気配
絡む視線
ゆっくりと

開きながら
後ろ手に
閉じる世界

もっと
もっと
深く
漂うまで
クタクタと

薄皮は剥がされ
半個体で眠る
君の腕の中

 ....
君はゆっくりと翼をひろげる

まだ怖がってる様子の君に

僕はそっと囁く

「君なら飛べるよ」

君はどんどん落ちていき

とうとう地面にぶつかった

傷だらけの君は静かに振り ....
時は無常にも過ぎてゆきますゆえ
おおきな流れを知って
現在地の私を知らなくてはなりません

息を静かにして
痛みの在りか
涙の在りか
かなしみの在りか
在りか
ひとときの微笑
つた ....
触れ合うためにあるものを
手、と呼ぶのなら
私はいらない
私には
ない

たそがれは穏やかに
その時を待つ
眠れない暗闇と静寂は
心を熟すのではなく
怯えさせるのでもなく
た ....
なくのはオヤジだ
エンキドゥ
おまえじゃない

音の届くところには
光はない

光があるところには
ことばの木が茂り
キッコロ コリララ
生まれたばかりの
声がする

 ....

呼吸を停止し
心臓を動かすことも止め
脳もまた働かせることを止める事である


草木も死ねば土の上に倒れ
鳥も死ねば土の上に倒れ
魚も死ねば海底に倒れ 
あるい ....
何か空腹を満たすものはないかと
見上げた空は午後だ
トンビがビルの屋上で踊る


薄色の羽根が舞い散る
猛禽が食らっているのは鳩


同族の羽根の降る中
広場ではポッポーとのんきに ....
草むらを分け入ると
シジミチョウの群れが一斉に飛び出した
散りじりに空へ舞い上がる
小さな薄紫の花びらよ
先を行く 私の体にまとわり付いて
軽くなる体 ここは、春の国?
頬に触れる一匹の  ....
夏の終わりをみんな
惜しんでるようだけど


おいらたちに
まかしときな


スッパイ夏つめこんで
あなたのコタツに届けます!


(2005深秋、解禁予定)
その大きな手は
いつもどこかにあって
5才の目には映らない

小さな手で
探し当てたのはシャツの端っこ
まよい子が迷子にならないように

届くはずがないと
街の底から見上げれば
と ....
シャワー派である。断然。夜よりもむしろ朝。

湯船につかっての〜んびり、というシチュエーションにはなかなか遭遇しないし。基本的にせっかちだし。ふやけちゃうでしょ?そんなことない?

お風呂でm ....
あなたの方で風が吹いている
わたしはわたしで知らないことばかり捜している
秋がそこらじゅうで溶けはじめるとき
空き瓶には夕くれが満たされるとき

幾つもの詩を繋げるようにして
わたしはあな ....
こころの機微をおひとつ、どうぞ

かわりに今後もよろしく、どうぞ


わたしの背後のあれこれの
言い尽くせないあれこれの

混じり気のない よろず味



恥ずかしながら
 ....
なんでこんな駄目な自分の周りに
なんでこんないい奴らが
いてくれるんだろう

落ちるとこまで落ちて
今更それに気付くなんて
どうかしてるよな

普段は気が付かなかった
あいつらの存在 ....
くれないに
染まるさえずり
さそわれて
こぼれ実、赤く
影は、はばたき
長方形の抜き型に
収納されるための
退屈な半回転運動を
人間時々猫の惰性で
永久に繰り返す
天神様の 秋祭り
出掛ける空は 青高く
吹く風 先っぽ 心地良い


今日はおめかし リボンのついた
私の好きな 赤いワンピース

隣町の 天神様まで
お姉ちゃんに 手を引かれ
お ....
 去りゆく季節は せつない
 迎える季節は 夢みがち

 それぞれに抱えている 命の灯火
 たとえ それが消えてゆくうつらなものでも
 たとえ それが意味のない土に帰るものでも
 それは  ....
あの日 は もっと
懸命過ぎていた ような

だから
とっても よく覚えているわ

風を




気のせいかしら

いつの間 に

気のせいかしら

和らいだここち  ....
あいつは 背伸びするのが実にうまいんだ
さりげなく それでいて 確実に
頭一つ分抜き出る

なかなか努力の芽が出ないからって
そこらのメガネ君が真似してはいけない
目立ちすぎて白い目で見ら ....
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