あなたは私を撫で
「猫みたい」と言った
私はあなたに撫でられるのが好きで
ただなんとなく聞いていた
あなたには私より愛している人がいるの知っていて
温かい手が伸びるのを待 ....
線路の上の林檎のような
男と女の営み
線路の上の林檎のような
私の心臓
絶頂はそろそろかたかたと
思わせぶりにやってくる
線路が震えるだろう
それは林檎に向けて必ずやってくる ....
自殺が話題にされると
じぶんの引き出しに
自殺が入り込んで来る
まさかじぶんが
そんなこと
今は有り得ない
この実感が曖昧なことに
しばらくして気づく
自殺よ、忍び寄らないで
....
{引用=
飲まなかった眠剤を
ひとつぶ ひとつぶ
湿った土に埋めて
紫がかった芽が見えてきた朝から
八年間くびをそのままに待ち続けたら
柿がなる
たわわに実る柿の実は
わた ....
花びらを口に含む
美しさを
儚さを
自分のものにするため
理解するため
永遠の貝がら
柔らかく張りのある
食べられることもなく
散りゆく姿を
傍観しているのは
狂い咲きはじめた ....
言葉を、さがすのです
くろうしながら
伝えるのは
もどかしい けれど
本当に言いたいことは
行の間や【。】のなか
星の間のくらやみや
言葉のすき間にかく ....
いますぐに気が付く
僕らをつなぎとめるものは
余りにも脆いものだった
届きそうで届かない
このもどかしい感覚は
味わうだけでも嫌だった
僕はいつも笑っていようと思っ ....
かつて心を置き去りにした土地で
足元を掬われないように前へ、前へ
敷き詰められた岩の隙間で浮かんでいるのは
汚れた発泡スチロールの欠片ばかり
忘れられたオモチャの残骸は
ひきつった笑顔を崩さないよう ....
「年齢確認が必要な商品が含まれています」って
ロボットみたいなレジが言う
わたしは9歳でレイプされ
11歳で最愛の人と出会い
4年間一緒に暮らしたあと
つい先日別れを告げられました
わたし ....
君の願いは僕の夢
君の喜びは僕の楽しみ
太陽が与えてくれたものだから
小鳥が聞かせてくれたものだから
君の泣き声は僕の涙
君の怒りは僕のいたらなさ
月に落としてしまったもの ....
微笑む君に
そこにいるもの皆魅了された、
君の言葉は
柔らかな光りに
反射して銀色のモビールのように
中空をキラキラ漂い
君のまなざしは
柔らかな光を讃えて
その場にある
生 ....
プリズムを
とおしたひかりは
なめらかな
グラデーション
うつろう色みを取り出して
あか き みどり と
括ってしまえば
そのなめらかさは失われ
大雑把さに囲われる
そん ....
希望は与えられている
悲しみは与えられている
ショパンを練習している
テンポの変わるところが
音がほどけてしまってながれない
おなじところで音もわれる
灰色の街で
....
鳥の飛ぶ
銀のピアスをもらったよ
こいつったら ときどき
姿をかえるから
翼を広げてとびまわる
だから、耳をひっぱったりして、
やんちゃな赤ちゃんみたい
でも、ありがと ....
陽の光が徐々に弱まり
空気も冷たくなって
そろそろ冬が来るのだと気付く
一人に慣れている私でも
この季節は人恋しい
人混みに紛れてみても
近くのコンビニの
おでんを求めてみても
寂しい ....
僕とは繋がっていない
世界中を止めどなく
流れる/溢れる情報なんて
信じられない
新しいセオリーなんて
存在したこと
あったのだろうか
すべては既視感に
満ちていて
それは瑞 ....
言葉を家へ持って帰る
言われてしまったことを
言わずにおいたことを
持って帰っても
家の人には言わない
代わりに別のことを言う
家の人が安らぐことを
自分の気散じになることを
そうする ....
虚ろな限界の夢の端で
暖かい幻を見つけた
曖昧な明滅も、甘苦しい溜息も
嘘のように、貴女が狂わせていた
古い夜に、温い雨が降り続く夏の肌
幻よりも歪な、ほろ苦い香りに惑わされていく
....
呼吸がしたい
本当の呼吸がしたい
本当の呼吸って何だ?
腹式呼吸ができてる状態のことだろうか
それとも公衆を気にせずにふがふがと至近距離で呼吸することだろうか
わからない
わからな ....
鬱蒼とした樹木の間から
黒い月が煌々と光る
青い空が見える。
しかし、決して昼間ではない。
ここで飛ぶ鳥は梟であるし、
地面には野鼠どもが
異様に光る目をこちらに向けている。
自 ....
はだかになってわたし
まっくらなへやの床をだきしめた
おなかの上に寝そべる闇を
なんとかしたかった
降りてくるよるに
カーテンをひいて抵抗したけど
時間制限があったらしくて
ひいやり ....
その石はまるで子宮のように
あの日 交わったときから
じっと守り続けた
ゆだるような潮風からも
氷点下の吹雪からも
じっと路傍で待ち続けた
ただじっと砕かれる日を
穿たれる時を
自らが ....
もしもうひとつのパラレルワールドがあるのならば
その世界の僕はどういう人生を歩んでいるのだろうか
もし幸せな人生を送っているのかな
僕の人生と取っ替えっこしないかい
君が死ぬと ....
回転を少し止めた朝は
おだやかな
エメラルドの生地で
ひとつの心臓もない
白い砂床に
波のつぶやきを聴く
貝の肉のような
とりとめのない柔らかさに憧れ
ギリギリと角質の擦れ合う ....
冬が背中のうしろまで来ている
今夜の雨は仄かにぬるく
地上のものの体温をすべて奪う雨ではない
むしろ
ささくれ立った地表を磨き
朝が来る前に
つるりとした球体に変えようとしている
古びた ....
{引用=死して尚も取引される彼
死を回避しながらも墓石に値をつける詐欺師の群れ
安らかな終焉にまだ続きがあったなら
それでも彼は穏やかに旅立っただろうか}
シャーマン達が今日も街中で炎を焚 ....
大阪を発ち東京に向かっていた
車窓の闇のせいで
一瞬夜のような錯覚を覚える
これは朝の暗さなのだ
車内の匂いがまだ人間に撹拌されていない
車内の明かりの鮮度に目がなれてゆく
車窓の ....
僕は夢想する
雲一つ無い青空に
ぽっかり浮かぶ黒い月を
僕は夢想する
鬱蒼としたジャングルに
飛来する原色の鳥達を
僕は夢想する
ジャングルの樹々の間を
悠然と歩む ....
好きな花束ねて 花束作ろう
好きな花束ねて あの子に贈ろう
迷いの白と気負いの赤を
一緒に束ねて あの子に贈ろう
波に打たれて もう涙も流せぬ
そんな人の 心を暖める花束
大切な誰かに ....
眠れない夜の窓際で
二重に映る折れそうな月
見つめるわたしの虚像が屈折して
見知らぬ冬をさがしている
ひときわ風の音が強く思える夜は
肩の震えが止まらないものだ
ハーパーを湯で割って
....
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