介護をしている
たくさんの利用者様に囲まれて
職場の仲間と一緒に
私情をはさんじゃいけない
僕のつらさは
利用者様に伝えちゃいけない
でも
僕も人間だから
ほんの少しもれてしまって ....
雨は降っているのだが
戸の外には何も聞こえない
雨の音も聞こえない
雨は降っているのだが
雨の音が話し声を吸い込む
雨の音が足音を吸い込む
雨の音が溜息を吸い込む
雨の音が泣き声を吸 ....
井の中の蛙を掌にのせて
珍しそうに眺めながら
「大丈夫だよ」と彼女は
うわのそらでつぶやいた
程好いぬくもりにとろけて
居眠りしていた蛙は
「大丈夫だよ」という言葉を
うっかり「好き ....
朝という朝の綴じ目があいて
空が少しずつ明度をあげていく
鳥と電線と鳥と蟻たちと
まだ鳴き声はない蝉としかいない
ウォー
アイニー
声には振り向くこともなく開き続け ....
ほめられるとすぐ
ちょうしにのるから
あんまりほめないでね
でもたまにはほめてね
そくばくはするのも
されるのもきらいだから
あんまりしばらないでね
でもたま ....
目が合った
懐かしくて憎いアノ人と
すれ違ったとき
目が合った
アノ人を呪ってる自分と
いつになったら許せるのだろう
合わない歩幅を
必死に合 ....
あの丘には海がある
風にとけたあなたが ささやいていった
赤い自転車から 深緑の海を見上げる
深緑の糸かせから 糸の先を手繰りよせる
右腕に 螺旋を描いてゆく海の糸
ひんやりと
深緑の ....
色に例えるならば
それはそう黒に近いだろう
最も濃い闇を連想するような
どすぐろい色だろう
そこには一切色彩は存在せず
どんな色も黒に侵食されていく
白雪姫VSシン ....
誰もが歩いている
気がつけば
長い
長い道を
様々な
複雑な
まっすぐな
それぞれの道を
歩いている
ゆっくり進むも良 ....
それは樹齢数千年の老木のように
ごつごつと皺くちゃな
堅い表皮を持っている
アルミニウムの廃物で作られた
それは機械でもなく樹木でもなく
しかし天を目指してすっと立っている
その足 ....
カミナリが鳴ると
暗いお外は夕立のおと
リビングのテレビは
昭和四十年代の時代劇
はんぶんに切ったメロンを薄い皮にして
セブンスターの吸い殻をそのなかに捨てた
暗い ....
ねぇ、そのまま。
目を覚まさないで聞いて。
あたしたぶんきっと、
きみのことが、
だいすき。
いつも軽く言ってるけど
本当は無駄に動揺してる
気づいてないでしょ?
たぶんも ....
あんドーナッツを
ためて、ためて、投げあげて
放物線の落下する地点まで
走って、セバスチャン
つぎつぎと走って
受け止めて
全部くちで
そういう無意味な訓練を
たくさんして
*
....
まぶしくても欠けていた
陽気なあなたの翳りに
こんなにも離れてから
気がつく、それも
霞んだそらのむこうで
雲海に月昇る
月はまるで僕等のようだ
月光が僕等に平等に降って
くまなくを満たしていた
僕等はキスを試みたけれど
太陽の下でも出来たこと
雲海に月昇る
月光が ....
両の耳から{ルビ光素=エーテル}をそそぎ
彩なす色虫が交響する
雨の染む夜 騒がす静か
爪の生えた石ひとつ
白電燈のプラシーボ
唖として見つめるアルビーノ
花鳥の使い さよならいつ ....
友人のS氏は寿司屋の店長さんで
毎日、寿司を食べている
メル友のAちゃんに、その話をしたら
羨ましいなあ、寿司なんか年に一度か二度食べに行く位だもん
私もそこで働きたいと仰る、
確かに寿司なんて、 ....
夜みたいなひとだね。
あたしはあなたという
ひとりの人間を
しっかりたしかめたい
固体として概念として
あらゆるあなたをみつめたい
そして許したい
なにもかもを
まるの中でゆられて ....
星が死んでゆくとき
個人が来て
、なぜ言うのかしら
欲しい欲しいください
して欲しいください
して
大人の真っ只中で純水を流そうと
躍起になって泣けば
汗ばむ肌はいよいよおかしくな ....
人は忘れる生き物だから
私は今 精一杯 貴方を愛すよ
口付けて抱き合って
貴方を想って泣いて泣いて泣いて
貴方に想われて泣いて泣いて泣いて
人が生きてるって尊いって思う
等身大の自 ....
真夜中にとめどもなく
浮かんでいる
多層の意識の吐露
舞台は悲劇と喜劇を目まぐるしく映して
時計の針だけを朝に近づける
虚ろな時間さえ
真実を想って
眠りに誘われ ....
やっと唄えるようになった16人が
唄った歌は
たくさんの人に向かって
中空を漂っては消え
漂っては消えてしまうので
なかなかたくさんの人たちには届かず、
僕たちはもう一度中空に向かって唄っ ....
西側の窓から流れ込む水の風が
産毛を心地良く逆撫でしていく
ソファに横たわって目を閉じると
耳元で涼やかに風の水が囁く
Come Together から
Let It Be へ
i ....
カミナリが紫白いろに夜を暴いて
さなぎのなかの
生物を見るような緊張を散らした
あなたのことをしばらく想う
宇宙船にのりこんだ
おおぜいのなかの二人になっていた
....
いらないんだろうか 私
と言う 不安げな顔
いるもいらないも 元がね
無くなるかもしれないんだし
と から元気全開で労働
誰にも言わないで
言っちゃいけないよ
そう言ったのに
どこ ....
岩本町駅は秋葉原駅のすぐ近くにある
けれどアキバ地区の裏にあるから
いまひとつ道を覚えられない
乗り継ぐ時は一抹の不安を感じながら
未だ見知らぬ街を抜けて
岩本町/秋葉原駅を目指している ....
私の心臓は
いつもパニックを求めてる
あの冷たい深海に溺れる感覚を求めてる
今日は気温が18℃もあってあっつかった
電信柱から汗がつたって
水たまりが、また少しだけ大きくなっ ....
はんぶんの優しさをください
背中の割れた
脱け殻でもよいので
*
すいかの臍に
耳をあてれば
野菜であるという宿命を
粛々と背負う
胎動がきこえる
まだ生まれてもいないの ....
神の妨害がゆるされるのなら
この身を捧げることなんて
鉄と綿を天秤に架けることくらい
結果はわかっていたことだった
地下鉄の階段から見上げた
地上の灯りはとてもましにみえ ....
くり返し聞こえる
ずっと耳の奥
石をたたく水の音
ふうわりと浮かんだ陽炎を
あなたの肩越しで見ていた
線香の、つんとした部屋
気管がくるしいのは
意識を奪われているから
ゆるんだ浴 ....
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