プラスチックで出来た心臓はいつだって鏡に映らない
スニーカーの底に穴が開いていて、覗くときみが見ている
怖くて水溜りを踏めなくなった
プラスチックで出来た心臓が唸っている
引っ掻き ....
線が
思惑に触れて角度を変える
その鮮やかな反応
点々と落ちる
幾つかの俗情を振り払い
歩き出す私たち
今日もまた
背の後ろで翻った背に
声を掛けることさえできず
握り締めた ....
耳が捉える音ばかりでない
今流れている音はフシギ
僕にすっと入ってくるんだ
透き通っているくらい心地よい
軽い 躍る ふわり
その割にぎゅっとくる悲しみ
五段かいだ ....
流れゆく季節の中に
打ち捨てられた想い
『 また、逢えるから…… 』
そう言って笑った
君の白い歯
お互いを忘れない
再会を誓い合って
僕らはそれぞれの街へ
帰っていった
距 ....
駅までの15分
キンモクセイの匂いが
日に日に濃くなってゆく
秋の日差しは暖かい
暖かくて気持ちがいい。
3ヵ月なんて嘘みたい
....
友達と遊んで別れてひとりきり
空はとっぷりと日が暮れて
すっかり遅くなった帰り道
お家に帰りたくないよう
きっとお{ルビ継母=かあ}さんに叱られる
きっとお{ルビ継母=かあ}さんは怒って ....
ニンゲンは幸せだ
猛暑の代名詞になることもなく
熱い息をイライラ吐き
しばしば彼らを罵倒する
(やつらは実に暑苦しい
いっそ冬に産まれてくれればいいものを)
ニンゲンは幸せだ
数 ....
都会は公園が狭い
そこらかしこに人々が置き去りにした言葉がころがっている
威力のない不発弾ばかりだ
今は放射能だかセシウムだかで
こだまのように響いていた子供たちの声もあまり聞こえなくなっ ....
金木犀をトイレの匂いと感じるほどに
ぼくは素直に毒されていた
ちいさなオレンジの花をあまり綺麗だとは思えないほどに
ぼくは自我に満たされていた
撒き散らされる匂いを
....
赤い月・青い月・黒い月
月はいろんな想いを映してくれる
わたしの心を捕えて放さない
あの月は魔物……
赤い月
男の背中ニ 爪ヲ立て
傷口から滴ル血で
夜の月ヲ 赤く染め ....
十月の午後の坂道は
陽が傾くほど急になる
呆気なく転がり落ちていく
未消化の棚牡丹と
未開封の地団駄
十月の坂道の午後は
追い縋るほど暗くなる
勝手に暮れなずむ
未完の ....
岬の突端にある一本杉
その根元には猫の額ほどの草原が
崖下に望める港町は
なだらかな坂のある町で
火の見櫓以外高い建物もなく
斜面にへばりついた小さな
小さな灰色の箱の集落
漁船が停 ....
まどろみの中で
あなたの体温を感じる
猫みたいに
ちょっと足先を
太ももの間に触れる
気がつくと
あなたの脚に足先は絡んでいた
胸に置かれた
右手には
あなたの左手が ....
陽気なハリー
今日も命を削って商売繁盛
そして、sold out!
可能性は宇宙よりも無限
膨張していく宇宙よりも遙か
遙か背中を追って
{ルビ僕等=ぼくら}は{ルビ久遠=くおん}と疾走していく
広大な海原に踊る大星雲
幻でもない想い人たちが
明星より ....
遠いところから吹いてきた
風を感じている
静かな部屋
月光が射しこんで来る
月を見上げている僕の姿は祈っているように
見えているのだろうか
忙しい日々にかまけて
貴方と向き合うこ ....
本は絶対に怒らない先生
解らないのを怒らずに
読み返しさえすれば
何度も根気よく教えてくれる
だけど絶対怒らない代わり
間違っていても正してはくれない
それは生きている先生じゃないと
....
あの情に流されない無垢で無口な壁が好きだ。
いちびる陽日に怯えることもなく
時間にも逆光していくかのような、あの壁が。
ユゥアマイサンシャーィン マイオゥンリィィサンシャーィン
『曲者!』と 座敷わらしを槍で刺し あれから彼女 音信不通
マンションの隣の部屋は家賃安 やたらめったら自殺ある部屋
驚いてもらえぬ私 幽霊をはじめて5年 まだ未熟者
気がつくと起き ....
ある時私は翼が傷つき
二度と飛べなくなってしまったが
水面に落ちたので死ぬことはなかった
でもその日から
私はカワセミの標的となってしまった
私を殺しに降下してくる
七色の体を持つ美し ....
やんやんやんちゃに のこのこゆきぐも
すてりんころげた おなかは ぐーぐー
ちいさなつめたい おてて と おてて
ほしのしたに おちちゃった
みつけて ゆきだるまあん いたいの ゆきだるま ....
先入りの名付け親達。
造られ半分、何かが欠けていく気がしていた。
絆創膏が、絆創膏ではなくなった日から
どことなく世界が
意気地なしになったような気がしている。
育児を失くした名付け ....
ピュイ、ピュイと鳥が鳴く
大潮の時の潮の薫り
夏に空から降る笹の音
雨降る前の土の薫り
田んぼからする謎の音
思い出すとすべてが美しかったのだと思う
猫の通り道
トカゲの消えた石 ....
肩上から指先にむかってながれる一本(くだ)を
ふき こすり たたけば
装置はあやしく
黄昏もする
段々畑にくみあがる椅子に 沈み
ホールそのもの
の
しずくのような響体構造が 浮く
....
道端に 血溜りがある
猫の仔でも轢かれたのか
血溜りがある
街灯が ぽつぽつと灯る
さびしい通りに 風が吹く
ふと 生臭く感じて
しばらく息を止めていると
虚しいよう ....
{引用=秋空に寄りかかる鱗雲が
開け放たれた海の際までずり落ちて
きみが咳込みながらズボンを降ろすのを見ていた
秘め事はスライドガラスに貼り付けて
食べきったトマトの缶に詰めてある
きみと
....
あなたと出会って
瓦礫だらけの心の中に
少しだけ光を見ました
涙の雨がやんで
少しだけ
未来が楽しみになりました
嘘つきなニ ....
広い道のうえには
太い夜空が延びていた
商店街を脇にそれて
焼き鳥屋で腹をみたして
通りにでると風
風が吹いていた
外灯がまだ優しくなかった
宇宙基地に取り残 ....
差し障りのない罪を
いくつも背負い込んで
眉の間に深い縦皺を寄せて
のうのうと生き長らえてきた
脱ぎ捨ててもいいような昨日を
ご丁寧にたたみ込んで
誰が見てもわかるように
不幸の ....
次第に人との距離を感じ
次第に人との言葉が減り、
次第に人と会う機会が減り
言葉は外で無く内に向けられ
言葉は形が無く反芻できず
言葉は脳髄の中で霧散し
色は次第に発色しなくなり
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597