朝は怖くて歩けなくって
昼はため息堪えるばかり
夜はひとり明日に脅える
そんな毎日が続いていっても
春はほろ酔い桜を見上げ
夏は木陰でひと息ついて
秋は紅葉の手のひら繋ぎ
冬は柔 ....
講義 ?
何かを学びたければ
世の中の一番動いているところへ行きなさい
すぐに現場へ足を運びなさい
保護上の位置づけをうまくとらえきることのできない
対象□■防衛側の国家内
整 ....
よく泣いていた
眠るまえ泣き
屁理屈に抱かれて眠った
それを繰り返していた
そうしているうちに
かなしみと添い寝できるようになっていた
泣こうとしたらいくらでも ....
センスが凄いんだよ と嬉々として言う
十九歳の甥は トロンボーンに夢中
目標にしている人もいるらしい
学校時代は吹奏音楽一色で
働きながら地元の楽団で演奏するという道を
まっしぐらに歩んでい ....
(な)
なにもない
なもない
なのはなさいていた
ほかのなにかに
なりたくて
なりたくても
なれなくて
ならなくて
よかったと
なまえもないのに
さいてい ....
零時近くに 帰宅
気づくと ゴゥゴゥといびきをかいて
眠っている
手をのばせば ふれあう
距離にいる N
Nは ってくれない
あたしの感じやすい
ほこっとしたおやまの先端 ....
ばあちゃんを乗せて
じいちゃんを見舞いに行く
ゆく道の傍らに
塀越しの柿の実が鈴生りだ
ひとつぶずつに
千年と千日の
日差しがはね返る
小太りの猫が座ってたじゃないか
毛の ....
誕生日を祝ったりする
成長段階を経てしまえば老化して行くだけなのに
自分の生まれ出た日を記銘して再来させる
これは不思議な慣習だ
去年の今日が今年の今日でないように
刻々と老衰に向かう肉体も ....
配管の網の目に棲む
浴槽にためる湯が 水位を
どうするのかを見ている
うらなりの子のように産みつけた
執念をよびさます
学くんに貸して戻らなかった鍵盤も美和子さんにそっとわたした恋文 ....
淀んだ排水溝の蓋を閉めるように
職員室のドアを閉めたら
薄暗い廊下をすり抜けて
警備員のおじさんとさよならをする
すとんと腰をおろして
バッシュの紐を結んでいる
少し前に出た君が
無 ....
息も乱れ、瓦礫の町を彷徨えば
徒(あど)なく見あげる空は燃えさかり、
逃奔する馬、羊、火を吹くF‐35ライトニング?
目視の肩撃ち式スティンガーに撃墜された、
――あれは有翼の機械獣。
や ....
頭のなかは
君との
卑猥なこと
だらけで
回想
妄想
幻想
繰り返し
あのとき
あそこをこうして
弄んだり
上に乗って
腰をくねらせたり
しまりがよければ
快感突き抜け ....
浄化する現実路線
聖なる賄賂
信じて舞う
瞳を閉じて ひらひら 揺れて 恋
きらめく滴 雪は溶け 水
誰にも知られない部屋に
内側から閂を掛ける
時計の針 ....
終わりたくない昼と
始まりたくない夜が
西の空で見つめ合っているような
そんな色だった
手放したくない光と
受け入れたくない闇が
西の空でせめぎ合っているような
そんな色だった
思いがけない桃色 ....
誰も
事が明瞭になることを望まない
夜更けに
蝋燭の灯を囲んで
妥当な食事にありつく
静かな眠りにつく毎夜ごとに
吐き出される
それが獣の吐息であっても
夢の中では人の姿をしている ....
蛍光灯をふたつ
そっと消し
薄明かりの部屋 ひとりホットティー
天井の照明器具に
小さな電球のある{ルビ所以=ゆえん}を知る
化粧鏡に反射するオレンジ色した豆電球
その鏡が ....
早いもので
もう
師走ですなあ
スキンヘッドに眉剃った
袈裟着た師が
猛ダッシュで
次々と
どぶに落ちますわなあ
ところで、わたくし
二十歳で童貞を失ってというもの
女川を流れ ....
なごやかな席で
「あのときは大変だったねえ」 と
しみじみと 目を細めて振り返る くるしみは
あなたがあなたゆえに 与えられたものであって
それは言い換えれば権利に等しいものだ
故 ....
蜂蜜色に染まった
窓を失った私に
クリスマスの
オーナメントの一つ一つが
あかんべをしている
。。。気がしている
街で流れる
ジングルベルの
ハーモニーは
楽しげで
獰猛な捨て ....
冬にひとりだけ生き残った蚊のように
殺がれていった私の身体に
悲鳴は一瞬で消えてしまい
なだらかな夕日が
両の眼で揺れる
ヒステリックに哀しみをぶちまけ
涙を流さず嗚咽だけを漏らし
....
会ったことがあるようなないような、この男の醸し出す雰囲気には懐かしさを感じるものの、詳しいことは何も思い出せないでいる
黄色いプールに服のまま入る
べっとりと何かがスカートに張り付いてわたしのふと ....
すれちがったトラックには
零れるほどのいのちが
ひしめいていた
通勤車両ではこばれる
ひとみたいに
いっせいに体をゆらしていた
くろい体毛
くろい顔
....
十二月の今宵、それは生まれる
光りを放つ発光体さながら
何かの対価としてではなく
忘れていたすべてを思い出させる核のようなものとして
すでに街は、待ちわびる螺旋の中心を軸に動き始め
....
自分、行きとるか
真面目に働いとるか
まあ、僕の事やから
きっと転職してるんやろう
今の仕事はどないや
こっちは毎晩残業やで
残業代もらえん会社で残業や
奥さんと子供、大事してるか
今 ....
親友だと思っていた友人に
押し付けだと散々な言葉で
床に投げられた
当たっているのか
おもいやりとおせっかい
相手の気持ちに無知で
ひび割れたおせっかい
本気で話すことをため ....
雲に覆われた
夜空を見上げる
なにも考えずぼーっと
空の深さが分からなくて
ただ眺めている
その空を区切る電線と
夜空にぼんやり浮かび上がった鉄塔
風がさわさわと渡る
僕は ....
その唇で
言葉のシャボン玉を
際限なく繰り出しては
あらゆる色と形を
貪欲に飲み尽くす
その唇で
まことしやかな嘘を
丹念に織り成しては
曖昧に微笑んだ後に
こっそり赤い舌を ....
数日前
ちくちくと気になり
次の日には終日気になり
有料の食事を泣きながら食し
翌日新たなそれの子が横に現れ
後日、親子共に成長を遂げ、
合併し
今に至る。
女が男に草原の髪を置いていた
男は女に彫刻家の手を置いていた
爆発させ
時間をとめ
風にふっ飛びそうになっていた
女が男のしたで海になっていた
男は女のせな ....
『意匠作成中』
そうステッカーを張られた真っ白な看板は
街の夜の中ライトアップされて
自分を飾る色を今か今かと待ちわびる
何を描いてもいいよとブラシを渡されたけど
もとより絵心なんてなく ....
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