旅だとか
なんだとか
の前で
ぼくは無性にくすぐったくなる
ここは星がきれいだ
ただ、それだけでよかった
くちにする言葉なんて
くだらないことばかりで
ハンドルを切り損ねた ....
君の夏の中に
向日葵は咲いた
去年よりも太い茎で
大きな花を咲かせて
はっきりとした向日葵は
これからしおれてゆくだろう
けれども君はそれを
悲しんではいけない
それが自然なのだか ....
涼しくなった夜を迎えたら
わたしはもう 必要ないの
暑かったから 一緒にいられたの
強すぎる 日差し
ゆらゆら揺れる 街の熱
冷めない 熱帯夜
何も ....
瞼の向こうはいつも雨…だから「ひとみ」のナミダ誰にも見えない。
別れ際に用意したナミダは嘘っぽくならなくて少しホンキ。
磨りガラスにナミ ....
滴がポタリ
雨が降ってきた
新しい命が
又一つ芽吹く
小さいからつい
甘やかし過ぎる位に手をかけ
失敗は許されないから
厳しい教育が出来ない。
大切なもの
失うと二度と
手 ....
きみのあいが何故か痛い日。
あたし達は未熟だからね、
(上手なやさしさの提供の仕方がわからない。)
不器用ではないのよ、あたし達。
誰でも最初は戸惑うものね。
(教科書に載って ....
あなたはわたしのことを
とりあえず丸呑みにしてくれていた
易く消化できる部分は
笑いとともに吐き出した
易く消化できない部分は
嗚咽とともに吐き出した
おかげで
易々と呑み込むことが ....
「目にはさやかに見えねども」
二の腕に日向の匂い残りおり 気付けば日暮れ夕風の立つ
秋来ぬと告げんばかりの午後六時 風鈴の音も耳に違へて
水を踏む頭上に蓮の花が咲く ....
コッペパンを3分の1
残して 思案する
枝豆とチーズを少し
小さい親指で ぎゅぎゅっ
と 押し込んで
可愛い子 口角が少し上がっているね
『よくできました』◎
「ちゃんと食べ ....
遠くには浮かぶ朱色
それに染まる無垢の白
太陽は目を閉じて
月はまだ眠りの中に
始まることは辛く
終わることは切なく、寂しい
揺らぐ夕映えに金色に
儚く日々を追う
いつか、泳ぐ ....
スタジアムへ行こう 野球を観に
ルールなんて知らなくていい
メガホン叩いていればいい
踊り踊っていればいい
僕の好きな野球 君と一緒に楽しめればいい
会えなくて辛い夜は ....
やめたいと言うと
やめちゃいなと君は言う
そんなに簡単じゃ無いよって言うと
いつも簡単だよと返される
いつか君は僕をやめるのか
いつも簡単みたいだから
とても恐ろしい
一先ず君の胸に耳を ....
夏がゆっくり 歩み
晩夏のうしお
ひたひたと
我が胸を濡らし
透明な羽根 輝き
つくつくぼうしは
夏の最終章を寂しげに歌い上げる
木々の圧倒的な緑の先に
秋の気配は
そよぐ風 ....
雨のなか
途切れた呼吸が
虫のように
ぴゅうぴゅうと
もれる空気音は
太陽の沈む音のようで
酸素ボンベのようで
どのみち消えてしまう手首に
そっとくちづけした夜 ....
僕が不安だと
君は 時折思い出したように呟き
そっと 僕の袖を掴む
自分の感情と 人間の形の不確定さに
君は押しつぶされそうになって
言葉だけで繋ぐには 大きすぎる想いに
僕は
....
君なら
しっているよね
赤い鳥居をくぐるごとに
空気
ひんやりしてゆくこと
しっているよね
お城の石垣にのぼる理由
そこから落ちるときの
一瞬の長さ
しっているよね
....
真下に拡がる海原は
厳しく削られた岩の入江を包み、
とうに半世紀を過ぎた
今しも汽笛の鳴る港へと
煌めく{ルビ漣=さざなみ}を寄せて
夏の賑わいが恋人達とともに
古い桟橋を大きく揺らし ....
さよなら、さよなら、
記憶を解き放って
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空
枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている
....
浴衣着た
乙女の数で
気がついた
今日は
びわ湖の花火大会
続々と
打ち上がる音
聞くだけで
私カタカタ
仕事終わらず
あの日見た
打 ....
Quartz
震えて
終わりと
始まりのないものを
区切っていく
切り刻んで
数をあてる
なにものとも
名づけられない筈の
私より薄くて
鉄も
昼夜をも含 ....
透明な
沢山の唾液を
己の弦に着けて
震えた空を
優しく眺める
ぬらぬらと
赤光は髪を染め
純粋な声が
遠くに吸い込まれた
静かに行われる
養分の脈動は
椅子を愛した ....
やさしみを追い越して
苦しみが走り去ってゆく
あるいは
親しみや憎しみ
すべて等しく並んで
世界陸上には
いつだってはじめに
言葉あるいは問いがあった
オンニュアマーク
....
静かなるこの夕べ
魔法の世界
空間が歪む
暑い朝、暑い昼
飛びかう情報
滅茶苦茶のおばさん
尊敬なんて言葉が無い
誰も頭を下げない
金金金銭銭銭
気持ちが伴ってない
親から ....
夏を組み立てていく
プラモデルのような朝のひかりを
丁寧に地上に接着してゆく
おじさんの他は
みんな寝坊をしている
夏は
すこしづつ組み立てられてゆく
おじさんが
こつこつと夏 ....
ジリジリと太陽が
アスファルトに焦がれる思いを
告げる午後二時の
濃い影がさす
向こうには
枯れてしまったシクラメン
欠けてしまったクリスタルの花瓶
半分腐りかけの林檎
止まっ ....
空よりは高くはない
ただ、
この丘から見える景色をながめている
「素直にしているの?」
「凛としているの?」
そんな問いかけは
この宙に、あてもなく溶けていく
....
少し前まで
座っていた席の下に
置き忘れた
飲みかけのペットボトルを
扉を閉めた電車は
線路のかなたへ運んでいった
きっと
作業着姿の誰かが
忘れたゴミを
無表情 ....
夏祭りが終わった
その次の日の朝
不思議な世界だったこの公園は
いつもの公園を
たた狭くしているだけの
小さな空間でしかなかった
組み立てられていた木材が
リズムよく折りたたまれてゆく
....
全て乾いて
回り続けた
車窓に滲んだレールの錆が
鵲の群尾に一つ文字を願い 回る
回って、それは
草みどり 瓦屋根
白熱灯と傘 老女の舌先
流れてゆくのは
車窓に滲んだレールの錆が ....
時折強く向かい風が吹きつける
僕達は髪を風にまかせ
地平線から昇る太陽に願いを贈る
元々は花と風と太陽だけのこのランド
どこへ向かうかで悩む必要なんかなかったんだ
ほ ....
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