流れこむ
悲しみ
ほころび
流れこむ
幸せの素粒子レベルの胎動
風に乗った翼が
青く脈を{ルビ搏=う}ち
わたしの過去を
虚空に届ける
混沌の光子
すなわち意識の次元的産声 ....
浴槽に
すだちを浮かべ
涙を肩位置に溜めて
点火
点灯せず
湯冷め浴
果汁の混濁
吐息の白靄
曇りゆく記憶
湯上り
底へ伸ばす腕
栓を引いたなら
渦描いて消えゆく
悲 ....
過去との決別をしよう。
後ろを振り返るたびに、一人で泣くのをやめよう。
自分を責めるために心をいじめるのをやめよう。
少しの優しさにすがりつくのをやめよう。
自分を本当の意味で ....
秋が来たかと眺めてみたら
ギンナンは忍法葉隠れの術発動中
残暑ざんしょ
暑いザンショと怒ってみても
黄昏はつるべ落としのすみれ色
残暑ざんしょ
☆が出たかと見上げてみれば
鰯の大 ....
お母さんがいます。
お父さんがいます。
兄が一人、妹が二人。
おじいちゃんも元気です。
おばあちゃんは私の心に生きています。
旦那がいます。
息子がいます。
友達 ....
モノを置かないでください
と張り紙のあるところに
モノを置いた
そんな些細なことがきっかけで
そんな些細なことの積み重ねだったのだろう
「いつもの」
そう修飾された朝は
あっ ....
日常にくたびれた玄関先で
茶色のサンダルが
ころり
九月の夜気がひんやりするのは
夏の温度を知っている証拠
おまえには随分と
汗を染み込ませてしまったね
サンダルの茶色が
少し ....
電池が切れた。
電池は切れていた。
もうずっと前から、
電池は切れていたんだ。
嘘を付いていた、
まだ動くから。
切れてない、
演技していた。
怒る ....
寝顔だけは
どんなことをしても
取り繕えない
赤ん坊も
うら若き乙女も
お髭の立派な紳士だって
枕の上ではあどけない顔をして
お医者さんも社長さ ....
あんまり静かに
雨が降るものだから
傘を忘れて濡れている私は
霧吹きをくらった鈴虫だ
りーんりん、とも鳴かない
「ふう、暑い」
小さい秋を
掴まえて
名残りの陽射しが
傾いていく
沸かしている。
こんな朝には、
カフェインが欲しい。
紅茶が飲みたい。
紅茶は飲めない。
願を懸けているから、
飲んではいけない。
だから、
珈琲を ....
わたしたちは
もう離れないと誓いました
空に
風に
緑の木々に
そして
大きなビル群にも
これからは
飛び立つのもいっしょ
羽を休めるのもいっしょ
暑い夏
アスファルトの照り返し ....
小国の
二人の王子が
大国の
一人の王女を巡り
決闘
甲冑に身を包み
精悍なる戦馬に
颯爽と跨り
ランスを腰に据え
愛のための
衝突
鋭い金属音
舞い上がる二本の武器
....
銀の針に
雨糸通し縫い合わす
宵の衣の白さ哀しき
空揺れる
ブランコ振り子に
時忘れ
むかしと今を行きつ戻りつ
約束も出来ぬきみ待つ日も翳り
小さき溜息
風にさらわれ ....
手を離せば、
自然に落ちてゆく。
それは抵抗もなく、
するり簡単。
しがみつく、
醜い姿。
向こうに鏡。
お前を落とす、
引力に惹かれてる。
....
各駅停車の鉄道がはたらいている
ひとの数だけ
想いの数だけ
星空のなかで
各駅停車の鉄道がはたらいている
天文学には詳しくない僕たちだけれど
きれいだね
しあわせだね
このままでい ....
家の金を盗んでいた
支払い用の金の入れてある袋
盗んだ千円札で買い物
買ってもらえない
買ってと言えない
憧れ
食べてみたかったものが
手に入る悦び
気づかないうちに
かわらない ....
微かな水滴が
雨の存在を地上に示す
磁力線に沿わず自由な思想で
舞い落ちる雨粒は
落下する意思そのもの
季節の移りを告げてまわる風が
鈍色の雲を次の季節に追いやり
残り火がわ ....
鈴虫が苦虫をつぶしたような
カンカン日照りの昼下がり
スーパーではサンマが大漁で
大根おろしもスダチも準備万端
秋を味わう食卓に登るのを
今や遅し と待ちかねている
鰯は豊漁旗の漁 ....
風が吹いておりました
風が吹いている日に飲む野菜ジュースは哲学の香りがするのです
そんな日は詩を書きたくはないのです
空があまりに無知なので
わたしの青春としての位置づけは
もう随分と前 ....
これまで
神といった神を
信じるでもなく
疑うでもなく
言わばあまりに無関心で
ありました
けれどもし
許されるなら
病に臥す若き母親のために
祈りを捧げたいのです
....
一度知り合えば
他人で無いのである
言葉を交わし
笑顔を交わし
優しさを交わし
友だちであることを否定せず
互いに食事に誘い
互いの部屋へと導かれ
互いの心へ招かれ
....
狂った証明が欲しくて
区役所の交付窓口へ赴くと
長蛇の列で要求は要望通りに進まない
腕に赤いルーン呪符を刻んだ
パンクスタイルの女の子と
ソーセージを詰める腸皮めいた
ヨレヨレスーツのおじ ....
もちづきの ひかりやさしき はるのよい
たたずむみなもに ふりおりし
つきのこどもの くらげやゆれて
ははをおうてか なみまにみゆる
きらめくしぶきも はるいろみせて
たえまなく ....
2005年1月に札幌に帰省して感じたこと、「人間が優しい」
そっちの人には当然で、なんでそんなこと書くのか、と感じられるかも知れませんが、こっちの人間からすれば小さなショックでした。
....
私という曲線をなぞる
薄っぺらな影が
このまま溶けてしまわないように
望んではいけない
夜を越えてしまった
私ははしたない女ではなかったかしら
未練がましい女ではなかったかしら
....
肩が
うっすらと重みを帯びて
雨だ
と
気がつきました
小雨と呼ぶのも気が引けるほど
遠慮がちな雫が
うっすらと
もちろん
冷たくはなくて
寒くもなくて
そのかわり少しだけ
....
今日は昨日の続き。
選挙は終わった。
自民党の圧勝だ。
ここ何年かで、一番の圧勝ではないか?
信じられないくらい、塗りつぶされた。
今日一日を過ごした。
いろんな人の声を聴けた ....
頼りなげな細い女が
曲がりゆく細い道を
秋風に揺れながら歩いている
茶色く{ルビ褪=あ}せた{ルビ麦藁帽子=むぎわらぼうし}に顔を隠して
道の上に時は無く
女に年齢というものは無く
長 ....
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