あの螢祭の夜
ミルクの河 渡った
ボクの手が少しギュッとして
キミは 痛い 顔を{ルビ顰=しか}めた
力の加減を知らない
ボクを許して
少し折れてしまった指
キラキラしながら
....
その言葉を言われた時はショックだった
だからいつもより大きく笑ってみせた
会場は相変わらず賑やかだった
なぜここにいるのか分からなくなった
みんなと別れた後の車の中は
独り言が虚しく響き ....
赤い鉄塔には子供が登る
ただ一番上だけを目指して登る
そこに何があるかとか
そこから何が見えるかとか
何も考えず
ただ、登る
銀の鉄塔には大人が登る
なるだけ上を目指して登る
そこ ....
小さな画面の中には一面青い海の画像。
どんなに両手を伸ばしても手に入らないものなどいくらでもある。
写真の君は笑ったまま。動かず話さずこっちを見て。
僅かに残った記憶の中だけ、褪せた校舎と茶色い ....
「口さけ女」
{引用=
耳元まで、口が裂けて広がっている女性噂妖怪。
幅の広いマスクで口を隠しており、道行く男性に、「私、綺麗?」 と尋ねる。
答えた男性には、マスクをはずし、口を見せ付け ....
犬歯が疼く夜は
あなたのことを考えてしまう
黒猫が一方通行道路を逆走していて
わたしはみゃぁおぅと鳴いて忠告をした
哀しみに月はなく
瑠璃色の眼は立ち止まり
この影をきちんと認めて ....
梅雨と真夏の狭間で
紫陽花が耐えている
真夏の青空の色を湛えて
夏が来るのを
待っている
色はだんだん
褪せていく
散りきるまで
もうすぐ
空気がむせかえる
ジャンクションを間違えてカーブしていくおもいきり
アクセルを踏み替えないで俺たちは加速して
絶対に追い抜けない霧もやの中を疾走する
あったかい罪を犯したかったの
サミッ ....
向日葵畑で飛び交う笑顔には
スイカの玉が よく似合う
夏を詠む右手に 夢から抜け出た指輪
七夕に見つめ合う男女に 嫉妬して 花枯らしても意味ないし
数多のホタルを 天の川に放つ
真っ ....
――罪じゃないわ!
想いのごとく美しく
クローン再生された
たぶん私は、
受肉したあなた自身なの
曖昧な、あなたから
分離したアニマが私なの
私はかつてあなただったけど
今はち ....
背景のない世界
遠近感もない
乳灰色の空間に
僕はただ立っている
画素の荒い写真のような
朧気な白色光を浴びて
遠く人々のざわめきが
聞こえるけれど
方角すらない世界の中
ここか ....
夏の日差しがあたしの肉体を削いでいきます
決して痩せるわけでもなく、潤いを蒸発させていくのです
それはあたしだけではなく、すべての老若男女に恵みを与え代償にするのです
....
ガキのころハマり倒したゲームの続きを
眠り込むまでやっていて
充満した電子音をかき分け
とにかく何か やっていないと休めなくて
うつぶせのままだったから 背中は痛いが
前に壊した肩ほど酷くは ....
{画像=080523225735.jpg}
大丈夫?
そう言って母はいつも
額に手をやった
そう言えば額の熱は
手で繋がっている
39度の熱を出した
娘の額は汗ばんで
手を ....
名刺を作ろうと 印刷の手順を踏んで
文字数が足りないことに気付く
そういえば表面もまったく足りない
どのあたりに 名前をかこうとしていたのか
木蓮は季節ではないので
紙のよ ....
朝が月を殺す頃
その細い首をきゅっと絞めあげて
太陽がごうんごうんと鳴りはじめ
白い光は
精液みたいにとろりと落ちて
ぼくは生まれてこなければよかった、
と思うのです
....
実験的に無駄を省いたら
風も 木も 波も 空も 木霊も
みんな みんな 同じリズムで
繰り返している
少しずつズレていくのは
それが少しだけ違う音になって
だんだん 少しずつ変っていく ....
誰も気付いていない
扁平な空と屋根の間に
ブランコがある
そこには
飛行機で行けないが
羽根をばたつかせても
到底届く高さではなく
梅雨にぬかるんだ地表と
レーダーに映る雨雲の間に ....
幾波に ひらき
うまれた 土色
陸で重ねた 年月
見上げて
登る灯り
影をとざし
うすゆき ゆらし
のけられた声色
掴み 散るしぶき
あどけなき 風
....
朝食は最近抜いてばかりです
睡眠の方を優先させたいんです
鏡も見ないで髪をセットします
時間はあるのに駅まで走ってしまいます
満員電車の窓に映る姿が
自分じゃないような気がしま ....
夜の水族館の部屋、真夜中になれば魚たちは
いちど死に朝になればまた生まれるのだと信じていたころのこと
累々とおびただしく規則正しく折り重なる
自分らの死体を夜の部屋に想像し眠れぬ
死体 ....
あなたはいつも寡黙
あたしを抱いてキスをする
愛情ってあるか?
人を心の底から
声を出したことのないあたし
裸の一部が溶けて
行く先に未来はあるのか
一日しか数えられなくなった
明 ....
*
優しく風が吹く、
僕はそれを背に受けて、走り出す、
追い風を受けながら
加速して行く
風を感じなくなる迄
加速して、
風と並んだら、
風を孕んだら、
今度は一気に、
向かい風を生み出す位に ....
とおいとおいむかしから
ほしぞらの中に
ぼくたちは住んでいて
三年にいちど
地上へ水を飲みに降りる時は
ロープを一本垂らし
それを垂直に降り
まる三日間かけて
水場に到着する
....
通いなれた
カラオケ喫茶
誰も歌わず
扇風機は回る
ランチは1050円
夜はスナック
カーテンが下り
ミネラルウォーター
かぐわしき
コーヒーの匂い
気分転換
昨日の新聞 ....
覗かせて
私を見ている
その心
その心
響く音とは
最初が あ
最初が あ
最後が る なら
あいしてる
愛してる?
早く返して
私ごと
私ごと
頂上付近で
....
12階のベランダから地上を見る
得体の知れないものが
あたしたちの体の中にある
欲望
空気の中にみえない
何かが飛び交っている
愛
悪意
諦め
執着
春を
夏を
秋を
冬を
....
ふわふわ、空も飛べちゃいそう。
視界が水であふれちゃったわ。
触れば全部弾けちゃう。
泣き腫らした目でこっちを見ないで。
あたしが悪いみたいじゃない。
誰も咎めたりしないからもっと優しい顔を ....
もう留守録は聞き飽きて
立ちあがり
部屋にある本を
1ページずつ
食べた
あなたのために買った本
それから、
鍋いっぱいのスープを
全部
飲んだ
あなたのために作ったスープ ....
さあ 何を信じようか
目を見つめ合い 考えよう
朝が来るまで。
答えを焦る必要はない
怖くても 見えなくても
さあ 何を信じようか
間違えだらけの風が吹く
この世界で。
....
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