*
もしも…
この世の全てが
この掌すり抜けて行く風の内に
記憶を留めるのであれば
私は此処に居て
風を嗅ぎ
風を聴き
風を噛み
風を観て
ただそれだけを糧に暮らすだろう
*
もしも ....
空の低いところ
まる が
貼り付くさま
きれい
薄紫の
ほくろ ぴたりと
空に寄り添って
引き摺られながら
消えた
また地面の下にゆくね
私の知らない裏側に
混ざりにゆくのね
....
水槽の底の
薄く撒かれた石床を
胸に抱えたまま
いつまでも
眠りにたどりつけない
硝子の鏡面に映る
瞳の奥、の奥
私は
銀色のマトリョーシカを
組み立てる
+
あなた ....
空見上げ 追いかけた
地に降りて 離れ見た
よく似てる 烏だね
黒の羽根、黒の陰
ただ、あまたで補えぬ
笑みで白くなれぬのなら
少しだけの祈り
剥されて、轢き千切られるよ
....
蝋燭ではものたりないから
うるさいシャンデリアなんかを
線香ではものたりないから
大輪の花火なんかを
菊ではものたりないから
何百という百合なんかを
むかし
現在、過去、未来
いま ....
一里のヒンバがめおととなって
丘を下り始めたとき
二里三里ともおそらく
自らの距離をもう距離とは言えず
巨とか凶ばかりがやたらに目に大きく写り
逃げ出したいのをぐっとこらえるがもう
一里の ....
わたしの中の真昼の闇
闇の中の狼の虹彩
虹彩の中のおまえの影
ふるえている
耐え切れない心を
掻き毟るための
1/4拍子を宿した指先
どうかわたしの爪を切っ ....
ノックをしても返事は帰ってこない
薄暗い井戸に落ちていくのは
諦めた人達
安心したくていつも命綱を
硬く身に付けていた
辛うじて意識があるうちに
君に会いに行こうと ....
骨のような夏が街におりてくる
空はまぶしすぎて暗示しない
目を細めて輪郭や影を
確かな物にしようとしているだけで
湿った風は川からあがってくる潮の香りがする
どこか遠いところまでいつ ....
卒業しよう、明日、日が差して。
私は鳥みたいに こんな小さな籠じゃ いや
卒業しよう、明日、1秒。
おてんと様 私は 貴方になりたい
泣かない笑う泣かない泣かない
....
考えてみれば終点の西高島平は
笹目橋のたもとにあるような駅で
我が家から結構近いところを走っている
はずなのだが印象が薄い
開業当時の電車はもう引退して
地方鉄道で第二の人生を送って ....
さといもの葉の上を
するんするんと滑ります
あ、
(あ、)
水滴、すいてき、てきてきてき、
曇り空の弱いひかりに
あなたの瞳はうるんできらめく
つかみどころのない
あいのことば
....
あいつは家出人とはちがう
もともと家なんかないから
今でいうネットカフェ難民よろしく
ドヤからドヤを渡り歩いて
それでおかしくはなかった
いまなら、ホームレスボクサー登場 ....
手でつないだものが
止める鎖では無い事
そんな力のないものである事も
指の組まれた思いの前では
望み と
言い換えて遊んでいるようで
無償に笑っていることに
ひととき
つぐないなど ....
いくつかの分岐点はあるかもしれない
それでも、人生という道しるべに
崖や渓流があったとしても
それは迂回するしかない
私は歩きながら、余所見をしない
直線の道を歩いていく ....
みな誰でも
夢や思い出を語る
知らない間になくなるのは
お金とほんのちょっとの涙だけ
流石に痛み耐えるだけの人生は嫌だった
希望否それは絶望の親戚
下らない遊びに時 ....
イメージで泳ぐ僕の夢と
かつての神々の残像
ファッショナブルの開放
ラッシュアワーの独唱
イヴの訳解とアダムの髪
トラディショナルの革新
おもいは ....
足の向くまま川辺を歩く
チィリリリーと鳴きながら
いそしぎがひっそりと降り立った
すこしだけ日が射すような
くもりぞらが
おまえには似合うね
生え換わる赤子のような羽毛 ....
わたしを見守る あなたの温かさを感じているの
叱りながら、背中を押してくれる温かさを感じているの
あなたは愛に あふれていて
わたしの涙を あふれさせて
手を取り合って ....
明け方に夢を見た
ミントゼリーを張ったプールに
頭から突き刺さる夢
飛板から身を投げ出した時
迫る水面は
まだ薄青く揺らいでいた
伸びきった指先が
水面を割る直前に
プール ....
ねぇ
呼びかける
なんでもいいから
誰でも
花でも
木でも
鳥でも
空でも
雲でも
遠くても
ねぇ
呼びかける
声が ....
その町はいつも晴れていた
暖かな日差し、爽やかな風
青い空に、柔らかな雲
町外れの湖には
それらの全てが溶けだし
大きな森を育んでいた
青年はその湖に足を浸しながら
いつも遠い、見知らぬ ....
芸術家の名刺には絵が描いてあったらいいのに
プログラマーの名刺には数学が仕組まれていたらいいのに
ミキシングエンジニアの名刺からサウンドが出たらいいのに
釣り竿と漁師、それと船
....
雨の日の電車はさながら異空間である
外からは紫色の魚がプランクトンをつつくように群れ
中には放心状態になったぼやけた人々がずぶ濡れになった四肢を
無言で時折ぶるりと震わしている
そんな静寂 ....
恋やら愛やら仕事やら
友やら親やら人生やら
きみはいつも手の鳴るほうへ
渡り鳥みたいにいのちをかけて
宗教やら政治やらではないぶん
ずいぶんといさぎよく
伴わな ....
父の死んだかたわらで
妹をあやす姉
こどもを亡くした朝に
家族のためにあくせく働く母
ぼくたちの町
生活が
続くところまで続いていき
夜の暗い背中を
....
花束をもらったのは
もう随分前のことだ
大きくて赤い
松明のような花そのあかりが
次第に痩せて暗くなっていくのが
寂しかった
怪我をして入院中
病室まで訪ねて
炎のような花束をくれ ....
『貴方の背に咲く空を見る
目が痛いほどそれは青くて
目を瞑ったら雨が降る
塩辛くなどあるわけないでしょ
雨粒はとても甘いの
貴方に分けてあげたいの』
おまえは甘い ....
萌え、
の
奴らには判らない
のだ。
ホストを囲んでドンペリが最高だと信じている
煌くシャンパンタワーを前にした
派手やかに着飾った色カノ、
そして何を隠そう・・・・この俺だって
....
騒ぎたてるのは
今世紀最大の大泥棒
月夜にのこるのは
二つの影と不気味な笑い声だけで
あとは宝がなくなっただけだった
ポーカーでの手札は
いつもロイヤルストレートフ ....
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