もともと世界は一連の階段だった
一段一段に彼がいてあなたがいて僕がいる
その下には彼とあなたと僕のご先祖様がいて
「あ」が「あ」になるように「さ」が「さ」になるように
首をひねって
....
捜してきます と書いたメモを
台所に置いて 家を出た 午前三時
まだ 真っ暗な道をひたすら運転する
公園 飲み屋のある所 よくわからない道
夫が 電話のひとつもよこさないで
友達と飲んで ....
公園の緑に
ふたり
ねころがって
ぼーっと
空をみている
風が髪をゆらしてく
小指と小指をからめて
お互いの体温を
すこしだけ
感じている
あたしは
コットン ....
口では
「もういい」とは言うものの
頭では
「なんで連絡が来ないんだろ」と考えている
口では
「居なくても平気だし」と ....
ススキの穂の群れの中でキスをしました
高く澄んだ青い空が見えました
ここは心の中にしまっておくための
誰にも邪魔されない場所だから
あなたとわたしは幸せでした
サワサワと穂が揺れて包むものだ ....
近しい言霊が
電気になってやってくる
時々、感電するので浮かれていると
まっ黒こげに・・
とほほ
で
途方にくれまして
....
カキコ
ゆかりの詩人の指を一本拝借して詩を書いていたのですが
その指が痒いというのでクリップの先で擦ってやると
流れる血がまた詩の風貌に滲んできたので 調子にのって
ためしにインスタント珈琲を ....
風がずいぶん涼しくなってきました
青い空に
白い月が出ていて
どうして、涙が流れそうになってしまったのでしょう
よその家から漂ってくるカレーの匂い
僕は心の中の
小さな茶の間を思い浮かべて ....
目が覚めると氷になっていた
何故氷だと解ったのか解らない
ただいつも透明になりたいとは思っていた
実際氷になってみると大層不便である
声はおろか身動きすら出来ない
時間と共に布団に吸い込 ....
新しい世界を見せてあげるとあの子は鳴いた
カモシカのような片足を震わせながら歌った子守唄
揺さぶられる、現実から見放した濁りすぎた瞳に
映る幾千の輝きはいのち
生命力が溢れ出し ....
かたかたと
長い帯
シュレッダーの
跳躍
....
坂のある街は
景色の綺麗なところが
多い
シアトルもそう
リアス式海岸があり
流木が流れ
ちょっとフリーウェイを
車で走れば
そこは
緑に埋もれる
森また森
高台の高 ....
僕は何のために
生まれたのでしょうか
僕はここで果たすべき役割は
なんでしょうか
わからないままに
僕はいまあなたの墓の前にやってきました
爽快な空の下
あなたがいたこと
....
ビルディングに
夕陽が飛び火して
鉄とコンクリートに
ほんのひととき
しょっぱい血が通った
ビルディングの
かりそめの心臓が
眩し過ぎたから
思わず目を細めて
微笑んだような顔をした
夕焼けが
....
目には見えないが
確かに巨人の朗読が聞こえる
すぐ近くにいるときもあるし
間遠いところから
細々と聞こえるときもある
詩や あるいは詩が
巨人は聖書のゴリアテとは
一 ....
現在と
過去と
未来は
点のようでいて
じつは
球体の円周のよう
ではないだろうか
過去には生きられないが
過去は現在に続き
現在は
未来とつながっている
今を
....
鳴りものに そそがれる蜜
削がれる 鉢植えの暗闇
黒い雪崩に つかまる鳥の爪
横切る 銀色ワイヤー
透ける板 はずさないで
みたくないなら みないで
あたしたちには今と過去しかないね
だから20XX年、あたしたちのとなりに
あたしたちがいるのかどうかの話をして
おんなはいつもさいごにそう言った
おれはそのときわかったんだ
....
鏡の中のあたしは
毒りんごを持ったお婆さん
あの娘の笑顔を壊したい
醜い心のお婆さん
優しく近づき猫なで声で
このりんごを差し出せば
きっと食べてくれるはず
疑うことなどないままに
....
入浴(4)
今日も黙っていたのに
妻は頭と体を洗ってくれた
心の中で歌を歌った
愛の歌を
妻は看護婦をしている
月に40万円以上も儲ける
僕は10万の収入
僕たちはとっても仲 ....
窓をじっと眺めていたら
動物が走りすぎてゆくのが見えた
まずはじめは弱い動物
次には強い動物が
僕が見ている目の前で、弱い動物は追い付かれ
足の骨を突き出したかっこうで殺されて食われてしまう ....
{引用=1986年版}
背骨が痛い
背骨が痛い、背骨がイタイ、セボネがイタイ
コシボネがイタイ
{ルビYou=腰} {ルビtoo=痛}?
犬にも生理痛があるかしら
尾を立てて嗅ぎ回 ....
世の中は蟻地獄だらけだ
ひっそり罠を仕掛けて
獲物が落ちてくるのを待っている
奴らの罠に嵌まったら
どんなにもがいても逃げられない
蟻地獄はその時
ゴソゴソと牙を出し
弱い蟻 ....
歩き疲れて立ち止まる
道に雨が降り出して
静かに静かに降り出して
道に輝く石畳
次第に次第に濡れてくる
並木の青いプラタナス
静かに静かに濡れてくる
歯を食いしばり空を見る
見 ....
「宗教のための宗教とは」
宗教が人のためになるかならないかについて主に論じてきたが。私自身45年の間宗教者として働いてきてそして33歳の時自分の脳中の幻で、神と自称するものに出会った。彼は神とは ....
居酒屋の深夜2時
バイト上がった後の
30や19や27の
集まりに わたくし15
参戦して おっきくなるため
副流煙 お腹 ....
けさ見つけた虹の分光率を
記憶のプレパラートに照らし合わせます
虹は厚みを持たないので
それがふさわしい隠れ家なのです
もっとも似ている屈折率を
大地の公転軸に合わせて傾けながら
夕日 ....
あなたの心の橋を
渡りたい
どんなに高くても
どんなに長くても
どんなに揺れても
今しかない
今日しか見えない
あたしには
不器用にしか
生きられないから
渡るしかないの
あなたの処へ ....
(てらてら笑うニンゲンはたいがい……)
ずっとむかし叔父のいった
そのつづきを思い出そうとする
(てらてら笑うニンゲンは)
(たいがい……)
(たいがい……)
....
我が街の風景をスナップショットして歩く
日差しが夏仕様に変わり容赦なく照りつけ
避けるように自宅にこもる冷房を効かせて
イチゴシロップのかき氷を食べ腹をこわす
そんな情けない夏の始まりはリ ....
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