あの子は夏に死んだと云う
漆黒の髪をしずかに垂らしていた、
あの子は息をなくしてしまった
ひどく鬱いでいたので
空気の奇麗な山奥へ療養に行った
しばらくは落ち着いていて
やさしくわらっ ....
むせ返る
暑風に運ばれる
火薬の
あの夏のにおいが
けむたくて
目を伏せてしまいそうなほど
短い季節の
そのページがまぶしくて
栞もはさまず
本をとじた
夏の
暗 ....
好きだった
あれこれ眺めること
時間だけを支払うこと
手ぶらでドアをこじ開けること
手放せずにいた
かもしれないを
恐れていた
買わないが消えてしまうのを
自動ドアに認知されない子 ....
マジにミラクルがもうすぐそこをとおるのがわかる
おれたちは
どこに浮かび上がり、
どこに染み込んでいくんだろう
真昼のみずあび
世界で一番きれいな
ひかりのうでが砂をい ....
早く
時計が進まないかなぁ
しんどいね
平常な日常
ねじを回す役目は私
私のねじは
誰が回しているのかしら
それは
自分自身だと
知ってはいるが
どうしてこ ....
ドクンドクンと
音がして
ゆらゆら この身を
光らす羊水
私の中の躍動は
彼女の鼓動と
重なる夢を見続ける
広大な青空は
昔、海だったことを
思い出し ....
夏空の青色は完璧な色をしているが
綿菓子になり損なったみたいな
散らばりかけた残念な雲が広がって
夏の始まりからその陰に隠れていた
終わりがそっと顔を覗かせている
木蔭には脱皮に失敗 ....
それは、あまりにも失いがたかったのですが
みずいろの中で
其の風がひとり花占いをしていたので
とても寂しく思ったのを覚えています。
花は
時にわたしのなかを駆け巡ると
....
髪からはずした指で頬杖をつく
汽車の窓をみつめて
腕組みしながら眠るあなたに
微笑んでみる
間違いといわれて問わずにいられない
どんな女が好みでしたっけ
もうすぐだよ おきて
少 ....
胸騒ぎを抱えたまま
首を横に振って
私は私の日常をこなした
五つの文字が木霊する
臆病な君
オブラートで包まれた叫び
白い包帯
最後に望んでいた事
五つの文字が木霊する
....
{画像=080805021846.jpg}
人は眠る時
幼児のように身体を縮こませ、
頭を頷くように祈る。
その姿はもはや
眠っているのではない。
魂ははるか遠くに飛翔し
彼は祈って ....
我が家(実家)には2匹の犬がいました。
約10年前、
年上だった1匹が亡くなり、
きょう、
もう1匹も、
亡くなりました。
とはいえ、19年も生きたのですか ....
宇宙は水飴色です
ゆっくりと
ながく
{ルビ湖=うみ}に似た時間の中で
シクリと微笑んで
星は甘い時間を漂っています
例えば恋人のこととか
例えば死んでしまったこととか
そうして
い ....
美しいものをめでる
心のゆとり
育てる喜び
待つ楽しみ
花を愛する
水をやる
暑さ寒さから守り
鉢を変える
蕾がふくらみ
いつ花が咲くか
楽しみに待つ
香り高き花たちよ
....
コンクリート
信号機
看板
君がうたうのは何処。
君は何をうたう。
夏風がそっと聞いてくる
今年は
蝉の声が聞こえてこない
だから
さ
君が鳴いてよ
君が ....
魂ヶ崎
たましいがさきで会いましょう
希望の岬で会いましょう
あなたが飲んだ、その泥までも
あなたが裂いた、その腹までも
すべてを洗い流した場所へ
....
彼女の歌はどこでも聴ける
初めて会ったとき
彼女の肩には音符が乗っていた
飼っているの、と
なんでもないことのように話してくれた
触れると柔らかくて
すぐに歌いだした
それは彼女の唇から ....
また今日も聴こえるよ
皆の哀しい歌声が
人は辛いときに歌を歌うものだ
自分のカノウセイを信じたいがために
カノウセイって例えばユメ?
じゃあユメって何?
食べられるの?
それ ....
毎日が閉じ込められて過ぎて行くので
こんな時は元気のいい男の子にあこがれるものです
彼のポケットに入って
やぶけた穴から外を見てみたい
木登りやブランコ、くさっぱらに寝転がって
空を眺め ....
暮らすように歌う
寒ゼミの最後の声が
あかるいよるの雲の腹の
内側であふれている
世界ということばがあまくかじられて
「明日死ぬかもしれない」と
しろい猫が鳴き
び ....
ゆるやかな緑の山稜から
墜落した日差しに
めまいがする
真昼の木陰はさらに黒くて
鳥たちも飛ばない季節風
私の見えないところにも
染みこんでいく
切り絵の空に逆光のきみが
遠く ....
渦を巻き
留まった一瞬に
気づいていながら
私は見て見ぬふりをした。
スカートを膨らませて
無邪気に遊ぶほど
少女でもないと・・・
吹き溜まっていた
何度も 何度も
ガタガタ ....
動物園でしか見たことのない獣の前で
動物園でしか見たことのない夢を見ていた
あれがニンゲンのコドモだと
舌うちされたのを覚えている
そうあれは
舌のある獣だった
消費した肩で
かつて ....
柔らかな肉をはむ様に
どうしたって優しくしなくっちゃ
毎日が退屈になっちゃうから
目の前で小さな虫が跳び跳ねる様に
何かの儀式みたいに意味も無く踊りながら
風が涼しいね
夜だから
....
食事を始めた
一口目に
山盛りポテトフライの皿の
隅っこにのせられた
パセリを食べる
噛み切れない小さい葉達が、苦かった。
今日も世界の
あちらこちらの食卓で ....
春を待つ草花みたいな瞳が
曇りガラス越しの
雨の季節みたく擦れていく
渇いた心を刺激する
はっか飴の匂いも
氷が融け尽くした甘いジュースみたく
紙タバコに薄れて解けてゆく
どうした?
....
コンクリートの隙間へ
手をひたすとき、
かなしい人魚の
ほほえみが
過ぎる
その、
行方を追いかけやめた目の
放ってみせる空には
青のにじみが
よく似合う
....
誰もいない路地裏の街灯の下
空を見上げて呟く
少女 一人
星も月もない夜に
膝を抱えてうずくまり
火照った脈を測りながら
忘れ去られた夢を食べながら
獏は大きくなった
誰も望みもし ....
付き合うだろうな、が
付き合ってしまえば
別れるんだろうな、になってしまう
いつものことだから
せつなく楽しむ術も身につけた
高速道路
よく冷えた車内
F ....
雑踏のあちこちに
発生する
ポップな電子音
それぞれの手のひらの中
ぽろぽろと
カラフルな想いをつかまえる
まるでゼリービーンズのよう
人工着色料かけた
ねじれた言葉が小窓にな ....
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