強い日差しに誘われてか
日傘をさしたおばあちゃんが
ひもをぐいぐいとひきながら歩いている
たれた舌からよだれをたらしながら
よたよたとついていく若い犬
首輪がよせる三段腹は
ささやかな抵抗 ....
不確かなものにさらされて
その上に立ち
ボロボロになろうとも
それを超えるでなく
漠然と
ただ もうろうと
これではいけない
と
思いつつ
....
窓越しの陽射しが
薄いまぶたを通過する
汗ばむ髪をかき上げると
晩夏が私に混ざり合って香る
あの日に帰りたい
そう思ったことの無い自分が
幸せなのか不幸せなのかわからぬまま
季節がま ....
記憶が
ぽろぽろ
剥げ落ちて
さっきのことも
分からなくなる
いつか
あなたが誰かも
分からなくなるのかな
恐怖は包装された箱の中
いくつも
転がっているか ....
あなたは泣いています
あなたは泣いています
緑の雨にずぶ濡れて
ただただこの世がいとしいと
あなたの頭上に垂れ下がる
電線の雫がぽとりと落ちて
ひとつひとつが世界を映してる
あな ....
一昨日から降り続く雨のせいなのか
それとも空気を察したからなのか
観葉植物が申し訳なさそうに
リビングの隅で縮こまっている
子どもには駅に着いてから話すから
新しいアパートも借りてあるか ....
満ち満ちる
そうして、あなたは
ほの暗さと等しく
すぐ先のことを知る
生温さを聞くのなら
灰色は
多分、味方なのだと
そう言って
私はいつもより
....
私のまわりのきまぐれ君 あなたに あなたのすぐそばでお話したいことがあります
「ほら、聞き耳立ててるのがわかるんですもの」
ええ あなたはいつもそう 何の前触れもなく降る通り雨みたいで
雲みたい ....
桃の心臓をかちりと割ると
滴り落ちるのは
椿の深い唐紅花の唇
涙より沁みるのは
歯茎から抜けない
本心の建前
みずみずしく透き通るのは
海に砕けた夏の記憶
恋の夜に{ルビ馨=かお}るほ ....
{引用=
彼の右腕を切断した翌日から左目が痛み始めたがその程度でよいならば受け入れよう
E165は漫画のような瞼をしてただ僕を見ている 見ているだけ にっこりと笑んだまま死んだE165は夢 ....
花よ おまえは
そうやって 最期のときまで芳香を放ち
あたりに愛を振りまきながら
気前よく花びらを散らせて融けてゆくのだね
なにも求めずに
ただ与えながら
血のにじむ空をゆびでなぞる
なぞりながらする自慰の必然性で結わかれた髪の毛のリボンがほどけていく
地下鉄の券売機の中に吸い込まれていく札をみている
どこにいくんだろう
あたしはこれに乗っかって ....
心が 心が
心のままでいられなくなりそうです
今 今私
光の速さで
後ろ歩き
だだだだだー
{引用=何を思い出した?
うん。そうだね。
あのときの涙。
うん。 ....
梅雨どきに疲れがでるんだなんて
あなたはやっぱり年をとったんだね
地球がうまく見えないんだなんて
ちょっと余裕なさすぎなんじゃない
かんぺきな芸術
あとだしジャンケン ....
息を吸うては、吐き
息を吸うては、吐き
ヘッドフォンで塞いだ
左右の耳に流れる
素晴らしいメロディ
( 魂 )の、充電。
自らもうたいながら
日常へ踏み出す、 ....
酒のつまみに
キュウリを切る
塩で喰う
少しこしょうも振る
まな板からキュウリが
ひとかけら床に落ちる
キッチンマットの上で
転がったキュウリを
そっと拾い上げる
これをゴミ ....
花売り場蝶々が来て妻笑う
夕暮れて初夏の花揺れ連れ立ちて
雨の日の初夏の坂本うすらさむ
夕暮れ時 太陽の沈む音
二度と戻れぬ今日の日に「またね」と声をかける子ら
薄明かり 絵画のような雲の色
ひとりふたりと木馬に乗って帰っていく
どうしてこうも世界は緩やかに
まるで明日 ....
東京タワーのライトアップは暖かい
都心のビルから漏れる明かりは
眩く刺さる白色光ばかりで無機質だから
高圧ナトリウムランプのオレンジの光を纏った
東京タワーに救われた気がして
ムキシ ....
僕の歩くその上で
猫は二匹で鳴いていた
邪魔者はきっと僕なんだ
邪魔者はきっと僕なんだ
突然雨が降り出した
僕の心の無意識が
二匹の邪魔をしたようで
周り ....
密やかに しめやかに
貴方と交わされた 約束
このとおりに曇天
静かに雨が落ちるのでしょうか
祈念した
風 やわらかく 雨 細く
日蓮よ!
立正安国論のご予言どおり
「一 ....
難しい本を読み漁っていた
色々な知識を得るために
だけど哲学や道徳を覚えても
やさしい人になれるとは限らない
難しいことを考えていた
遠い国の病気や争いのこと
同情しては心を痛めて
....
君が
とても
好きだ
愛している
君の素顔が
とても素敵
心優しい
思いやりのある
君を
僕は守りたい
ずっと
この手で
抱きしめたい
地球最後の日の朝は穏やかに明けた。
夜の濃い青を朝日が少しずつ薄める。
初めに歌いだしたのは小鳥たち。
それからカラスが騒がしく、鳩がせわしなく鳴いた。
僕は空を、公園の欅の木々の間から眺めて ....
{画像=080602022745.jpg}
波打ち際に沈む
ガラス片のように
毀(コボ)れて
流れて
静かな時間の中で
出会いを待っている
満ち足りた時間が
角を丸く取り
いく ....
松林のにおい
やわらかに透過する光
あなたのその目じりのしわが好きだった
波風がうばっていく言葉に
その想いものせて
わたしたちはあめふらし
ふいに雨音が恋しくなる
傘の下で肩を並べ ....
川崎LAZONA5階
木のベンチに腰を下ろした僕は
各階に店の並ぶ円形広場を眺める
小さく見える人々の
行き交う傍らで
ステージに立つ
君の唄声を聴いていた
君の息子 ....
電灯のスイッチが見当たらなくて
君の顔が見えませんでした
夕暮れで 僕は
君に飲み物を出したろうか
僕は君に 飲み物を出したろうか
それはもう三日も前のことだったろうか と
オーガンジ ....
こぼれおちるなみだはいつも
生ぬるかった。
きずつけたいわけでは、ありません。
ただわからないのです。
その透きとおった紫陽花のいろが
恐ろしい。
色づいていくことがたまらなく怖く ....
片手くらいの
かわいい顔した手帖があって
女の子のような
詩がたくさん書き連ねていた
僕には
春の風を思わせる旋律が聞こえ
夏の陽気さを感じる水彩画でもあり
ちいさな言葉たちだが
海原 ....
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