抉れた傷痕は埋まらない
唇を 強く 強く 強く押し当てても
血は滲み
焼け付いた傷痕は僕を責める
血を混ぜた唾液の味に
君は少し微笑
とろん と
目を惑わせて ....
懇意になるごとに離れ行く
過去の前例
拒絶を恐れ僕から先に別れた
シリ・エトクへ
追いかけて欲しいなんて
我侭過ぎるね
手紙も旅費も残さず
シリ・エトクへ
見えるよ
荒磯を打 ....
全国から観光客がえっさほいさとやってくる
そんな地元の夏祭り
北の短い夏だからこそエネルギー爆発!
なんていうキャッチフレーズ
どうなのかなあ
どうだっていいけど最近ずいぶん積雪量も減りまし ....
君には訓練が必要だ
高らかな産声で自らの生を宣誓し
誰にも教わることなく
呼吸し始めたようには簡単にいかない
今、君の身体は音楽に満ち
穴という穴から溢れ出そうとしている
それらを十本 ....
悪いこと、してません。
悪いこと、してません。
もう忘れちゃいましたから。ずっと昔のことですから。
悪いこと、してません。
悪いこと、してません。
頬はまだ痛みます。 ....
通り過ぎた夜 優しい言葉幾つも
投げ捨てたよ
風向きがそっと揺らぐ
重すぎるドア
両足に うんと力込めて強く
もう平気なんて どんな風に唇を 形作るのか
....
オレンジ色の光が長い影を作って
ひび割れたアスファルトに 残る
赤いランドセルが自慢
こんなに綺麗に使っていたのは私だけだったから
なのに もうこんなに汚れてしまったのね
引っ掻 ....
夥しい夥しい直射日光で
アスファルトの明度が振り切れ
真昼は真っ白い暴力だ
私は激しい夢うつつに陥り
液化してゆくアイスキャンディを見下ろしても
何を思えばいいのか何も何もわ ....
海に近い砂の丘から
無数の骨が突き出している
かつてここで倒れた巨大な生き物の上に
浪に運ばれたものが積み重なり
石でできた枯れ木のような
蒼白い骨の森を造った
海からの風に ....
とても
普通の家庭の
冷蔵庫とは思えない
からっぽなのである
けして
キレイなのでもない
玉葱の皮が底にある
これがわたしと
言われたなら
納得する
夫 ....
この箱には、物は入らないよ
なにが入るのかという問いかけには
言葉ではあらわし難いな
この箱は小さくて、しかもガラスよりも壊れやすいのさ
色は、透明で時が経つと周りの環境によって変わるんだ ....
「ママ、ママ、ママ」
と呼ばれて
振り向く
ホームセンターの中
カゴの中に
ふくろうの仔
ああ、
お前かあ
覗き込むと
何度も何度も
「ママ、ママ、ママ」
ふと気がつくと
周り ....
彼女は素敵な牙を見せて微笑む
その笑顔はとても素敵な笑顔で
事務的に働く僕の軌道修正をしてくれる
細い腕で大きな袋を持って
肩胛骨が遠ざかって行く様を
僕はうっとりと眺めていた
い ....
通りすがりの人に頭を殴られたときに
どこかでしあわせになったあたしが
鼻血を流し、ぐらんぐらんの脳みそで
汚れる制服とアスファルトを
きれいに混ぜた
人を殺してばかりのきみの
本当は殺 ....
私の葬式がささやかに執り行われ
友人らが久しぶりに集まった
青空には透明な道が果てしなく続き
新緑に人々の喪服が映えて美しかった
一滴の涙も流されず むしろ
想い出を懐かしむ声で
小さな式 ....
たまに来るアレが
今日久しぶりにきた
そこだけ
穴があいたみたいに
ポッカリと黒くて
その周りが金環蝕のように
キラキラと閃光を放っていて
おれの視野を奪い
鈍い頭痛を連れてく ....
スイッチを「パチン」と入れて、
と思ったら
スイッチがない。
あるはずのところに
スイッチがない。
昨日、
夜寝るときにはあったのに。
今朝、
顔を洗ったときにはあった ....
あたしのママは不幸せ
あたしのパパはろくでなし
娘のあたしはその間
いったりきたり 綱渡り
雲をも掴むいい話
さすらうアパート4畳半
ママはぼさぼさ頭を束ね
欠けた湯飲みでお茶をする ....
君の言葉をききたいから
君の返事を待ってるから
君のそばにいたいから
ここにいる
どんなに時が過ぎても
君がいなくても
待ってるよ
時間の無駄といわれても
ずっとずっと
君の ....
ゴシゴシと
ゴシゴシゴシッとこするのは
やんちゃ亭主のつみなき笑顔
よっこらしょ
どっこらしょっと空仰ぎ
にらみつけるは家出息子
ルンルンと
....
気がつけばいつも
君はそこに立っている
君は待つ
遠くに地鳴りを聞きながら
まだ秋には早い日
目の前をつうっと
赤とんぼが通り過ぎていく
同じ高さにある地平線を目指し
旅立っていっ ....
その岩は岩でしかない。
だからただ、そこに居る。
雨が降り、風が吹き、雪が積もり、雷が落ちても、
その岩は岩でしかない。
ただそこに居続ける。ちっぽけなふやけた岩だ ....
真夜中の森で月を見た
満月には程遠い
アンバランスな円
妙に自慢げに
名も知らない鳥が一羽
きれいな円を描いて飛んでいた
欠けた月を
笑っているのか
飛べもしないおれを
嘲っているの ....
高見を目指す為に
飛ぶ為に
沈み込む事もあるだろう
墜ちる事を目的とは決してせず
重力に翻弄されるようなものでなく
沈むなら
堕ちるくらいなら
闇を突き破る勢いで跳べ
心底闇 ....
パパが怒って
僕のハーモニカを曲げてしまった
銀色と水色のハーモニカは
真ん中あたりで
ぐにゃり
と曲がっていた
幼稚園生の僕は
今度
新しくハーモニカ ....
ドロップ缶 カラカラ鳴らして
君と歩いて
いつから蹴り始めたのか
解らないその石を
君はテンションに任せて
思い切り蹴り上げ
ガシャーンと
どこかのガラスを割ってしまって
....
あしたの事を語るのは
今とがっぷり四つに組んでいないと
靴下を頭にかぶっているとんまな気がする
それでも
死に瀕している枕辺に
はち切れそうな幸せをおなかに抱え
モナリザの微笑を浮かべ ....
くるくるふわり
光が舞い踊る胸元
こげ茶色の滑り台は
ほのかに甘い花の香り
顔を上げる度軽く跳ねる
螺旋の中心に隠す恥じらい
夜が近づくにつれやがて緩み
あなたの手で掻き分けられ遂に
....
悪い子にはなれなかった
投げやりにほどいた長い髪を風になびかせ
夏雲が縺れあう丘の空の下
夢を{ルビ歪=ひず}ませて
立ち尽くしていただけ
「君」がきっと街からここまでさがしに来てくれる ....
帰り道に迷って
泣いてる子羊
あの空の羊雲は
違うよ
君の帰るところじゃない
涙を拭いてよく見てごらん
発見はいつも
ほんの足元からはじまるんだ
背伸びをしてると
ほんと ....
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