にょろにょろは横になる
どうして立っていないの
小さなおててで持ち上げちゃったら
にょっ
雪のしっぽは切れちゃいました
あらら ねえねえ
横になっててもいいんじゃないの
恐竜のしっぽって ....
少し早起きした日曜日
気を利かせたつもりで
洗濯をしたら
真っ白だった
タオルやTシャツが
真昼の空のような
とりとめのない空色に染まった
それは一緒に洗った
....
一二の時まで、わたしは発光していました。
ちいさなわたしは
空き地のハルジオンの隙間に落ちていた
たくさんの欠片(かけら)を
拾い集めては、
序序にじょじょに発光していきました。
....
選べないのは分かっているのです
でも、もしも許されるなら
別な日であったら
それが難しいというのではないのですから、
三百もの日と夜があるのなら
どうしてこの日でなければなりませんか ....
しゃぼんだまを
とばしたよ
ふわふわ
風に吹かれながら
飛んでいったよ
赤や
青や
黄色
たくさんの
しゃぼんだまが
飛んでいったよ
握り締めることなんて出来ないってわかってるのに
風に翻弄されて舞い落ちる粉雪をつかまえて
その結晶を手のひらに刻み付けたいと思った
この冬最初に降る雪を見たのは
帰省先である少し北の街 ....
十七のとき
二十六の女と付き合っていた
対等だと思っていたけれど
そうではなかったはずだ
いま考えると恥ずかしい
アルバイトさきに女を迎えて
よく女の部屋までいっし ....
オレンジの灯りが点々とする
雪の祭りの
ぼくらの町
狭い歩道を歩く 婆三人
灰色のほおっかむりで
ひそひそと
植え込みの陰に
みかんの皮を押し込む
ぼくらの町
町から背の高い ....
だれ と呼ばれる人が
(木立のあいだ
(ほほにその影を落として
だれ と僕を
(眉をひそめて
(訝しんでいる
僕 は、じっ」と日時計のような
緑の落とす影が
うごいてゆくことを
目に ....
雨が
降っているから
今日は
てるてるぼうずを
作ったよ
二階の
部屋の
ベランダに
つるしたよ
明日
天気にならないかなぁ
真っ白なスタート
とにかく背中を押されて
頭から突っ込むでんぐり返しのような
これまでと違い
目覚めるのも自然にまかせて
自分の意思で起き上がることができる
毎日に変わった
....
冥王星から始まって
シリウス、シリウスBへ
カノープスが続く
アケルナルはエリダヌスで
はくちょうにはデネブ
落ちてこないのは ことのベガ
冬のオリオンにリゲル
北極星を見つ ....
花弁が
閉じられていくように
終わってゆく
それは、けして植物をたのしむ
観賞的な終焉などでなく
冬空のきびしさに
指先をこごえさすように
手をのばそうと、
やってくる ....
千年の命をもらえたら
あなたならどうする
千年も生きれたら
どんなすばらしい人生が待っているか
と あなたは思うか
でも
千年も生きたら
あなたの妻も子供も孫も
すべて死んでいくのを見 ....
「ひさしぶり。元気だった?
こないだのアレ見た? すきだったじゃない。
じゃあ雑誌は? ずっと買ってたよね。
突然バックパッカーになったりしてさ。
・・・え? あた ....
ぱくぱく金魚は
今日もぱくぱく
限りある水の中で生きるの
水中から見た歪んだ姿
名前は知らない 君は誰?
沈んだ餌はやがてふやける
ゴミになって藻が生えて
僕の生活スペー ....
突然
彼から
電話があった
「君とはもうこれで終わりにしたいんだ」
彼は
新しい人生に向けての
旅立ちのために
夢実現のための
努力をしてみたいと言う
「君と今までのことを
....
なしという続きのために
削られても消えない
かけらが つながらない線に渡る
後ろ指にかけられた
時計のガラスが見送る
つむれば目が見ていく 心細い幸せ
畳みに けばだつ痛みに
染み込んで ....
かつて人だったものたちの
声に耳を澄ましている
繰り返される
波の音は
そのようにも聞こえ
バスは子供たちを乗せ
茜色に染まりながら
海岸線を通り過ぎていく
....
余白は余白のまま
残しといてくれたらいいのに
ちゃんと感じとるのに
余白を埋めようとするなんて
信頼してくれてないってことよ
。
凍える戒厳令下の冬。
圧倒的な武力によって民を統治する狂信者が叫ぶ、
人民に必要なのは日常的な流血と惨事である
もはやパンの配給や馬鹿げた奇跡の捏造などではない
果てしなくつづく粛清 ....
{引用=こんばんは
こんな関東平野の真ん中でも
毎年必ず雪は降るんだよ
見渡す限りの田んぼは
一面真っ白になりました
まずはそのことから書きましょう}
*
彼女からの返事が来ない
....
冷たい風がとまる
匂いも闇もとまる
とまる
泣けない光が
そこの隅にそっと身をひそめる
開けて下さい
開けて下さい
精一杯の囁きが
裏側を超えた耳元で木霊する
....
確かにあっちがああだとしても
でもこっちはこうだし
仮にあれがそうだとしても
これがどうなるのだろう
交差するのは人差し指
虚言はいかにも真実を含んでいそうだった
....
朝日に曝される夕べの残滓
そんな粗雑もたまにはいいか
長い目で見るって
時間レベル?
たましいレベル?
生きているうちに結実するものなんて
成功か失敗しかないと思う ....
風が
静かになりました
背骨が曲がったまま
切り取られそうな
刃物を持った風が
止みました
世界では
他愛ないことですが
いまのうちに
背筋を伸ばして、
伸ばして
僕のこ ....
+
花が散るころにわたしは女でした。女になってしまい、
鉄鉢の中の百枚の花びらが
蝶のように羽ばたき、遠ざかるのを眺めた
+
花びらのひとひらを虫ピンで留め ....
眩暈がする
粒のそろった
音の洪水
言葉の洪水
音像/位相/破綻/逸脱
シームレスで繋がる
流れ/溢れつづけるメロディ
美しい旋律
降りしきるノイズ
全てを呑み込もうとするコーラス
....
大きな夕日の線状に放射される
赤い光線の先に
黒いシルエットに変わるまばらな家並みが
山並みにより既に陰っている
表面のうねっている畑の中にあった。
その中を疾走する人影一つ
帰るので ....
ことば
この言葉
遠い言葉
声、言葉
遠い声、言葉
届かない
届かずにとどまる声
言葉、超えたらば
超える言葉
超えて届く声
孤島へ
言葉、孤島へと届く言葉
声、孤島へと超えて ....
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