母が私の靴をはいて出てしまった。
『せちがらい世の中です。どうか探さないでください』
 朝起きると母の書き置きがあった。あまりにも淡白なセンテンスだった。私は泣きながらトーストをかじり、泣きなが ....
{引用=
どれほどの心が割愛されているかを考えれば
事象としてのみ繋がることを選んでゆく日々
シーニュの隙間から零れ落ちてゆくものらの
見えない表情を想うほど愛を思い知ってゆく

あどけな ....
否応なしの個の勝負
結果がどうあれ ほぼ全力で戦っていた きらわれ

余裕のあるふり 板につき
他人が失う言葉にも気づく瞬間(とき)持たぬまま
仮初めの優等生が堕ちる祝福

男と女 知ら ....
古来から、憎い相手に呪術をかける一大メジャーといえば、『丑の刻参り(うしのこくまいり)』

毎晩 毎晩 真夜中 丑の刻
白装束に身を包み、髪を乱し、黒くした歯に櫛をくわえ、
3本のローソク ....
わたしの名は「誠実」、からむ蔦、めしべの棺、花をちらす雨季の停滞、主宰者のひたいにこぼれるしるしのようだった、執事のトルソ、息は茜色をして、椅子にちかづく、わたしの名は「誠実」

 椅子をつくる、 ....
臨海線を越えれば
また一つ忘却の朝が 時計仕掛けのようにやってくる


未だ
ためらいのない無残なライトの明かりを車たちは放ち、


散水車の水のはねる音に
まどろみを破られた
わ ....
私が死んだらどうか
庭には一面青い花を植えてほしい

春にはシラーとアリウムが
夏にはマツムシソウとラベンダーが
秋にはクジャクソウとリンドウが
冬にはミスミソウとヒヤシンスが
それぞれ ....
白い貝殻を拾ってネックレスを作るように言葉を組み合わせるの、と
詩を書くあなたは言うけれど
私はビー玉をころころと太陽に透かすように
光のかけらと じゃれていたい

ノープランの恋愛ですが  ....
昔 うちの父さんは
カレーライスにソースをかけて
スプーンをグラスに突っ込んで
上から下までぐるぐる混ぜて
それはそれはおいしそうに頬張っていた

ある日 それを友達に
なにげなく話した ....
東京の空がせまいと言ったのは
ちえこだった

彼女は感覚と真実を
せまい世界から発信していた

ぼくはひとつの特権だ
ぼくしか聞こえないちえこなのだから

ひとりカフェでのむ珈琲
この炭汁を彼女にも分 ....
真夜中の 誰もいない教室に
女たちが なだれこむ

レジャーシートを敷いて
だらしなく座り
シャンパンを開ける

おつかれえ 今週も仕事 頑張ったね
うちらまだまだ いけるじゃん 若い ....
おまえは正しい

人間として正しい

最愛がほかにいることを

そいつにきちんと話したのだから

きっといまの苦しみは昇華される

これが業なら今回のことで消滅する

だから気 ....
ただいま と思いながら両手を下に広げる
林檎畑は収穫のための作業で忙しい
陽があたるように実の回りの葉を取るため
晴天の日曜日 実家に帰る

草を分ける土の道 人の歩いた道
風にそれる 緑 ....
 「へそ」

夕立とともに雷が落ちる音がして
少年ははっと目覚める
もしかしてへそが盗られていないか
あわててシャツをめくり
お腹にちいさな穴が残っているのを
確認して
ほっとしながら ....
涼しくなったらさ
秋になったら
河原の芒が風に泣く前に
月が細り始める前に
右手を掘り出しに行こう
あれはまだ絵筆を握っている
才能はないんだ
カンバスの絵はみんなカッターナイフで
裂 ....
{引用=
体積土から
掘り出した
熱を持たない小鳥
かつて生えていた羽
骨のような形
突き出して愛し
摩擦して
励まし
静かな森にだけいた
生きにくい獣

水晶で出来た舟の材質 ....
そのまま東へ進めば
青春時代を過ごした街まで
たどり着くのだろうけど
特急が進行方向を変えたら
あの北の雲の先に
私の帰る場所がある

中途半端に古ぼけた駅舎の
売店はもう閉まっている ....
宴もたけなわをぬけだした
ネオン、信号さんも律儀だね
女子のきらびやかで背中を見せるファッション多し
なんてまやかしな

挨拶もそこそこ
引き出物は右手
キマってみえるだろ

あなた ....
辺境を目指して隊商は
何も遮蔽物の無い太陽の炎の先を歩く
必要以上に熱い砂の上を
ただひたすら駱駝とともに
テクテクのテクテクのてくてく
歩いて歩いて歩いて歩いた

目的地はバスラ
ロ ....
泣きじゃくりながら
坂道を登っていた

気がつくと
そこは
深い森

森の中だった

緑 緑 緑の渦
苔むした木々

鳥の声

時折さす
きらめく太陽の光・・・

声 ....
この世のうわずみを
あらかた舐めてしまった

僕は

もう

面白がらなければ
何も面白くないし
欲しがらなければ
何も欲しくない

この世のうわずみは
どれも同じような ....
良い詩なんてどこにもないね
うん、ないね
それでいいんだよ
うん、それでいいんだよ
だって私たちは無名だもの
うん、無名だもの
きれいな詩もあるけどスルーだね
うん、きれいだけどスルーだ ....
(私はいつも仰向けで寝入り
 決まって仰向けで目を覚ます)

その日天井のしみは、妹のクラスメイトの顔だった
昼下がりに学校を早引けしたきり妹は姿をくらました

(私はいつも仰向けで寝入り ....
セブンイレブンに買い物に出る
夜の旧国道はひっそりとして
思い出したように車が行き交うだけ

秋の虫がてんでに声を競う
聞こえてくるのはそればかり
淡い闇を纏う街を見ていると
何だか現実 ....
女を抱きたい気分でもなく
ただ、見ていたい
風がセピア色
入道雲の思い出
「バニラスカイ」を見て
あなたはどう思った?
彼女の言葉を思い出す
力を失った男が
荒野をさすらう時
相棒は ....
主の居ない壊れかけの蜘蛛の巣に
わざわざかかった薄茶の蛾
そこに光でも見えたのかい
でも人工的なものなんだよ

ごらん、あれが唯一のものだ

電線が張り巡らす中
四角い結界にみっしりと ....
耳たぶがかさかさすると思ったら
どうやら蟻が一匹のぼってきてたらしい
上半身だけゆっくりと身体を起こす
よく伸びた夏草が足を覆いかけている


さっきまであおいろばかりだった空に
いつの ....
雨 雨
切々と うたう

わたしはピアノを弾いている

絵も描けず
詩も書けず
下手な暮らしをしているが

わたしはピアノを弾いている

今この瞬間
いくつもの
想いが
浮 ....
日光がじりじり焦がすグラウンド あの夏の日がよみがえる熱



突然の訣別の日は当然で 気化して消えた二人の熱さ
カウンターの背の高いスツールに腰掛け
グラスに注がれたバーボン
氷のゴツゴツした表面を覆いながら滑り落ちる
琥珀色の液体にジッと
視線を這わせ

すでに結露したグラスを捧げ
グビリと ....
恋月 ぴのさんのおすすめリスト(17883)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
母の靴、私の靴- 豊島ケイ ...散文(批評 ...18*10-10-6
沈黙の表情- 高梁サト ...自由詩8*10-10-6
- 佐和自由詩210-10-5
『丑の刻参り』は_もう古い!_最近流行の呪いをかける方法_- 北大路京 ...自由詩12*10-10-5
椅子が記号になるために- 乾 加津 ...自由詩7*10-10-5
黎明/sign- 月乃助自由詩14*10-10-5
ブルーガーデン- 未有花自由詩20*10-10-5
虹の出そうな空だこと- アズアミ自由詩5+10-10-4
カレーライス- 鵜飼千代 ...自由詩20*10-10-4
平成☆ちえこ抄- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...410-10-4
ピクニック- Akari Chika自由詩3*10-10-4
約束- 吉岡ペペ ...自由詩510-10-3
生まれる所- 砂木自由詩17+*10-10-3
へそ- 乱太郎自由詩17*10-10-3
此岸- salco自由詩7*10-10-3
交換することの喜びに震えて- 真島正人自由詩3*10-10-3
駅・上郡- たりぽん ...自由詩5*10-10-2
コンビニで値踏み- 乾 加津 ...自由詩6*10-10-2
隊商1ー躊躇- ……とあ ...自由詩7*10-10-2
森だった- 森の猫自由詩7*10-10-2
ぽつり- nonya自由詩23*10-10-2
みんないっしょでみんないい- 西日 茜自由詩6*10-10-2
しみ- 豊島ケイ ...自由詩17*10-10-2
故郷を見失って久しくて- kauz ...自由詩8*10-10-2
さみしい- 真山義一 ...自由詩1710-10-1
シンダーガールの目覚め- 唯浮自由詩110-10-1
ぼんやり- あ。自由詩10*10-9-30
pianissimo_words.- Akari Chika自由詩8*10-9-30
創書日和「熱」_胸焦がすもの- 逢坂桜短歌210-9-30
バーカウンターの蛙- ……とあ ...自由詩10*10-9-30

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597